武藤慶子
武藤慶子は両親の愛情を
たくさん受けて育ってきた。
一人っ子の箱入り娘で
大事に大事に育てられた。
素直で可愛いくて、
お人形さんのようだね。
久しぶりに会う親戚は目を細めて
『こんなに綺麗だと将来は
女優さんになるのかな?』
そう言って褒め称えていた。
彼女に転機が訪れたのは
彼女が中学2年生になった春だった。
地元の公立中学校に進学していた彼女は
クラスでトップクラスの成績だったので
塾には通わずに
独学で勉強して学業と部活の両立を
させてきたが
高校の進学を見据えて進学塾に通う話が
彼女の周辺に持ち上がっていた。
部活の練習は遅くまであり
終わってから塾では時間的に
通うのは難しかった。
部活を辞めないまでも
制限するのは、どうだ?
そんな提案も出たが
中学2年になってレギュラーも
見えてきている。
部活の時間は割きたくない彼女と
少しでも偏差値の高い高校に入れたい
両親の思いは平行線だった。
家庭教師
教える側が時間を合わせてくれれば
今まで通りに部活が出来る。
両親が提案した、この案に
慶子は2つ返事で、家庭教師の話を
受け入れた。
中学2年の4月から月曜日、金曜日に
家庭教師に勉強を教えて
貰うこととなったのだ。
来てくれたのは帝国大学2年生の
真壁刀、19才
男性だった。
異性に興味を持っていなかった慶子は
同性の教師を特別指定しなかった。
1個上の中学の先輩を年上と感じていた
彼女にとって5才上の真壁は大人だった。
それはおじさんとしではなく、
年上のお兄さんとしてで
一人っ子だった彼女は
お兄ちゃんが出来た感覚で嬉しかった。
年頃の慶子が真壁に対する思いが
お兄ちゃんへの憧れから
恋愛に変わっていくのは早かった。
家庭教師の時間にトロンとした瞳で
真壁を見つめる慶子は
恋する少女そのものだった。
真壁も、その視線には気づいている。
家庭教師が始まって3ケ月過ぎた頃だった。
『慶子ちゃんは1人エッチするの?』
真壁が突然、慶子に聞いてきたのである。
『え?え?』
『ひ、ひ、ひとり?』
優しい先生から、想像も出来ない
ハレンチな言葉が出てきた。
『え?今なんて言ったんですか?』
何かの間違いだと思って慶子が、
再確認すると
『慶子ちゃんは1人エッチするの?』と
真壁は同じ質問を言ってくる。
慶子も当選、その意味は分かっている。
だが自分には関係ない別の世界の事だと
思っていた。
『え?する訳ないじゃないですか』
大好きな先生からの質問じゃなかったら
引っ叩いている
そんな質問に照れながら答えると
真壁は真面目な顔をして
『してないんだ?』と
さも、しているのが当たり前のように
不思議そうな顔で答えてきた。
え?
何を言っているの?
