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トップアイドル扱い

木曜日には立花と1日デ-トの予定だった。


何を着て行こう?

何を話そう?


楽しみで昨日から、そればかりを考えていた。


そんな楽しみにしていた休日が消えてしまったのだ。


その事が彼女にはショックだったが

大人たちは、彼女にお構いなしに打ち合わせを続けていく。


グループマネージャーの佐野さんが、絵色女神の専属になる事が決まり


スタイリストとメイクも専任者がつくことも決まっていった。


更に今までの電車移動で現地集合、

現地解散もなくなり専用の送迎車が準備されるのは


権太坂36のキャプテンである前田明子と同じ、トップ待遇だ。


1番低い末席から一気に30人抜きで、トップ扱いになったので


本来なら大喜びして良い話の筈だが、絵色女神は不満であり不安でもあった。


送迎用の車が準備されてしまったら自宅への送り迎えで毎日が車移動なので


仕事帰りに電車に乗って立花の家に直行して、お泊りする事が出来なくなる。


泊まった翌朝、仕事現場に向かう為に立花と一緒に歩く、自由が丘駅までの徒歩が彼女は好きだったからだ。


スタイリストが付くと、服はスタイリストがメ-カ-から用意してくれるので


服選びには困らないのだが、せっかく立花に買って貰った服を着て雑誌に出る夢は叶わなくなる。


ゲ-ム雑誌の取材で喜んで、Yahooニュースに載って喜んでいたのが昔のように感じてしまうほど


大きな仕事が立て続けに決まっていき、絵色女神は精神的に疲弊していた。


休む暇もなくマネージャーの佐野さんと一緒に、急遽決まった


木曜日の記者会見の準備で衣装合わせの為に、サニーミュージックの本社を出る彼女である。


車の中なら立花にLINEが打てると思っていたが、マネージャーの佐野さんが


移動中の車の中で今後の説明と打ち合わせをするので、それすらも出来なかった。


佐山サトシと絵色女神が抜けたサニーミュージック本社では残った大人が4人、打ち合わせを続けていた。


広告代理店の濱口はスマホで調べたようで

『GODってゲ-マ-が黒幕で、猪木会長にCM依頼をしたり』

『佐山サトシに新曲を作らせたって事ですよね?』


『GODってのは何者なんですか?』と

山田プロデュ-サ-に尋ねる。


『いや〜、実は俺も詳しく知らないんですよ』

『番組内で女神が喋っていた感じだと、ゲ-ムの世界で知り合って』

『色々とリモートでゲ-ムを教えて貰ったって聞いてますけど』と説明をした。


『山田さん、そんなので良いんですか?』

『オタクのタレントが訳の分からない輩に騙されているかもしれないんですよ?』と

心配する素振りで言うが


当の山田プロデュ-サ-は

『ウチとしては実害は何も出てないし』

『むしろ有難い話ばかり運んでくれる、福の神みたいな存在になっていますよ』と

笑顔で答えてきた。


それを聞いた濱口は反発するように

『そんな悠長な事を言っていて良いんですか?』


『相手は何処の馬の骨とも分からない』

『オタクなゲ-ム野郎なんですよ』と

濱口が言ったところで


『濱口さん、それ以上GODさんを侮辱する発言をするなら』

『私から、当社の会長に報告します』と

怒った口調で坂口が告げてきた。


『いや〜、オリファルコンさんを侮辱した訳じゃないですし』と

慌てて弁解をする濱口に


『当社の社長の椅子と副社長の椅子が空位な事をご存知でしょうか?』と

広報担当の坂口が、みんなに聞いてくる。


『当社の発展に大変寄与されたGODさんを、お招きする為にイスを準備して待っているとの噂です』


『さらに佐山サトシさんが、あれだけ心酔していたGODさんです』

『ここは彼も所属しているサニーミュージック本社ですから』

『今の濱口さんの話が佐山サトシさんの耳に入ったら』

『この業界で、どうなっちゃうんでしょうね?』と

お喋りが過ぎた濱口に聞くと、顔面蒼白になって

『もう何も言いません』と頭を下げて詫びたのである。


ゲ-ム業界1位のオリファルコン、音楽業界1位のサニーミュージックを敵に回したら


広告代理店の担当者は業界から抹殺されてしまうだろう。


話を変えるように

『打ち合わせを再開しましょう?』と

濱口が言って、話し合いは再開された。


場所は立花のオフィスに戻る。


外回りを終わらせて立花がオフィスに戻って来たのは18時過ぎだった。


お昼休みから職場に戻るまでの間に絵色女神からのLINEは入らなかった事は少し心配だったが


佐山サトシから

『権太坂36の新曲をさっき届けて来ました』と

報告が入っていた。


さらに

『サニーミュージックの本社で打ち合わせ中の絵色さんにも、お会いしてきました』との報告も合わせて入っている。


『本物も可愛いですね』の一文が最後に入っており


そのLINEを読んだ立花は佐山に謝辞をすぐに送った。


『昨日の今日で、迅速に新曲をご準備頂いたようで深謝致します』

『今日はサイトに行くつもりですので、後で共闘しましょう?』

そのLINEを送った3分後に


『師匠の指導を待っております』と返信が入った。


他には猪木会長からのメ-ルが入っている事に気付いた。


『今週の記者会見時にGOD andビ-ナス参戦を発表します』と報告が来た。


