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女神様の決心 2

立花shock、後にそう言われた騒動はまだ続いていた。


それは藤波係長が司会をしていた朝礼で、昨日の立花の機転が事例として発表され、

朝礼が終わった後

『ダウングレードの方法を教えてくれ』と

何人も営業が立花に集まって教えを乞う姿に象徴されている。


1人1人に丁寧に説明する立花の姿を女子社員が、ウットリと見とれており

男女問わず、立花に対する昨日までの対応と雲泥の差があったのだった。


蝶野も他の女子社員が立花に色目を使い始めた事に気付いており


すぐに女子社員のグループLINEに

『立花さんと火曜日の夜にお酒に行く事になりました』と

勝利宣言とも取れる投稿した事で


お前らとは違うんだよ、と宣戦布告をして戦いの火種を大きくしていたのである。


立花に対しての案件相談がひと段落した後、藤波係長が立花の元に来て

『ちょっと良いかな?』と

別室へ呼び出して面談を始めた。


来客用の応接室は、時に上司と部下の打ち合わせの場所としても利用される。


対面する形で藤波係長と立花が座ると

『昨日は本当に、ご苦労様』と

立花に対してのねぎらいの言葉をかけた。


立花は、それほど騒がれる事をした認識がなかったので

『そんな対した事はしていないです』と謙遜すると、藤波係長は黙ってしまい次の言葉が出てこない。


30秒ほど無言の時間が過ぎた時に

『じゃあ、席に戻って良いですか?』と

会話が終了したと思い

立花が中座しようとした時に


『辞めないわよね?』と藤波係長が突然聞いてきたのである。


『辞める?』


突然、そんな事を聞かれた立花は意味が分からず

『誰が辞めるんですか?』と

藤波係長に聞くと


恥ずかしそうに

『立花だよ』と、頬を赤らめながら言ってきた。


『俺ですか?』

『辞めませんけど、誰かそんな事を噂しているんですか?』と確認すると


『いや誰も、そんな事を言ってないけど』

『資格を取り出したから、転職するのかな?と思って』

そう言った後、下を向いてしまう。


『資格は前から取っていたので』

『最近って訳じゃないんですよ』

『昨日もゴ-ゴルに転職しないか?って』

『からかわれたけど断りましたから』と

立花が説明すると


『本当に辞めないでよ』と

立花の目を見つめて藤波係長が頼んでくる。


その瞳は愛する者を見つめる視線だったが、女性関係から疎遠になっていた立花には理解出来ず


部下に辞められると困る上司と映り

『もし、辞めたくなった時には、1番最初に係長に報告しますから安心して下さい』と

変に期待を持たせる言葉となっていた。


『辞めたら、イヤだからね』

普段は男勝りの係長が見せた女の部分だったが、立花には届いていない。


『じゃあ戻りますね』

立花は、そう言って応接室を出て行ったが、藤波係長は1人しばらく部屋に残っていた。


同僚へのレクチャーや係長との面談で、仕事のスタートが遅くなったが


今夜は絵色女神と家電購入デ-トの予定があるので今日は絶対に残業は出来ない。


早く自分の仕事を終わらせよう、そう思った矢先に

『立花さん明日の土曜日に映画に行きませか?』と

さっきお茶をいれてくれた慶子ちゃんが誘ってきた。


突然の出来事に立花がビックリしていると

『異世界おじさんの劇場版の招待券が2枚あるんです』

『良かったら、一緒にどうですか?』と

グイグイとアプローチをかけてきた。


『明日は先約があるから厳しいかな?』と

やんわりと断ると


『だったら日曜日は、どうですか?』と

誘いの手を緩める事なくアタックを続ける。


『日曜日は洗濯を1週間分しないとダメな日なんだよ』と立花が言うと


『私が洗濯をしに行きますよ』と

チャンスとばかりに彼女が前のめりになる。


『コインランドリーに行くから大丈夫です』

終わらない勧誘に、戸惑っていた立花だが、自分の担当先に行く時間が迫って来ている事に気付き


『ごめん、アポの時間が来たから行くね』と、

逃げるように外出してしまった。


『慶子ちゃん友達が少ないのかな?』

『映画なら俺じゃなくても、いいだろ?』

そんな独り言を言いながら、お得意様の会社に向かう立花だった。


その頃、絵色女神は演技レッスン教室で講師から個別指導を受けていた。


