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女神様の決心 1

可愛い子は小さい時から可愛いくて親戚や近所の人から

「可愛いね、将来は女優さんか?アイドルになれるだろうね」と

言われてきて育ってきたので自分でも将来は芸能界に進むかもしれないと思ってきた。


テレビから流れる華やかな世界と優雅な生活。

貧乏とまでは言わないが、ゆとりの無い自分の環境

そこから脱出する唯一の方法がアイドルになる事だと思っていた。


小学生、中学生とクラスで一番モテており、時には

意中の人から告白される事もあったが全て断っている。


自分はアイドルに成るのだから恋愛をしているヒマはない。

芸能人は恋愛禁止という情報だけが入ってきて曲がった信念で自分に足かせを課していた。


同級生が恋人を作って楽しく過ごしていた高校生活だが、自分だけは

家庭に迷惑をかけないためにアルバイトを2つ掛け持ちをしながら

オーディションへの申し込みを続ける。


自分の夢と生活の為の我慢の毎日である高校生活の中で彼女には2つの夢があった。

「アイドルになる事」と「彼氏を作る事」


その夢に転機が訪れたのが高校2年の時だった。

書類選考で毎回落ちていたオーディションが予選を通過したのだった。


そこからは合格だけを信じて向かって行き

ついに念願のオーディション合格でゴールを迎えたと思っていた。


だが現実は、そこからが過酷なレースのスタートだったのだ。


馴染めない芸能界、親元から独立しての一人暮らしは孤独の連続で相談出来る友人も少なかった。


『こんな時に彼氏がいてくれたらな?』

気持ちが落ちていた時に発生したスト-カ-事件


精神的にもマイっていた時に現れた白馬の王子が立花だった、と越中美桜に説明したのだった。


『でも緊急避難で泊まったアパートに2日間も泊まったけど、何も手を出してこない』

『それだったら女神ちゃんからアタックするしかないじゃん』


いきさつを全て聞いた美桜は彼女にそう提案する。


『アタックって、どうすれば良いのかな?』

『そもそも、アタシが子供扱いされているだけじゃない?』

心の奥にあった心配事を美桜にぶつけると

『大丈夫、そんな事ない』

『裸を見せれば、男はみんな飛び付いてくるかさ』

そう美桜が力説しているが、彼女は腑に落ちていない。


裸なんて、ムリに決まっているじゃん


『ウチのは次の日学校があるのに寝ないで、何回もシテくるよ』

そう自分の経験を語る美桜に


『それって美桜ちゃんの彼氏が高校生だからじゃないの?』と彼女が言うと


『女神ちゃんの王子様も、同じ位の人じゃないの?』と質問する。


写真を見せるのを迷っていたが、彼女にも心配事があったので美桜にツ-ショット写真を見せる事にした。


何枚か撮った写真の中で、立花が一番良く写っていると思われる画像を美桜に提示しながら

『27才の会社員の人』

そう説明を加えて写真を見せる。


『へぇ〜、良い男じゃん』

美桜がそう感想を述べると、途端に絵色女神は笑顔になって


『そうでしょう?』と美桜に同意を求めた。


彼女の心配事は立花の顔を他の女子が何点と採点するか?との事だった。


趣味が悪い男に夢中になっていると思われたくないと言う乙女心である。


実際のところ美桜は、自分の彼氏の足元にも及ばないと思っていた。


だが女性同士の付き合いでは他人の彼氏を見た時に

『お笑いのアインシュタインの稲ちゃんクラス』が登場しない限りは


