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さよなら自由が丘 3

ベッドにもたれている立花の肩に

自分の頭を預けている女神が

『やっと約束が果たせた』

そう言って目を閉じる。


『俺は催促してないぞ』

立花が笑いながら

言っているが


女神は真顔で

『毎日、ご飯を作っても

追いつかないくらい』

『立花さんに色々と

して貰ったから』


『何も返せていない自分が

許せなかったんです』と

答えた。


『その件は、何度も

気にするなって言っただろ?』

立花が言うが


『立花さんは優しいから

そう言ってくれるけど』


『甘えているだけじゃ

いつか立花さんに

愛想を尽かされちゃう』


『そう考えると

不安になるんです』と

女神は更に続けた。


『アタシが立花さんに

してあげた事が1だとすると』


『立花さんがアタシに

してくれた事は100なんですよ』と

言った女神は


思い出すように

これまでの事を

羅列し始める。


誰とも知らぬ人が

突然、ゲ-ムを教えて

くれって押し掛けてきて


トイレを貸せ

風呂を貸せって言って

ご飯まで出してくれて


泊めて貰った上に

朝ご飯を準備していた。


お金がない事を知っていて

交通費までカンパしてくれた。


『あの日から、アタシは

あなたに夢中でした』

そう言った女神に


『大袈裟だよ』と答えた

立花に


『大袈裟じゃないですよ』


『着替えを忘れたアタシの為に

服をたくさん買ってくれたり』

『ご飯を毎回、ご馳走して

くれたりした事』


『全部、記録しているんですよ』と

女神は嬉しそうに報告している。


『それにコレ』と言って

ピンクで統一した

アップルウォッチを

かざす彼女


『今日も待ち合わせまでの時間も

アップルウォッチを見て』


『立花さんの場所を確認して

離れていても

繋がっているな、って』


『見ていて

嬉しくなっちゃうんです』と

説明をしている。


『猪木会長にお願いしてくれたり』

『佐山さんに曲を依頼してくれたり』


『あ、知っています?』

『佐山さんが作ってくれた新曲が

世界一位なんですよ』と

女神が興奮気味に伝えている事を


『うん、うん』と

立花は黙って頷いてる。


すると女神は突然

カラダを起こし


立花の顔の前に

自分の頭を持って来て


『アタシ、トップアイドルに

成れましたか?』

そう真剣な顔をして

聞いてきた。


『あぁ、成れていますよ』

そう一度言った後に


『ネットゲ-ムの相棒が

トップアイドルです』と


笑って答えた。


『あっ、そうだ決勝ラウンドの

打ち合わせを忘れています』


女神が思い出したように

大きな声で言う。


今日の訪問には

立花にご飯を作る

ミッションの他に


エクシブハンターの

世界大会の最終ラウンドの

打ち合わせも予定に入っていた。


日本ラウンドの中身は

立花も詳細は

知らされていない。


優勝賞金で家を買うつもりの

女神は、前のめりに

立花と細かく

打ち合わせをする。


2人の打ち合わせは

1時間ほど、かかり


お互いのゲ-ムに入れる

ログイン時間を確認して

終わった。


『そうだ、女神には

最初に言っておこうと

思っていた事があったんだ』と


立花がポツリと言った言葉に

女神が反応して


『何ですか?』

『改まって』と聞くと


『世界大会が終わったら

今の会社を辞めて』


『オリファルコンに入社しようと

思っているんだ』

そう立花が告白してきた。


『え?』

『だって?』

そう言った女神は

固まってしまう。


彼は今の会社で

働き続けると宣言しており


猪木会長に

いくら頼まれても


誘いを断っていた事を

彼女も知っていたから

信じられないでいる。


『それって、アタシの

せいですか?』


突然の立花の軌道修正に

驚いた彼女が聞くと


『別に、女神のせいって

訳じゃないよ』と

立花が答えると


『じゃあ、何で

辞めちゃうんですか?』と

女神が核心に迫る。


『女神が結婚すると分かったら

結婚相手は誰だ?ってなるだろ?』


『その時に、相手が

しがない会社員だと』


『女神が恥をかくだろ?』


『だったら、上場企業の

オリファルコンの方が

世間体は良いだろ?』と

立花が頭をかきながら

説明する。


『アタシ恥なんて、かきません』


『立花さんが無職でも

胸を張って』

『アタシの旦那さんだって

自慢します』と言って

立花に迫っている。


女神は優しいな


そう思った立花は

『それも理由の一つだけど』


『世界大会を開催してみて

オリファルコンの仕事を

本気でしてみたいのも

正直あるんだ』と語った。


このまま複合機の会社で

働きながら


オリファルコンの

アドバイザーを休日に

こなす事に限界を

感じてもいたのだ。


今回の世界大会の反響が

予想以上に大きかったので


国別にチ-ム代表を選んで

エクシブハンターの

ワ-ルドカップを

開催する案を


猪木会長と進めている

との事だった。


その説明を聞いた女神は

少しホッとした

表情を浮かべている。


会社を辞める話の理由は

最初から後者にしとけば

女神が責任を感じなかった。


そう反省した立花だが

彼女の表情が明るくなっている事に

気付いた立花が


『そういえば今日は

キスしていないけど』

『今日はキス無しで寝るか?』と

聞くと


クチを尖らせて

『いじわる』と

女神がすねた。


その仕草が可愛いくて

立花からキスを迫ると

女神も受け入れ

お互いに舌を絡めあう。


クチを離した立花が

『キスだけで良いの?』と

またイジワルな事を言うと


泣きそうな顔をした女神が

『全部するの』と言って

軽く立花にパンチを入れる。


女神の頭を撫でた立花は

『ごめんよ』と

笑いながら


買ったばかりの

ベッドに彼女を寝かせた。


そのままベッドで

愛し合っている2人だが


エッチの気持ち良さを

知ってしまった女神は

トロけそうな表情を

浮かべているのに


いつまで経っても

入れてくれない立花に


『何で立花さんは

いつもは優しいのに』


『エッチの時はイジワル

なんですか?』と

文句を言うと


『だって、困った女神の顔が

可愛いんだよ』と言って

やはり立花は入れてくれない。


ジレたようになる女神に

『どうして欲しいの?』と

立花が聞くと


『ちゃんとしてください』と

おねだりをしてしまう。


これ以上はジラすのは

ダメだと分かった立花が

一点に全体重をかけると


その瞬間、

女神の眉間に

シワが寄り

苦悶の表情へと変わっていく。


それから、しばらくして

立花の部屋の電気が消えた。



それをアパートの外で

張っていた男が確認して


『はい、電気が消えました』


『あとは、部屋のドアから

出てきたところを撮影したら

完璧です』


カメラマンと

週刊誌の記者が

会社に連絡を

入れていたのであった。


そんな事を知らない女神は

幸せそうな顔で

立花の腕枕で寝ている。


2人の関係がスタートして

愛を育んだ立花のアパート


この日を最後に

女神が、このアパートに

来る事はなかった。






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