会社の方針でアイドル活動だけではなく、各種方面で活躍できるように色々なレッスン教室に通わせていたのだ。


1時間ほどのレッスンが終わった時に40代の女性講師が

『女神ちゃん、すごい良くなっているわ』

『表情が2段階くらい輝いているもの』と

彼女を褒めだした。


『そうですか』

彼女は何事もなかったように答えたが、演技レッスン中に立花が目の前にいるつもりで演技をしていたのだ。


立花に別れを言う演技の時は、本当に悲しそうに


立花と久々の再会をした演技の時は、満面の笑みを浮かべて感情を表現していた。


『何か良い事あった?』

この手の年配の女性が、この手の質問をした時は

『良い男が出来た?』と言う意味だ。


恋をしている女性は綺麗になると言われているのは、この辺りも関係しているだろう。


『特別ないですけど』

そう答えて下を向いた絵色女神の態度が全てを物語っている。


ピ-ンと来た女性講師は

『今度新しいドラマのオ-ディションの話が来ているけど受けてみる?』と彼女を誘うと


『本当ですか?お願いします』と

大喜びで即答した。


ドラマや映画の出演には一般募集の物もあるが、大概は関係者からの推薦でオ-ディションに参加出来るか?が決まる。


ゆえに、推薦した人間も恥をかいてしまうので、誰でも推す訳ではない。


絵色女神も、その事を充分知っていたので喜びを爆発させていたのだった。


演技レッスンが終わった彼女は、すぐに立花にLINEを送る。

『新しく始まるドラマのオ-ディションを受けさせて貰える事になりました』


立花も今日は移動中だったので、すぐにLINEに気付き

『良かったね、おめでとう』と

即レスで返す。


予想外の即レスに驚いた彼女が

『今は、お仕事中じゃないんですか?』と

再びLINEを送ると


『お仕事中です』

『電車で1人移動中なので』と

立花からのレスが届く。


『アタシも事務所に打ち合わせの為に移動中です』との彼女のレスに


『今日の家電購入に遅刻しない為に、頑張っております♪』と

立花もすぐに反応して返信をする。


『すごく楽しみにしているので』

『アタシも遅刻しないように、お仕事を頑張ります』と彼女が返信して、お互い仕事モ-ドに戻っていった。


わずかな時間、文字のみのやり取りだったが立花と繋がっている実感が出来たので絵色女神は、ご機嫌である。


スト-カ-事件の、すぐ後なので事務所の人間も打ち合わせの時に気を使おうとしていたが


何を聞いても満面の笑みで答えてくる彼女を見て、それが取り越し苦労だったと、安心した。


彼女の精神的なケアが、メインの打ち合わせだったので、事務所での打ち合わせもすぐに終了して雑誌取材が予定されている喫茶店へ向かう。


雑誌の取材も終始和やかな雰囲気の中で行われて、他のメンバーが3人いる中、絵色女神に雑誌記者の質問は集中した。


はしゃいでいると取られないギリギリの元気さは記者からすると


ム-ドメ-カ-となって、取材を受けている他の人間を炊き付けてくれる存在として現場では重宝する。


『挑戦したい事ですか?女優さんに憧れているので、ドラマにいつか出たいです』

『キスシ-ンですか?』

『今はムリです』

『でも、本当に来たら考えちゃいます』


取材をしている側も記事にし易く、笑顔で受け答えているのでカメラマンも撮影が進む。


場の空気を感じた先輩メンバーが

『ビ-ナスはネットゲ-ムも得意なんだよね?』

『今度ワタシにも教えてよ』と振ると


『何のゲ-ムですか?』と雑誌記者も食いつき


『何とかハンターだっけ?』と絵色女神に確認する。


『エクシブハンターです』

『アタシで良かったら、いつでも教えますよ』と

彼女が答えると


『本当に?嬉しい』と

先輩が答えて場が盛り上がる。


取材は順調に進んだようで早めに雑誌記者達は帰って行った。


喫茶店には権太坂のメンバーとマネージャ-だけが、残っている状態となる。


『じゃあ、ここはこれで解散で』と

終了宣言が出たので、他の仕事が無い絵色女神は本日の業務は終了となった。


早く終わってルンルン気分の彼女は、さっきの取材の流れのまま

『坂口さん、エクシブハンターだったら』

『いつでも教えますので』と

先輩メンバーに話しかけると


『はぁ?』

『ゲ-ムなんて、やんねぇよ』と

