立花さんの浮気 1
深夜にタクシーで帰った立花は
およそ2時間ほどの睡眠で
会社に行く事となった。
人によって違うだろうが
立花は中途半端に寝ると返って
睡魔が強くなるタイプだった。
満員の通勤電車の中で、今日の予定を
頭の中で思い出しているが
脳が全く起きず可動しない。
そんな今日の予定の中に蝶野正子との
食事に行く事が思い出された。
今日は体調が良くないから、
別の日に変更をしてもらおう、
そう考えていた立花の願いは
出社した蝶野正子の服装を見て
言い出せなくなってしまったのである。
普段からOLさんが着るビジネスス-ツでは
過激な部類を着ていた彼女だが
今日の服装はブラウスの胸元が
第三ボタンまで開いており
豊満な彼女の胸の谷間が
普通の状態で見えるほどだ。
スカ-トに関して言えば
タイトスカートと言うよりミニスカートで、
股下5cmほどになっており
ハロウィンの時期に渋谷に出没する
露出狂と変わらないレベルだろう。
オフィス内の男子は未婚.既婚問わず
彼女の服装に刺激を受けており
用もないのに蝶野の机周辺を
うろつく男性社員が多かった事で分かる。
そんな彼女が立花が出社したのを見つけ
『おはようございます立花さん』と
朝の挨拶をしてきた。
おじぎした瞬間に彼女の谷間が見えてしまい
視線を逸らす為に立花が横を向きながら
『おはよう』と返すと
『今日の店、20時から予約してます』と
彼女が大きな声で話し男性社員がザワつく。
あの過激な服装は立花と
今夜デ-トする為の衣装だと、
周辺に誇示しているようなもので
立花のやつ、今夜は蝶野とホテルか?
やっかみや怨念のような嫉みが会社内に
どんよりと、よどんでいるが
蝶野は関係なく
『今夜楽しみにしていますからね』と
フロア中に聞こえるように話す。
そんな彼女に
『体調があまり良くないんだけど』と
立花がダメ元で蝶野に泣き事を言ってみるが
『夜までには復活しますよ』と言って
全く取り合ってくれない。
睡眠不足なので一分でも早く帰って寝たい
そんな気持ちで
『開始時間を早める事は出来ないか?』
20時の開始を少しでも早めたくて
蝶野に頼んでみるが
『予約しているからムリですよ』と言って
蝶野が却下する。
確かに前もって決まっていた約束だし
寝不足は自分の責任だからしょうがない。
諦めた立花は
『よろしくお願いします』と言って
自分のイスに腰掛けた。
この、わずかな時間の中にも蝶野の
考えられた策略が散りばめられていた。
女子社員に対しては、立花は自分が
狙っているから手を出すなという牽制で
男子社員には社内で彼女を誘ってくる
鬱陶しい連中を諦めさせる効果があった。
社内恋愛は別れた後が気まずいので
付き合ったら結婚するしかない。
それを分かっていながら蝶野が立花を
誘っていたので周りの人間は
それを認識した時点で蝶野は立花のモノに
なったとして諦めないといけない。
立花は後輩と軽く晩御飯を食べに行く程度と
軽く考えていたが、
蝶野のアピールを見ていた会社の人間は
そう思っていなかったのだ。
それに飲み会のスタートを19時にせずに
20時スタートにしたのも、あえてであった。
19時スタートだと、最初の店で2時間
次の店にハシゴして2時間で23時終わりで
1番良いタイミングでギリギリの終電で
帰られてしまう。
それが1時間遅くなると最後の店を出た時間が
24時なので終電が間に合わない。
必然的に何処かにお泊りになってしまう。