『してる人なんて
いる訳ないじゃないですか?』
キスすらいまだに想像出来ない慶子は
真壁にそう言うと
『クラスの女子の半分は
していると思うよ?』と
真顔で彼が言ってくる。
あり得ない
そう思った彼女は
『誰も、そんな話なんてしてません』と
キッパリと否定してきた。
すると真壁は笑いながら
『誰も本当の事は言わないよ』と言って
説明を始めたのである。
トイレに行ってウンチをする。
そんな当たり前の事を誰も申告しない。
ましてや1人エッチなら
していても誰も言わないだろう。
中間テストの時に
全然勉強していないと言っているが
他人に隠して徹夜をしているのと同じで
正直な事はカッコが悪いから言わない。
ましてや、ちょっとエッチな事
自分からは絶対に言わないし
他人に聞かれても本当の事は秘密だ。
『慶子ちゃんはしていないの?』
いつもの優しい感じからは
想像が出来ない真壁の質問に
たじろぎながら
『そんな事はしません』と
慶子が答えたので
『仕方がわからないんじゃないの?』と
真壁が聞くと
『知らないですし』
『興味もありません』と
慶子が謝絶する。
『本当は慶子ちゃんの年の子が今から
毎日するのが一番良いんだよ』
『女性ホルモンが1番多く分泌されるから
スタイルも良くなるし美容にも良い』
気になる事を真壁が言ってきたが
『でも、私はしません』と
慶子は断固拒否の姿勢を崩さない。
真壁は笑いながら
『大丈夫、慶子ちゃんにしろって
言っている訳じゃないから安心して』
『部活も勉強も頑張っていると脳みそが
活発になって』
『夜に寝なくちゃいけないのに
すぐに寝られない時があるから』
『その時に寝る前に少しすると
スッキリして熟睡出来るんだって』
興味が無いと言っているのに真壁の
解説は続いていた。
『いくら丁寧に説明されても
私には興味がありません』
本当は気になる話を振り払うように
慶子が絶叫したので
『了解、この話はもう、やめよう』
そう言っておきながら
『1人エッチに使える便利グッズが
ドラックストアに売っているから』
『今度、買ってきてあげるよ』と
真壁が話す。
『そんなの、いりません』
慶子が拒否して話は終わった。
その夜、ベッドの中で慶子は
真壁の話を思い出していた。
先生は、ふざけていたんだろ。
でも、ドラックストアで買うものって
何かな?
慶子は考えた後に、想像していた自分に
自己嫌悪をして違う事を
考えて寝ることにした。
次回の家庭教師の時に真壁は
本当にドラックストアで
ある物を買ってきた。
これが?
慶子は意外だった。
これなら自分の部屋に置いていても
特別不思議じゃない。
『使い方はね』
そう真壁が言い出した時に
『聞きません』
慶子は拒否するようにしたが
真壁は関係なく一部始終を説明した。
それ以降は、その話はせずに
勉強が続き、その日は終わった。
その日の夜、電気を消したベッドの中で
慶子は真壁が置いていったモノで
頭がいっぱいだった。
あんなモノで?
色々と想像をしていると
本当に寝られなくなってしまった。
真壁が置いていったモノは彼女の机の
引き出しに入ったままだ。
私には関係ない
そう自分に言い聞かせて、その日は寝た。
次の日の夜
また寝る前になって真壁が置いていった
モノが気になって仕方ない。
真壁が言っていた使い方が頭の中で
リフレインしている。
少しだけ使ってみる?
いやダメだ
彼女は布団をかぶって寝ることにした。
次の日は学校にいる時から
その事で頭がいっぱいになっている。
クラスの子の半分?
そんな訳ない
でも、あの子はしているかも?
あの子は?
そんな想像している自分がイヤになる。
そして学校が終わって家に帰り
夜を迎えた。
先生がドラックストアで買ってきたモノが
気になって仕方ない。
人間は不思議なモノで知らなかったら
それまで普通に暮らせていても
一度気になると、それが頭から
離れなくなってしまう。
ちょっとだけ見てみよう。
別に使わなければ
そう自分に言い聞かせているが
先生が言っていた使い方を試している。
別に試して使う分には問題ないだろう。
してみると不思議な感覚だった。
オシッコを我慢していて、
やっとトイレで
開放した時の気持ち良さが
ず-っと続き
それが段々と大きくなっていく
ゆっくりと波が大きくなって
神経がそこに集中した時に
電気が流れたようになった。
頭の中が真っ白になった慶子は
電池が切れたように眠りにつく。
翌朝、目覚めた彼女は
昨日の事を思い出して恥ずかしくなり
何度も鏡を見て
何か変わった所がないか
確認をしてしまうが
変化は見つからない。
学校に行って休み時間に
友人と話している時も昨夜の事が
バレないか?