『かっこいいね』と表現する事が多い、


どうしても褒める言葉が見つからない時には

『優しそうな人だね』で逃げる事も忘れてはならない。


美桜の中で、一目惚れになった人に相手にされない絵色女神の焦り、それが今回の相談だろう?と決めつけている感がある。


絵色女神は自分の気持ちがわからないが、美桜に相談しているうちに


立花に夢中になっている自分を認識したが、立花に相手にされていない現実も再認識していた。


『女神ちゃんが夜寝る時に相手のベッドに自分から潜り込んじゃう』

『これで決まりだよ』

ドヤ顔の美桜に力説された彼女は

『そんな事、出来るかな?』と困惑をしていたのである。


告白をされた経験しかない彼女には、自分から告白やアプローチをした事がなかった。


男の人と付き合った事が無い自分が男の人のベッドに潜り込む。


『そんな大胆な事が自分に出来るか?』


木曜日の仕事をこなしながら、絵色女神の頭はその事でいっぱいだった。


相談した事で心配が大きくなってしまい

明日の家電購入デ-トの前打ち合わせの意味もあってLINEを立花に打つが


しばらく既読にもならず、やがて自分の休憩時間が終わり収録に復帰


彼女が撮影している最中にLINEに気付いた立花が

『後輩のヘルプが入ったので、今日は残業になると思います』

この返信を打ったのは、絵色女神のメッセージから1時間後であった。


休憩時間になった彼女は急いでスマホを確認、

立花のレスを確認して10分前の発信なら


まだスマホを見ているかも?と淡い期待を持ちながら

『新曲のMVは超大変、フリがキツい』と、送ったが休憩時間中にレスは来なかった。


お互いに仕事をしているならタイムリーなLINEのラリーは期待出来ないと分かっているが


心配事が多い時ほど夜中のLINEのようにクィックレスポンスを求めるものだ。


結局、立花からのレスはゴ-ゴル社の緊急対応が終わってからの22時過ぎだった。


その頃、絵色女神は権太坂36の新曲MVの撮影が伸び伸びになり


立花のレスに気付いた頃は24時を回った頃だった。


翌朝になって

『今日一日大変でしたね』

『お仕事お疲れ様でした』と言う

彼女の打ったLINEがやっと既読になった。


『ごめんね、昨日LINEを貰った時には爆睡していました』と立花がレスを返すと


すぐに

『ピコン』とLINEが反応する。


絵色女神も立花のレスを待ち続けてスマホを握り締めながら寝てしまっていたのだが


彼からのレスに気づいて飛び起き、すぐにレスを返したのだ。


『おはようございます』

『今日は予定通りで大丈夫ですか?』

不安な気持ちを隠して寝起きで回らない頭をフル稼働させて立花に送ったメッセージ


『おはよう、起こしちゃったかな?』

『何があっても今日は定時に上がって、電気屋に行きます』と立花が返信すると


『アタシも何があっても自由が丘に行きます』と

彼女からも即レスが返ってくる。


丸2日間会ってない、

今すぐ自由が丘に行きたい気持ちを隠して

『今日も一日、お仕事頑張ってください』と

彼女がエ-ルを送ると


『女神ちゃんも頑張ってね』と立花からレスが来て、それだけで大満足の彼女である。


それぞれの朝がこうやって始まったいく。


いつもの日常が戻って来た。


会社に向かう立花はそう思っていたが、異常事態は起きていた。


立花がオフィスの自分の机に座ると、机の上に花が花瓶に入って飾られている。


俺の机で合っているよな?