本来は男が狙った女の子を落とす為に
使う技だが蝶野はそれを仕掛けてきた。
通常の火曜日なので、立花も蝶野も
自分の担当先を回って仕事をこなし
やがて夕方になっていく。
20時に店の予約なので、移動時間を考えると
会社を19時20分に出れば間に合う。
立花は仕事を19時に終えており
早めに蝶野に指示された店へと向かう。
日中に絵色女神とのLINEをしていたが
向こうは若さで睡眠不足を
吹き飛ばしていたようで
元気いっぱいのメッセージが
たくさん来ていた。
初めて着る可愛い服や素敵な服に感動して
専属のメイクさんに綺麗にして貰い
いつもと違うイメージになった写真を
何枚も送ってきていた。
『アナタの奥さんとして恥ずかしくない
アイドルになってきます』と
昨夜の言葉がカラ回りしており少し不安だが
『がんばれよ』とメッセージをする。
立花は寝落ちした時の事を考えて
『これから後輩とご飯に行ってきます』
『今の段階で眠くて倒れそうなんで』
『もしかしたら、
レスが出来ないかもしれないけど』
『心配しないでください』と送っておいた。
彼女の話では今日はポスター撮影だった筈
カメラマンの気分次第では撮影が延長され
終わる時間が未定と言っていたので
このメッセージを見るのは夜中かもしれない。
そんな事を考えてLINEを打ち終えた。
蝶野が伝えていた店は高級な日本料理店で
場違いでは?と思ったが、のれんをくぐって
『蝶野の名前で予約していると思うのですが』と伝えると
名簿を確認すると
『お連れ様はお見えになっています』と
中居さんが店舗奥へと案内して
個室へと立花を誘導する。
ふすまを開けると、すでに蝶野が来ており
『お疲れ様です』と挨拶をして
向かいの席に立花を座らせた。
『ずいぶん高級そうな店だな?』
室内の装飾をキョロキョロと見渡しながら
あぐらをかいた立花が話しかけると
『立花さんへの御礼だから、頑張って
奮発しちゃいました』と笑顔で答えてくる。
高級な雰囲気で落ち着かない立花に
『飲み物は何にします?』と蝶野が
聞いてきた。
『じゃあビ-ルで』と言うと
蝶野正子も同じモノを頼んで乾杯をする。
次から次へと出てくる料理は初めて見る
料理が多くて味は美味いが素材が分からない。
蝶野に何料理なのか?と質問するが
日本料理ですよと言って、はぐらかす。
だがゼラチン質の素材は美味くて料理も
酒もどんどん進んでいく。
『立花さんって知識が多いですよね?』
向かいあった蝶野が立花を見つめながら
ウットリした表情で言ってきた。
『何の知識が多いの?』
特に気にする事もなく彼女に聞き返すと
『昨日デジタルトランスフォーメ-ションの事を立花さんに質問したじゃないですか?』
『あの質問を立花さんの前に、何人かの社内の他の人にも質問したんですよ』
『でも誰も答えられなかったんですよね』
『答えられたの立花さんだけでした』
『やっぱり立花さんは優秀ですね?』と
ろれつが回らなくなった口調で立花に
語ってきたのである。
『たまたまだろ?』
立花はそう答えているが視線は料理を食べて
下を向いている蝶野の胸の谷間を見ていた。
カラダが熱くなってきて心臓がドクドク
し始めている。
寝不足で酒を飲んだから、酔ってきたか?
見てはいけない後輩社員の胸の谷間から
目が離せない。
それと少しエッチな気分でムラムラしてきて
立花の立花がムクムクと硬くなってきたのだ。
あのオッパイ揉んだら柔らかいんだろうな?
