年俸3億円
入社理由を説明した立花に
『了解しました』
『でしたら入社手続きを
始めましょうか?』と
会長が話し始めたので
『ずいぶんと急ですね?』と
立花が苦笑する。
すると猪木会長は
『立花さんの気持ちが
変わらない内に』
『契約書にサインまで
貰わないと安心出来ません』と
言って
自分の机から書類を
持って来て
机の上に並べ始めた。
『まずは給料ですが
年俸で3億円として
それとは別に特別褒賞と
ストックオプションを
準備しています』と
猪木会長が説明を始めた所で
『ちょっと待ってください』と
息を詰まらせながら
立花がストップをかける。
『3億円じゃ、少ないですか?』と
猪木会長が尋ねると
『いや多すぎませんか?』
『俺は新入社員みたいなモンだし
何も出来ませんよ』と
猪木会長に言うが
『アメリカの企業の社長は
年俸20億円なんて
ザラですから』
『それに立花さんは
オリファルコンの役員として
会社の商業登記簿に
名前は載っているから』
『新入社員じゃ、
ありませんよ』と
猪木会長が
何コイツ言ってやがる的に
説明している。
『いつからですか?
俺が役員になったのは?』と
立花がビックリして
猪木会長に聞くと
『オリファルコンが倒産寸前から
持ち直した時に』
『商業登記簿謄本に役員を
載せるから名前を貸して
ください、ってお願いしたじゃ
ないですか?』と言われて
立花も思い出した。
会社が倒産寸前で親戚から
相手にされずに
国民金融公庫から
借金をしていた猪木会長は
役員になってくれる人材に
困窮していた。
このままでは
会社が成立出来ないと
猪木会長が困っていた時に
立花は自分の名前で
良かったら、
使って下さいと
実印と印鑑証明書を
猪木会長に託した事が
かつて、あった。
『10年前から、あなたは
当社の役員でしたよ』
『ですから、あなたが
受け取りを
拒否していた報酬も』
『立花さんが望むなら
過去10年分の累積分で
一気に30億円を、
お支払いしますよ』と
会長はサラッと
とんでもない事を言ってくる。
『その他にも上場前から
立花さんの分で用意していた』
『当社の株も、いつでも
お渡し出来ます』と
更に、とんでもない事を
告げてきた。
30億円?
プロ野球選手がメジャーに
トレ-ドする時の金額だぞ
『株券の話も
初めて聞きましたよ』
放心状態に近い立花が
そう言うと
『株券は創業者扱いで
株を追加発行する時に』
『創業者の株も増えますので
立花さんの持ち株は
100万株です』と
説明をしてきた。
一株、1500円だから150億円?
『確か、オリファルコンの株って
一株1500円でしたよね?』と
立花が震えながら
猪木会長に聞くと
『それは世界大会が
始まる前の額ですよね?』
『世界大会が始まってから
外国人の投資家からも買われて』
『株価が急上昇して
今日は一株5000円を
超えています』と
信じられない事を
更に言ってきた。
500億円?
もはや立花の金銭感覚は
麻痺している。
『給与体系と今までの
無報酬だった分の説明は
以上ですが』
『ご不満でしたら
もう少し努力はしますけど』と
猪木会長が言うが
『ご不満はありません』と
立花が答えて、その件は
落ち着いた。
『一気にお支払いすると
税金が大変だと思いますので』
『税理士を、ご紹介しますので
自由に使って下さい』と
説明してくれる。
一般企業の会社員だった
立花からは
信じられない
世界の話で
『猪木会長は、いつのまにか
こんな頂上まで登っていたんですね』と
立花が言うと
『私は、ず-っと待ってましたよ』
『立花さんが、隣に
立ってくれる日が来る事を』
この言葉には別の意味も
あったが
立花は真実を知らない。
『倒産寸前だった
オリファルコンが持ち直した時』
『私が初めて立花さんに
会社に入って欲しいと
オファーした日』
『私が社長で立花さんが
副社長で会社を大きくしたいと
決意した日からです』
立花の入社を
心待ちにしていた
猪木会長の本心である。
『名刺も出来ているんですよ』
そう言って嬉しそうに
名刺が100枚分入った箱を
立花に見せる猪木会長に
『早くないですか?』
『俺が会長に電話したのは
今朝ですよ』と
立花が目を丸くして驚くと
『朝に立花さんに電話を
貰ってから』
『すぐに注文しましたから』と
自慢げに説明してきた。
立花が名刺を一枚見てみると
副社長
立花 隆
名刺に書いてある。
感慨深く立花が名刺を
見ていると
『次の株主総会で承認を取ったら
代表取締役副社長に
なりますから』と
猪木会長が笑いながら
教えてくれた。
『世界大会の最終ラウンドが
すぐに始まるのに』
『嬉しいサプライズで
準備が何も出来ませんでした』と
明日始まる世界大会に
猪木会長も本気で
挑戦してくる事を
宣言してきた。
『女神さんは今回の件は
ご存知なんですよね?』
猪木会長に聞かれた立花は
『昨夜、1番最初に
話しましたよ』と
説明すると
『女神さんは
オリファルコンにとって
勝利の女神になりました』
『世界大会のイメージガ-ルで
大活躍してくれた上に』
『何度、お願いしても
入社を拒んでいた立花さんの
気持ちを変えてくれたんですから』と
猪木会長に言われて
ビックリしている立花に
『もっともらしい入社理由でしたが
1番は女神ちゃんの存在でしょ?』と
聞かれて
立花は頷く。
『これからも全力で女神ちゃんを
応援していきます』と
猪木会長が
継続支援を表明すると
『よろしくお願いします』と
立花が頭を下げたのであった。
そこからは
新たな立花のアイデアである
エクシブハンターの
国別対抗戦の
ワ-ルドカップの話で
2人の話は盛り上がっていく。
『今やっている世界大会の
優勝チームが決まった後に』
『ワ-ルドカップの開催予告を
告知したら』
『話題になりますし、
宣伝効果も抜群です』
その立花の言葉に
同調した猪木会長は
遅くまで立花と
次回の企画を相談したのであった。




