夜明けの女神様
明日の事を考えて早々に寝る事にした2人
絵色女神はベッドで寝て、立花は床に服を敷いて寝る事となった。
だがテレビ放映の直後で興奮冷めやらない彼女は『もう少し先輩達みたいに、上手くリアクションを取らないとダメかな?』と自己反省をしている。
『上手に立ち振る舞っていたんじゃない?』
立花が、そう言うが
『先輩達は、どの角度から話が来ても上手に、話を盛り上げているんですよ』と
今日の放送で、自分の活躍だけじゃなく
先輩達がテレビで映されていた時に注意していたようだった。
『今日は、たまたまアタシがメインでしたけど』
『次回、別の日の撮影の時に、たくさん映れるように考えてみます』と決意を伝えてくる。
実際、テレビ放映中の彼女の真剣な眼差しを横で見ていた立花は
彼女が今後のパフォーマンスの事を考えていると感じていた。
『もう、今日のOAの話はこれで終わりです』
ベッドに寝ていた彼女は、そう言って話を終わらせる。
下に寝ていた立花は、彼女の表情が見えていなかったので
それ以降を突っ込む事なく寝る体制に入ろうとした。
上のベッドで寝ていた彼女は、それを察知して、『立花さん、もう寝ようとしてません?』と、絡んでくる。
『明日も仕事でしょ、早く寝ないと』と
身体の事を考えて睡眠を優先させるように促すが
『まだ寝れません』と、彼女はゴネだした。
『なら、もう少し話す?』
立花が、そう聞くと
『ソッチに行っても良いですか?』と明るい声で聞いてきたのである。
『話すだけなら、このままで良いんじゃない?』さっきの暴走してしまった事があり、立花がそう提案するが
『上と下だと表情が分かりません』
『どんな顔で喋っているか、それを見るのもお喋りです』と
彼女が反論する。
確かに一理ある、と納得した立花が
『どうぞ』と言って、自分が寝ていた床でモゾモゾと動いてスペースを作った。
『お邪魔します』
絵色女神がそう言ってベッドから降りてきて床に寝転んだ。
立花が彼女に背中を向けて寝ている姿に
『ちゃんとコッチを向いてください』と
絵色女神が方向転換を求める。
至近距離だとマズいだろ?
そう思いながら、身体を動かして彼女と向かい合わせになる姿勢になると
目の前の絵色女神が笑顔で
『ヨシヨシ』と頭を撫で始めた。
『俺は犬か?』
されるがままに頭を撫でられている立花が言うと
『本当に今日まで、ありがとうございました』と真剣な口調で礼を言ってきた。
『何を改まって言ってるの』
絵色女神の言葉にビックリした立花が聞くと
『今日の放送が成功したのは立花さんのおかげだし』
『立花さんがアタシにしてくれた、沢山の嬉しい事を数えていたんですよ』
『そうしたら、14個もあったんですよ』
『まず見ず知らずのアタシにLINEのIDを教えてくれて』と彼女が言ったところで
全部聞いていたら朝になってしまうと思った立花が
『そんなの気にしなくて良いよ』
『俺こそ女神ちゃんから元気を、いっぱい貰ったから、おあいこだよ』と
言葉を挟んでストップをかける。
すると絵色女神が黙りこんでしまった。
話を遮った事に怒ったのかな?
何か言うのかな?と思い
立花も黙っていると
『やっぱりベッドで話しましょう』
『お洋服を敷いても床は硬いです』
『立花さんを、こんな所に寝かせる訳にはいきません』と言って
立ち上がり、自らベッドに寝転んで
『ポン、ポン』と布団を軽く叩き
ここに来なさい、と無言のアピールをする。
言い出したら聞かないよな
しょうがなく立花も立ち上がると
『今日は寝袋持参って言わなかったっけ?』と文句を言うと
『着替えの一式を忘れてしまいました』と
舌をペロっと出して笑った。
彼女に促されるまま、ベッドで向かい合う形で寝る2人
『また俺が暴走しても知らないぞ?』
脅し文句のつもりで立花が言うと
『アタシは良いですよ』
『立花さんの気持ちの整理がついたなら』と
笑顔で答えてくる。
『ダメだろ、女の子がそんな事言っちゃ』
立花がそう注意をするが
『立花さんが、アタシにしたい事を全部して下さい』
『アタシは何も文句を言わないです』
彼女は立花の目を見つめて、真剣だという事を伝えてきた。
立花の気持ちの整理まで考えて、17才の少女は立花に全てを委ねてきたのである。
『10才上のおじさんも恋愛対象にしてくれるの?』
そんな立花の言葉に
『アタシは10才上でも恋愛対象ですし』
『立花さんは、おじさんじゃありません』と
向かい合っている立花の首に自分の両手を絡めて伝えてきた。
『今の俺の心境は』
『ダイエット中の絶食3日目で、目の前にラ-メンを出されている気分だよ』とボヤくと
『アタシはラ-メンほど美味しくないですよ』と彼女が笑顔で返してくる。
『正直、今すぐ飛びつきたい気持ちなんだけど、我慢するよ』と立花が告げた。
『心の整理って話をしてくれて、めちゃくちゃ嬉しかった』