昨日の絵色女神の胸を揉んだ感覚を脳が
覚えており思い出して興奮してきた。
『立花さん聞いてます?』
蝶野に呼ばれて立花はコッチの世界に
戻って来て
『うん、何だっけ?』と、取り繕うが
蝶野は自分の胸を立花が見ていた事に
気付いている。
『どの資格なら私にも取れるか?』
『アドバイスして下さいよ』
そう言って資格取得本を並べた。
策士、蝶野は考えていた。
今までイケメンを落としてきた時は相手の
好きな事や趣味に興味を持っているフリを
見せて距離を縮めていく作戦だったが
立花が何に興味を持っているか?分からない。
先日の取引先で見せた後輩を守る先輩の姿
入手困難な国家資格を取りたい。
優しい先輩なら後輩に教えてくれる筈
その部分に勝負をかけたのだ。
『ソッチに行って良いですか?』
そう言って資格本を持って立花の横に座り
料理をどかして机の上に本を並べて
真横で密着するようにした。
『私も立花さんみたいに資格を取って』
『知識武装して仕事に活かしたいんです』
そう言って教えを請う可愛い後輩を演じる
蝶野だが、
ブラウスの胸元を開いて立花の横に
座っているので水色のブラの柄まで
認識出来るほどの至近距離だ。
当然、立花も彼女が見せつけている事に
気付いていたが
彼女がつけている香水の匂いも手伝い
豊満な胸元を凝視してしまうのである。
『情報処理技術者は、どうですか?』
蝶野が立花に質問しているが、
立花は彼女の胸元を見続けており
『あ、うん』と
カラ返事しかしてこない。
見てる、見てる。
蝶野の作戦が始まりだしたのだ。
『立花さん、私の胸が見たいんですか?』
蝶野が聞くと
『あ、ごめん違うんだ』と
慌てて視線を外すが、
その姿は何も違っておらず
覗き見がバレたようで滑稽だ。
『落ち着いてください』
そう言って蝶野が差し出した飲み物を
一気に飲み干した立花であったが
恥ずかしさが強くて、立花は何を飲んだか
味すら分かっていなかったが
立花が飲んだのはスッポンの生き血だった
今日、蝶野が立花の為に準備したのは
スッポン料理のフルコースだったのだ。
古来より日本では精力復活に効果アリと
言われているスッポンは
調理の仕方で最高の食材となり
美味で興奮剤となりおじいちゃんも
ギンギンとなる食材だった。
そんなモノを20代の健康男子が食すれば
何もしなくてもギンギンになるのに
すぐ横で露出度高めの服装で蝶野が
迫って来たらカチンカチンになるのは
当然な事だろう。
蝶野は気にいったイケメンに彼女がいても
必ず掠奪してきた経験がある。
一度、自分と肉体関係を持てばトリコにする
技術と自信を持っていたからだ。
『立花さんは情報処理技術者を取った時に
どんな参考書を使ってたんですか?』
蝶野はあくまで先輩に、資格を取る為の
アドバイスを受けている姿勢で
可愛い後輩を演じているが
彼女の視線の先は立花のズボンの一部だった。
ヨシ、カチンカチンになっている。
心の中でガッツポーズをする蝶野。
『参考書?忘れちゃったな』
そう立花は答えているが、またも蝶野の
胸元を凝視している。
胸を見ていてバレた、さっきの恥ずかしさは
カラダ中を逆流するように湧き上がってくる
激しい性欲には勝てなくなっていたのだ。
『立花さんが使っていた参考書
私に貸してくれませんか?』
勉強熱心な後輩は自分の胸を先輩の
腕の上に載せて頼んできた。
オッパイだ、手のひらで触りたい
性欲に支配された立花が
『今度、貸してあげるよ』
ギリギリ会話が成立させて答えると
『これから立花さんの家に行って借りても
良いですか?』と胸を押し付けながら
頼んできたのだ。
後輩が家に来る
男の1人暮らしのアパート
ダメだろう
ギリギリの理性で
『明日、会社に持って行くよ』と
立花が答えると
蝶野は胸を更に押し付けて
『今日、貸してくれたら』
『オッパイ見せてあげる』と
立花の耳元で囁いたのであった。
ズッキュン
血液が全てアドレナリンになる
あの性欲マックスの興奮状態が降りてきて
『じゃあ俺の家に行こうか?』と
彼女に言ってしまったのである。
全て蝶野正子の書いたシナリオ通りとなり
完全勝利で高笑いする彼女
その頃、何も知らない絵色女神は
遠く離れた千葉県のスタジオで
ポスター撮影を続けていたのであった。