ドキドキしながら喋っていたが
友人達は何も言ってこなかった。
大丈夫だ。
その安心感を得たのと同時に
真壁が言っていた
クラスの女子でしている子が
多くいると言う話も
あながち間違ってないかも?と
思い始めている。
家に帰った彼女は、いつも通り
食事をして勉強をして
寝る準備を始めていた。
今日はしない
あれは昨日だけの事
そう言って納得しようとする彼女と
誰にもバレなかった
もう一度だけ
そう言っている彼女が戦っていたが
結果、今夜もしてしまったのである。
そして金曜日
家庭教師の日で真壁が来る日だ。
絶対に先生に『使ったか?』と聞かれる。
何て言えばいいのだろう。
そう考えてソワソワして
真壁が来るのを待っていると
慶子の様子をチラッと伺った真壁は
何も言わずに英語の勉強を始めた。
結果、その日は何事もなかったように
家庭教師が続き
いつもの優しい先生は帰っていった。
何も聞かれなかった。
使ってないと思っているのかな?
そう考えた彼女は安心して
それから毎日、寝る前には
必ずして寝る日が続く。
翌週の月曜日の時も、次の金曜日の時も
真壁は忘れてしまったかのように
その件には触れずに講義をしていた。
そして月曜日の家庭教師の時に
普段通りに彼女が
『先生、この問題が終わったら
休憩にして下さいよ?』と甘えた時に
『慶子ちゃん、俺がこの前持ってきた
ドラックストアの物ってある?』と
唐突に聞いてきたのであった。
彼女はもう聞かれないと思っていた。
見て分かるくらいに動揺している彼女に
『使わなかったら、俺が使うから
返してくれる?』と言ってきたのだ。
万引きが見つかった人のように
震えている彼女は何も言ってこない。
先週までは先生に聞かれた時に
『使っていません』と言い返せるように
頭の中で何度も練習をしていたが
安心しきっていた今、不意打ちを食らって
言葉が全く出なかったのだ。
『無くしちゃったのかな?』
真壁が笑いながら、そう言うと
明らかに震えた声で
『はい』と彼女が小さな声で答える。
『そうか、無くしちゃったなら
しょうがないね』
『今度は100円ショップで別の物を
買ってきてあげるよ』
そう言って真壁は笑った。
『いりません』
慶子は、そう言おうと思っていたが
声は出なかった。
その日の家庭教師が終わった後
彼女は真壁が持ってきたモノを
捨てようと思っていた。
本当に捨てちゃえば、いいだけだ。
だが彼女は捨てられなかった。
次の家庭教師の日に真壁は
本当に100円ショップの袋を持参している。
そして袋から出したモノは
学校の授業でも使っていたアレだった。
これが?
拒否する姿勢を忘れた彼女は
興味津々で手に取って見ていると
『これはドラックストアで
買ってきたモノより強力だよ』と
笑いながら説明を始めたのである。
こと細かに真壁が説明をしてきて
彼女は顔が真っ赤になっていくが
聞くのを拒否していなかった。
真壁の話を聞いていた慶子は思った。
絶対に今夜してしまうだろうと。
説明をしていた真壁もそう思っていた。
その日慶子はベッドの中で布団をかぶり
100円ショップで買ってきたモノを
試していた。
ビクン
ビクン
電気が流れたようになる慶子だが
止めることはなく
溶けていく感覚に包まれて
初めて絶頂を経験したのだ。
一度、刺激を覚えてからは
快楽の沼に沈んでいき
夏休みに入った事もあり
毎日、何度もしていた。
夏休みの間も家庭教師はあったが
真壁は慶子に100円ショップで
買ってきたモノを使ったか?を
確認する事はなかった。
夏休みが終わる頃の事
ちょうど100円ショップで買ったモノを
渡して1ケ月が経った時に
『100円ショップで買ったモノは
どうだった?』と
真壁が聞いてきたのだ。
始めの頃は、その手の話をすると
拒否反応を示していた慶子だが
『昨日も使いました』と
正直に白状をしたのである。