取材の時からは想像出来ない悪い態度で、その場から立ち去って行く。


その一部始終を見ていたマネージャーや他のメンバーは

『まぁ、まぁ』と

なだめすかすようなポ-ズで彼女を慰めた。


いつもなら落ち込むところだが、今日はこれからデ-トがあるので


笑顔でみんなに向かって、ダブルピ-スをして大丈夫だよの返事が出来た。


その姿が、更にみんなの好感を呼ぶ。


良い流れの時は全て、良い流れとなっていく。


今日は全てが絵色女神の味方になっている。

ウィ-クリ-マンションに一度戻る事にしたが電車の待ち時間はなく最短時間で家に着いた。


具体的な待ち合わせ時間は決めていない、

金曜日の夕方だけが決まっていた。


仕事が終わったのだからシャワーを浴びよう、他意はない、汗を流すだけだ。


いつもより5分長くシャワーを浴びた彼女はバスタオルを脇下に巻く姿で上半身を隠して


下着の入ったチェストの前で、迷っていた。


前回を含めて2回泊まったが立花は何もしてこなかった。


今回も何もしてこないだろう。


アタシが布団に潜り込まなければ。


美桜に炊きつけられていたが、彼女の中では

実行しようか?


迷っており半々の気持ちだった。


何処まで進む?


自分からアタックしてココまでで終了です、なんて通用しないだろう。


ネットの記事では、みんな最後までいっていた。


そうなった時、見られて恥ずかしくない下着


実際に彼女は勝負下着を持っていなかった。


実家で暮らしていた時の物を、そのまま持ってきたが、それも同年代の女性の中では少なかった。


家に迷惑をかけたくなくて、新しい下着が欲しいとは自分からは言い出せなかった。


アルバイト代が入った時に、上下セットで2000円の物を買ったのだが


その上下セットだけが彼女の1軍だった。


選択肢は無いのだが迷いたい乙女心である。


結局、1軍の上下お揃いの淡いブルーの下着を身に着けた。


時間は16時30分、立花はどんなに早くても自由が丘に着くのは18時くらいだろう。


自分が終わった事を立花に連絡したら、急かしているように受け取られないか?


そんな心配をしていたが、仕事が終わった事は報告しとこう、そう思い

『アタシは仕事が終わりました』とLINEを送る。


すると10分後くらいに

『了解です、こちらも残業なしで終われそうです』と立花から返信が来た。


これで今日は絶対に会える。


次は服選びだ。


ラフな格好?

清楚なイメージ?

露出が多いセクシー系?


やはり少ないレパートリーの中から、服を引っ張り出しては鏡の前で確認をする。


色々と衣装合わせをしているうちに時間はあっという間に17時を過ぎていた。


少しでも立花に可愛いく見られたい

そんな気持ちが強くて決まらない。


『ピコン』


LINEの着信音が聞こえてスマホを取りに走る。


『18時に自由が丘駅に着く予定です』

立花からの連絡を見て、すぐに

『了解しました』と返信をする。


急がなきゃ

早く終わっていたのに遅刻している場合じゃない

急いで服を選んで家を出た。


駅へと向かう彼女を見た男達が何人も振り返る。


電車に乗り込みスマホで立花と写っている写真を見返す。


昨日から何回見直しただろう。


自由が丘駅に着いたのは17時45分、早く着きすぎたが電車の中で立花から、会社を出て電車に乗った連絡は来ている。


初めて立花と会った改札前、

あの時は、まさか何度も自由が丘に来るとは思っていなかった。


これからも来るのかな?


ご飯を作る為に家電を買いに行くんじゃないか。

立花とのデ-トが楽しみで、本題を忘れている。


『ピコン』


急いでスマホを見ると

『自由が丘駅に着きました』

立花からのLINEを確認すると、キョロキョロと改札に向かう人の中から立花を探す。


いた


彼も絵色女神の姿を見つけて手を上げて、こちらに向かって歩いてきた。


立花を見つけた彼女は走り出していた。


そして立花の体に飛び込むように抱きついたのだった。


『女神ちゃん、みんな見てる』


駅の改札前で抱きつかれている会社員を、みんな不思議そうに見ていたが


絵色女神は立花に抱きついたままだった。























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