CM出演やイメージガ-ル就任、彼女を大抜擢して貰っているのでイヤとは言えない。


『お手やわらかに、お願いします』とだけ書いて返信をする。


そろそろ仕事を終わらせて帰る準備をしようかな?と思った時に


『立花さん、教えて貰って良いですか?』と

蝶野正子が話し掛けてきた。


書類を持って立花の机の横に立っており、断る選択肢は無さそうだ。


『明日訪問するア-ムズ社のデジタルトランスフォーメ-ションで』

『IOTのマニュアルなんですけど?』

そう言って書類を立花に差し出した。


蝶野は立花に聞く前に社内で仕事が出来ると言われている5人に既に質問をしている。


だが誰一人、マニュアルを見て蝶野に説明を出来た人間はいなかった。


すると立花は、すぐに

『DXの変革部分じゃなく、レコメンドから考えると分かり易いんだよ』と言って


彼女にも分かる説明で簡潔に説明をしてくれたのだ。


やっぱり立花さんは本物だ。


そう確信した蝶野は

『ありがとうございます』

『明日のお店は期待してくださいね』と言って

自分の机に戻って行った。


後輩への助言も終わり今日の仕事の目処はついた、

今まで空いた時間に知り合いにLINEやメ-ルを送る生活をしていなかった立花は気疲れしており


仕事の疲労もあって早く帰りたい気持ちが大きくなり、店じまいをして会社を出る事にする。


すると、ビルの入り口を出た瞬間、立花の前に人が現れた。


それは武藤慶子だった。


営業じゃなく総務関係の仕事をしている彼女は残業はないので


この時間に会社にいるのは珍しい


さっき強く言い過ぎたのを多少後悔していた立花は

『お疲れ様、誰かと待ち合わせ?』と

優しく慶子に話しかけると


『立花さんを待ってました』と

笑顔で答えてくる。


『え?俺?』

予想外の答えに驚いていると


『さっきのお詫びに、お酒を奢らせてください』と飲みに誘ってきたのだ。


蝶野と食事に行くのも絵色女神は、プンプンしていた。


おそらく今夜はCMの件や佐山サトシの曲の件で電話がくるだろう。


それに佐山サトシとエクシブハンターで共闘する約束もしている。


慶子と飲みに行っている場合じゃない。


『ごめん慶子ちゃん、疲れているからすぐに帰りたいんだ』

『今日の事は気にしていないから大丈夫だから』と言って断わると


すねたような表情になり

『蝶野さんとはご飯に行くのに』と言って

下を向いてしまう。


弱ったな


会社の前での、このやり取りはマズい。

誰かに見られてしまったら、また面倒な事になる


そう思っていた時に武藤慶子が立花に近づき、耳元で


『わたし、すごくエッチなんです』と囁いたのだ。


武藤慶子の見た目は清楚系なので、そのギャップの爆発力は絶大だ。


飲みに行きましょう?

わたしエッチです。

小学生の足し算レベルの計算だ。


男にとって魔法のような言葉だったが

『おやすなさい』と言って

立花は武藤慶子の横を通り過ぎていった。


おそらく女性にとっての切り札を出したつもりで、あっただろうが


武藤慶子の攻撃は立花には効かなかった。


いや、実際は効いていた。


一瞬、頭の中で色っぽい武藤慶子を想像して、立花の立花はハ-フになっていた。


だが今の立花には絵色女神がいる。


ズボンの膨らみが邪魔で、やや歩きづらい姿で立花は家路を急いだ。


コンビニ弁当を買ってアパートに着く日常

いつもの立花のトワイライトタイムだ。


昼から絵色女神の連絡は来ていないが、打ち合わせが長引いているのだろう。


『こちらは仕事が終わって帰宅しました』と、彼女にLINEを送る。


これで、家でまったりしても問題はない。


急いでハンバーグ弁当を食べ終えて、

エクシブハンターを起動し、ログインしてみるとギャラリーが多い事に気づいた。


なんか、いつもの倍のギャラリーがいるな

立花は、そう実感するも

いつものようにチ-ムのログハウスに向かうと


トニ-とフランキーが来ており、メッセージ機能で

『ビ-ナス効果で大騒ぎです』と

フランキーが事情を説明してくれた。


テレビやネットニュースの影響だな?


ギャラリーが多いほど、注目が集まり

強いてはビ-ナスが世間に認知されるのでは?と考え


フランキーに

『新技を披露したら、どうですか?』と

メッセージをする。


そのメッセージを見たフランキーが

『了解です』と返して

GODチ-ムのログハウス周辺に集まっていた敵に攻撃を仕掛けた。


雷と共に、地割れが起きて敵が全滅する。


見ていたギャラリーもメッセージ機能で

『初めて見る技だ』

『ビ-ナス以外も新技があるのか?』と

予想通りの騒ぎになってきた。


佐山サトシは新技フランキーを連発して、大喜びをしている。


そこにGODしか持っていない技が加わり、無双状態となるチ-ム


立花自身も久しぶりにゲ-ムを楽しんでいた時に、絵色女神からLINEが入った。


『ごめん、ちょっと落ちます』

そう言ってログアウトして確認をしようとする。


『すごく大喜びして、自慢しているメッセージかな?』

そう思って立花がLINEを見ると


『アタシ芸能界、辞めたくなりました』


そんな驚くべきメッセージが彼女から届けられてきたのであった。









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