それを聞いた真壁の口角が上がった。
『どうだった?』
真壁にそう聞かれた彼女は
『溶けそうになりました』
何の迷いもなく赤裸々に説明をする慶子は
真壁からの次のプレゼントを
待っていたのであった。
教えられた快楽は毎回、慶子を
夢中にしていき
それ無しの生活は考えられなくなっている。
次の刺激をくれるなら
恥ずかしいなんて言ってられない。
『慶子ちゃん、俺の前でしてくれる?』
真壁にそう言われた慶子は
恥ずかしさで一緒迷ったが
すぐに覚悟を決めて
真壁の前で始めだしたのだ。
『慶子ちゃん、こうするともっと良くなるよ』
『こうしてみようか?』
真壁の言うままにしていた慶子は
彼の毒牙にかかってしまったのである。
それからは家庭教師の時間の2時間のうち
最初と最後の15分だけ服を来ていたが
間の90分は服は着ていなかった。
全て真壁の思い通りだった。
初めて見た時からオモチャにしてやる。
そこから全てシナリオを考えて
闇に落としたのである。
慶子が中学を卒業するまで家庭教師は
続き、真壁の個人レッスンは
大人の授業そのものだった。
高校に入っても美術教師に捕まった彼女は
在学中の3年間
美術準備室で個人授業を受ける日々だった。
慶子の人生で彼女を求めてくる男達は
彼女の性格や本質を求めてこなかった。
可愛いお人形さん
悪い男に汚されていく度に、
更に清楚を求めていき
清純を身にまとうようになっていく。
その清純さが悪い男を引き寄せる事を
彼女自身も分かっていたが
清楚という防具を
彼女は捨てる事が、もう出来ない。
自分が汚れていく度に純白な清楚さを
求めていってしまう。
会社に新入社員として入ってからも
それは同じだった。
同期で研修を受けている男性社員も
配属されてからの支店の男性社員も
清楚な慶子に群がっていた。
その男子社員を見るたびに
『ありがとうございます』と
笑顔で受け答えていたが
腹の底では
『ヤル事しか頭にないクズどもが』と
蔑んでいたのである。
上司、先輩、同期
会社の男全員がスケベな目で
私を見てきた。
いや、待って
1人だけ来ていない
あの人は確かロボって言われた人
立花さん
妻帯者?
妻帯者こそ社内不倫で
あわよくば?とギラギラした目で
清楚だと勝手に思い込んで
私を狙ってくる。
私に興味はないの?
やがて間接的にロボの情報が入ってくる。
人と関わりを持ちたがらない。
仕事の書類を持っていった時に
少しだけ話をしてみると
感情が死んでいる。
世捨て人のようだ。
ロボと呼ばれている、この人が
普段はどういう生活をしているの?
好奇心?興味本位?
不思議な生き物の生態を知りたがる
そんなキッカケだったはずだ。
上から目線で観察してやれ
総務の仕事をしているので
住所や学歴は簡単に調べられた。
普段の行動は?
朝早く立花のアパートに行き
出勤前に家に張り込んだ。
毎日、同じ時間に出勤して
会社が終われば寄り道せずに帰宅。
土曜日、日曜日にも外出は少なく
コインランドリーと買い物くらい
つまらない生き物
何が楽しくて生きているの?
観察日記を終えようとした時に
同じ車両に乗っている立花が
いつもスマホを見ている事を
思い出して
何を見ているか?気になった。
どうせエロサイトだろ?
満員電車の中、立花に気付かれないように
背後に回り込み画面を覗く。
ゲ-ム?
一心不乱にスマホを操作をして
ゲ-ムに夢中になっている。
普通に携帯ゲ-ムで遊ぶ男の人
ロボじゃないんだ?
慶子は観察していたつもりだったが
いつしか立花に興味を持ち始めていた。
会社内では棚橋と談笑しているし
仕事での評判も悪くない。
むしろ誰もしないオフィスの掃除を
ひっそりとしたり
忙しいと誰も対応しない来店者の
応対をしたりと
自分からアピールをしないが
会社内の雑用を率先して
やってくれている
良い人じゃないか。
見た目に左右されないし
私の本質を見てくれるのでは?