『女神ちゃんのおかげで俺も、人を好きになる事を思い出してきたんだけど』
『でも次に好きになった人が、また俺の目の前から消えたら、もう立ち直れないと思うんだ』
立花がそう言った時に
『アタシは絶対にいなくなりません』と、彼女は言った。
だが立花は
『この前のLINEのID紛失事件の時みたいに、連絡が取れなくなってしまった時があったでしょ』
『女神ちゃんはアイドルだから、恋人は厳禁じゃない?』
『芸能事務所が本気で別れさせようとしたら、どのくらい凄いか、俺にも分かるよ』
『この前は電気屋から泣いて帰ったけど』
『次、絵色女神と連絡が取れなくなったら』
『権太坂の事務所とケンカするつもりくらいに腹を決めないといけないよね?』
『女神ちゃんの誕生日までの1ケ月、俺に時間をくれないかな?』
とお願いをして
『1ケ月後に、俺から告白をさせて下さい』
彼女の瞳を見つめ頼んできたのである。
事の流れを黙って聞いていた彼女は
『期待して良いんですか?』と立花に尋ねた。
『さっき言ったみたいに、今の俺には絵色女神しか見えていない』
『事務所やファン、世間を敵にしても』
『君を守る覚悟をする時間が欲しい』
そう言われた彼女は
『クス』と笑い
『本当に不器用ですね』と言ってきた。
男として誠心誠意を込めて、宣言した立花は
彼女に思いが届いていないと思い、拍子抜けしていると
『ズルい男の人が世の中には、いっぱい居るのは知っています』
『こんな小娘、ウソをつけば』
『いくらでも騙せるのに、』
『それを、しようともしない』
『本当に不器用だけど』
『アタシは、そんな立花さんだから好きになったんです』そう言って彼女が愛の告白をしてきた。
目の前で言われた立花は照れながら
『女神ちゃんだから、適当な事はしたくないんだよ』と誤魔化すように言い訳をする。
立花にそう言われた彼女は
『最悪アイドルを辞めるつもりはあります』と
不退転の決意を立花に宣言するが
『むしの良い話だけど』
『俺は女神ちゃんにアイドルを続けて貰いたいし、俺の側に居ても欲しい』
『バレないように、このまま付き合いたいと思っている』と
立花の思いを聞かされた。
その話を聞いた彼女も
『出来るなら、アタシもそれが一番嬉しいんです』
『頑張ってバレないようにします』と
立花に誓ったのである。
『安心出来た?』
立花の問いかけに
『安心出来ました』と、彼女が答えたので
『なら明日も、仕事があるんだから寝ようか?』と立花が就寝を促すが、彼女からの返答はない。
『まだ何か?』
返事をしない彼女に立花が聞くと
『エッチは18才になってから、しないと法律違反だって言ってたじゃないですか?』
『キスも18才にならないと、しちゃダメなんですか?』と彼女が質問してきたのである。
『キスか?』
確かに、しても良い気もするしダメな気もする。
『そもそも、どうやって警察は分かるんですか?』と、更なる質問を被せてきて立花を困らせた。
『ファンの人が嗅ぎつけて、警察に通報するのかな?』と立花が答えたが
『ここにはアタシと立花さんしかいません』
彼女がそう言った後、深夜のアパートに沈黙が流れた。
『今日の放送の出来が100点だって、褒めて貰いました』
『ご褒美が欲しいです』
絵色女神が、そう言って
おねだりをしてくる。
彼女が最初にアパートに泊まった時も、そうだった。
目の前には絵色女神の顔があり、身体を動かせば唇に触れそうな距離だ。
『チュッ』
立花が頭を浮かせて彼女の唇を奪った。
すぐに立花は頭を戻したが、突然の出来事に彼女は目を見開いたままだ。
『俺が何をしても、許されるんだろ?』
立花が、そう言ったが彼女は何も言い返してこずに固まったままである。
『女神ちゃん?』
立花に、再び話しかけられて彼女が我に返り
『ファ-ストキスでした』と呟いた。
『ゴメン、イヤだった?』
立花が、そう聞くと
『イヤじゃ、ありません』
『けど一瞬だったし、急だったから覚えていません』と感想を言ってきたので
『もう一回する?』と
立花が聞くと
『はい』と即答した。
改めて立花が頭を浮かせて彼女の顔に自分の唇を近づけた。
その瞬間、彼女が立花の後頭部を押さえて、自分に押し付けるようにする。
唇と唇が接して、お互いの体温を感じられるほど、くっつけていた。
やがて立花が頭にチカラを入れると、彼女も後頭部を押さえていたチカラを緩め、2人は離れたのである。
ゆっくりと閉じていた目を開いた彼女は
『ご褒美ですか?』と立花に質問すると
『一回目は、ご褒美です』と言った後、ゴニョゴニョとクチごもったので
『2回目は?』と彼女が聞くと
『2回目は、俺がしたかったから』と立花が照れながら答えた。
『3回目はアタシがしたいです。と言った瞬間
彼女は自分の頭を浮かせて、立花の唇を奪いに行く。
この日結局、5回目までキスは行われた。