見慣れない風景に戸惑っていると、棚橋が近づいて来て

『良かった、生きているな』

『机に花が飾っていたから』

『死んじゃった奴かと思った』と

おどけて笑うと


『そんな冗談はやめてください』と

女性の声で棚橋に注意が入った。


2人が声の主を確認すると、そこには蝶野正子がボディラインが強調された紺のス-ツを来て立っている。


『立花さん、おはようございます』

『お花を飾ったのはワタシです』

『気にいってくれたら嬉しいです』

そう言って満面の笑みで立花を見つめていた。


状況が分からないのは棚橋だ。


女子社員には『マシン』や『ロボ』と呼ばれていた立花が女子社員に話しかけられていて


あまつさえ花を飾られるというイケメンだけが会社で受ける最上級のおもてなしに

『夢じゃないよな?』と驚いている。


思い当たるフシがあった立花が

『そんなに気を使わなくて良いよ』と

蝶野に、そう告げると


軽く頬を赤らめて

『昨日はダメでしたけど』

『今日はご飯一緒に、どうですか?』と聞いてきた。


『ご飯?』

棚橋が驚いたままクチを開けて固まっている。


『ごめん今日もダメなんだ』

『先約が入っているから定時には帰る予定なんだよ』と

立花が断ると


『そうですか』と意気消沈した感じで蝶野が落ち込んでいる。


『来週の火曜日は、どうかな?』

彼女の落ち込み具合を見て、少し気の毒になったのと


花に始まった彼女のおもてなしは、一回彼女の希望を受け入れないと続くだろう、と考えた立花が折れた感じで提案すると


『本当ですか?』

『火曜日、死んでも行きます』

立花の両手を掴んで蝶野が喜びを表現している。


棚橋は永久凍土で凍ったマンモスのように動けない。


『急用が入らなきゃ大丈夫だと思うから』

そう言う立花に対して


『絶対に予定を入れないで下さい』

蝶野は、そう言いながらスキップしながら去っていく。


蝶野が去ったのを確認した棚橋が

『ちょっと来い』と

立花を食堂に連行した。


誰もいない朝の社員食堂で棚橋の尋問が始まる。

『蝶野と何があった?』

血走った目で立花に詰め寄ると、彼は昨日のバグ事件の事を説明しだした。


『修理が終わった後、蝶野がメシを奢らせてくれ

?って言ってきたから』

『帰りたいから、今日は勘弁してって』

『で、さっきみたいな感じになりました』と

立花が説明をすると


『か〜、何でお前なんだよ』と本気で悔しがっている。


『棚橋お前、蝶野の事好きなの?』

立花が、そう聞くと


『立花、お前は何を見ているんだ』

そう言って全身を使って、残念さをアピールしてきた。


『蝶野の見た目で、あのオッパイだぞ!』

『アイツが入社してから何人の男がアタックして玉砕したと思っているんだ』

そう力説したが


『へ〜、そうなんだ』と

立花は拍子抜けするくらい淡々としている。


『立花は、あのオッパイを揉んでみたくないのか!』

『あの気の強い蝶野をベッドの中で屈服させて、苦悶の表情を浮かべさせたいだろ?』

そう棚橋が力説するが


『別に、思わないな』と

冷静に答えた。


『何故、俺じゃない』

そう言って、この世の終わりのように残念がる棚橋を残して食堂を後にする立花。


だがオフィスに戻ってからも異変は続いており

『立花さん、FAXが入ってました』と

女子社員が、わざわざ立花の机に届けてくれる。


敵と戦った後のようにフラフラになった棚橋がオフィスに戻ってくると目の前で

『立花さん、お茶どうぞ』と

女子社員が立花の机にお茶を置いたのを見て


『慶子ちゃん、俺のは?』と棚橋が聞くと


『水でも飲んでください』と

冷たく、あしらわれてしまう。


立花を取り巻く環境が一変している。


これには理由があった。


昨晩のゴ-ゴル社の一連の出来事を蝶野がグループLINEで報告していたのである。


女子の比率が少ない会社ゆえ女子の結束力は強く、会社内で起きた


大小さまざまな出来事を、お互いに報告し合っていた。


そこで仕事の対応力、イヤミな先方への毅然とした態度、後輩を思いやる言葉、取得困難な国家資格の保有者だった事


その全ての情報を蝶野がアップしたのだった。


マシンって、やるじゃん。


マシンって言うな。


システム監査技術者って凄いの?


ゴ-ゴルの社員も取れない位ムズイらしい


他に応用情報技術者とかも持ってるみたい。


将来有望じゃない?


グループLINEに誰かが書いた、『将来有望』このメッセージが女性社員に火を点けた。


結婚するなら安定した高給取り、いつの世も女性の共通した野望である。


立花は浮気をするタイプではないし、見た目も悪くない。


悪くないかも?


そう感じた女性社員が早速、動いたのであった。


絵色女神の知らないところで立花の争奪戦が、始まっていたのであった。





















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