本当の私を知っても逃げないのでは?
大学時代の彼氏に中学生の頃
家庭教師の先生のオモチャにされていて
足の指の間を舐めて奉仕をしていた
過去を話したら逃げ出してしまった。
立花さんは逃げないよね?
電車の中の立花さんが
最近いつもと違う
画面を見てニヤニヤしている。
背後に回り込んで画面を見てみよう。
誰だ、この女は?
権太坂36?
絵色 女神?
知らない。
私の立花さんを取るなんて許せない。
駆け出しのアイドルのくせに生意気だ。
どうしてやる?
そうだ、
家を突き止めてネットに公開してやれば
ファンが家に押し掛けてめちゃくちゃだ。
発信機の付いたぬいぐるみを
女性ファンから貰ったら
喜んで自宅に飾るだろう。
やがて彼女の狙い通り
『女性ファンの方からのプレゼントは
初めてだから嬉しいです』と言って
絵色女神がマンションに持ち帰った。
発信機を使って絵色女神の
自宅の場所は分かった。
後はネットの掲示板に
絵色女神の自宅住所です、と
公開すれば準備万端だ。
立花さんを惑わす奴は悪だ。
立花さんと私の障害は全て排除する。
棚橋が騒いでる。
『立花が外国人を買って家に泊めた』
バカな棚橋
立花さんが、そんな事をする訳ないだろ?
本当じゃないよね?
買うほど女性に困っているなら
私に言ってくれれば満たしてあげる。
休みの日に他の子に会わないよね?
新宿に行って誰と会うの?
え?
佐山サトシ?
友達なの?
秘密にしてあげるから
私のモノになりなさい。
蝶野正子?
1番嫌いな先輩だ。
2人で飲みに行く?
絶対に許さない。
タクシーで2人で何処に行くの?
立花さんのアパートに着いて
2人で部屋に入った。
エッチな事は絶対にさせない
部屋のチャイムを鳴らして
邪魔してやる。
もう我慢出来ない。
立花さん、何でキスを拒むの?
私と立花さんは同じなんだよ?
他の人には分からない
傷ついたモノ同士
愛しあってわかり合いましょう?
でも、立花さんはコッチを振り向かない。
そうだ棚橋を使おう。
『本当に何でも、してくれるの?』
慶子がそう聞くと
『何でもしますから告訴だけは
許してください』
土下座したままの棚橋が懇願する。
『なら私の手伝いをしてくれるなら』
『考えてあげても良いわよ?』
ネチっこい喋り方で慶子がそう言うと
犯罪者と言うレッテルから解放されたい
棚橋は
『何でも手伝います』と
強く絶叫したのである。
慶子がニヤリと笑ったが棚橋は見ることが
出来ずにいる。
『簡単な事よ』
『私と立花さんが付き合う手伝いを
してくれれば良いだけ』
そう言った慶子の言葉を聞いて
棚橋は迷う。
『それくらい出来るでしょ?』
慶子に言われた棚橋は黙っている。
『立花には彼女がいますから』
『それは出来ないです』
『他の事なら何でも手伝います』
棚橋は改めて土下座をして
慶子に頼み込んだ。
『ねぇ、バカなの?』
冷めた声で慶子が聞く。
『私は立花さんを好きだって飲み屋でも
あなたに話したでしょ?』
『それを知っておきながらホテルに
連れ込んだの?』
『人間的に許される?』
棚橋を罵倒する言葉が続くが
棚橋は何も言い返せない。
慶子ちゃんの言う通りだ。
弱っている女の子につけこんで
ホテルに入った。
人間失格だ。
『立花さんと棚橋さんで飲みに行く』
『その時、立花さんの飲み物に
クスリを混ぜてちょうだい』
立花を罠にハメる?
クスリを使って何をしようとしてる?
『立花を裏切ることは出来ません』
その問答はしばらく続いたが
棚橋が押し切られて
立花を飲みに誘ったのである。




