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世界デビュー 1

記者会見の会場は日本有数のホテルである

大帝国ホテルの飛翔の間だった。


収容人数500人のホ-ルとなっており

政治家のパ-ディ-や芸能人の披露宴

そういった大規模な催しをする際に

使われる会場で小さな体育館規模だ。


開始は14時からだが絵色女神は10時に

会場に入り、中で全景を眺めている。


広告代理店の濱口の話では

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、SNS

招待した企業が、ほぼ全て

今日の記者会見に来るとの事だ。


その数およそ200社


世界的に大ヒットしているネットゲ-ム

エクシブハンターへの世間の

関心度を象徴する数である。


全体リハーサルを経験しているから

自分の出番と担当は把握している。


後は間違えないようにするだけ。


これだけを信念に絵色女神は会場を

後にして関係者の控え室に戻った。


彼女に与えられた控え室は

マネージャ-の佐野さんと彼女の2人だが

学校の教室くらいの大きさとなっている。


控え室にはメイクセットがあるので

後でメイクさんやスタイリストさんが

作業をするにしても広すぎる。


控え室内にはホテルのケ-タリングが

準備されており飲み物や軽食があった。


サンドウィッチやクラッカーや

フル-ツの盛り合わせがあり

全て食べ放題との事だ。


ハムのサンドウィッチをつまみながら

『朝ご飯を食べなきゃ良かった』と

もらす、食いしん坊な女神である。


マネージャーの佐野さんは

さっきから電話対応で大変そうだ。


『コン、コン』

ドアがノックされて


『どうぞ』と女神が答えると

ドアが開いて広告代理店の濱口が現れた。


『どう、緊張していない?』

『大丈夫そうだね』


濱口の視線の先には新しいサンドウィッチを

クチに含んでいる女神の姿があった。


プロジェクトビ-ナスに10億円の予算が

かかっている事を知っている濱口は

『彼女に10億円の価値があるのかね?』と

記者会見の発表の当日に

まだ半信半疑であった。


まぁ俺には関係ないけどね

与えられた仕事を失敗せずに完璧に

完成させて終了する、それだけだ。


『11時から会場で最終リハーサルが

あるから、よろしくお願いします』

そう言って濱口は控え室を後にする。


電話を終えたマネージャーの佐野さんが

『女神ちゃん緊張してない?』

『大丈夫?』と聞いてくるが

佐野さんの方が緊張しているようだった。


時計を見て、まだ時間があると思った

彼女は

『ちょっとトイレに行ってきます』と

言って、控え室の外に出た。


すぐに女子トイレを見つけて1番奥にある

個室へと入り立花に電話をする。


すぐに立花に繋がり

『もうすぐ始まっちゃいますよ』と

立花に話し始めたのである。


『もう始まるのか?』

時計は10時、午前中に記者会見って

やるものなのか?そう思っていると


『記者会見は14時からなんですけど』

『全体リハーサルが11時から

スタートするんです』と報告してきた。


『頑張れよ、としか俺は言えないけど』

『トップアイドルが近づくんだから』

『ココが踏ん張りどころだよ』と

立花が言うと


『会場には来れないですよね?』と

彼女が心細い口調で聞いてくる。


今日は会社を休んでいるので、行こうと

思えば会場には行ける。


記者会見には死んでも参加はしない

だが会場で女神を応援するのは可能では?


『いまさら部外者の俺は会場に

入れないだろう?』と言うと


『会長さんに頼んでみましょうか?』と

提案してくる。


確かに猪木会長に言えば何とかなりそうだ


『でも記者会見には絶対に出ないし』

『行けたら、行くって感じだし』と

あまり乗り気ではない感じを

彼女に伝えてみたが


『本当ですか?』と彼女の声が変わり

絶対に来る前提の話になっている。


『行けるか、わからないし』

『絶対じゃないぞ?』と立花は言うが


『立花さんが会場にいてくれるだけで』

『1人じゃないと思って、頑張れます』と

既に嬉しそうだ。


そこまで言われてゴネるのは

男として情けないと思い

『とりあえず会長に連絡してみるよ』と

来場の可能性を伝えると


『ヤッタ-』と

彼女が大声で大喜びした。


彼女が電話をしているのは

女子トイレなので隣の個室にいた人は

ビックリして

出ていたウンコが引っ込んだ。


『まだ確定じゃないぞ』

女神に念を押したが


『着いたら連絡してくださいね』と

彼女は記者会見の会場で抱きつきそうな

雰囲気で興奮している。


やがて彼女との電話を切った立花は

猪木会長に電話を入れた。


『あぁ、そうだ、そのままで大丈夫だ』

『すいません、打ち合わせ中でした』と

言いながら猪木会長が受電する。


『突然、すいません、かけ直しますよ』

立花が切ろうとすると


『保護者として心配ですか?』と

笑いながら会長が話しを続ける。


『まぁ、そんなところで』

『今日の記者会見に俺も見学に行っても

良いのかな?と思いまして』と切り出すと


『見学なんて言わず出席してくださいよ』と

笑えない冗談を言ってくる。


『そう言うと思っていたから

行きたくなかったんだよな』と

立花が悪態をつくと


『奥様に会場に来て欲しいと

言われたのではないですか?』と

サラッと怖い事を会長が言ってきた。


『奥様?』

『奥様って何ですか?』と

立花が質問すると


『女神さんが立花さんの奥さんになるから

トップアイドルに成るって

嬉しそうに話されていましたよ』と

言ってきたのだ。


『会長、周りに人は?』


女神の結婚話を周囲の人に発表されたら

たまったもんじゃない


心配になった立花が確認すると


『すいません、ご安心ください』

『今は1人で別室に来ております』と

説明をしてきた。


ふぅ〜、とタメ息をついた立花だが

『アイツそんな話をしていたんですか?』と

別の角度のビックリ話を確認すると


『私が言った事は内緒にしてください』と

クチを滑らせた事をクチ止めしてくるが

会長以外には喋ってないので

立花に告げ口をした犯人は絞られる。


『それは、それとして』

『会場に行っても良いんですか?』と

立花が確認すると


『どうぞ、お越しください』

『特等席を準備して、お待ちしてます』と

ご機嫌な口調で答える猪木会長だ。


『それが怖いんだよな』と立花が

難色を示すと


『場所はお好きな場所をお選び下さい』

『立花さんに来て頂けるだけで光栄です』


『アナタと私が作ったエクシブハンターが

最高の場所でお披露目をする機会なんです』


そう言われた立花も感慨深いものがある。


沼に沈んでいた自分を救ってくれた

ゲ-ムの最高舞台


『確かに俺も見たいです』と

本音を会長に伝えると


大帝国ホテルに着いてからの説明を聞く。


アパートから1時間もかからないだろう?


猪木会長との電話を切った立花は

無駄な休みになりそうだった今日を

最高の休日に変えるタメに

大帝国ホテルへと向かうのであった。




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