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ワルギはないカノジョ  作者: 声乃
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腐れ縁

世間一般的には、連日ニュースで桜前線による開花予報が賑わう3月。県立高校の卒業式も1(いっぴ)から行われる。


だがしかし、僕の暮らす地域は恐ろしく長い長い冬の真っ只中である。渦中の桜なんて「さ」の字も見当たらない。都内では花見で盛り上がる中、なんなら(つぼみ)すら付いてない枯れ木のまま。雪は降り、景色はいまだに殺風景だ。


きっとGWに入る頃まで見頃は訪れない。


毎年、決して春とは呼べないこの季節ではあるが、僕はまもなく中学の卒業を迎え、4月から無事に高校生になる予定だ。


なぜ予定かと言うと、卒業式後に合格発表がある為。

この合否の不明な状況で、とてもではないが晴れた気持ちで卒業式は臨めないだろう……。


合格発表は同じ高校を受験したみんなで見に行く予定だ。

そのつもりでいたのだが、、


「ゆうー!明日の合格発表一緒に見に行こ?」


と、明るく声を掛けてきた女子の名はあいか。程よく小麦色に焼けた肌、キリッとした目鼻立ちに形の良いぷりっとした血色の良い健康的な唇。肩甲骨より少し下くらいまで伸ばした黒髪ロングが一際似合う。


あいかは奇跡的に小中学校の9年間ずっと同じクラスだった腐れ縁でもある。それゆえに無遠慮で、相手にするのが億劫に思うこともしばしば。悪いやつではないんだけども。


そんなことを思いつつ、僕は潔く断りを入れる。


「いや発表は受けた男子全員で見に行く約束してるんだ。悪いけど。あいかも女子たちと見に行ったら?」


僕の返事を聞いてあからさまに不機嫌な態度になるあいか。


「え、別にいーじゃん!何時に行くの?あいかと先に見に行って、そのあと男子にしれっと合流すればよくない?!」


おい……めちゃくちゃ言うなー。相変わらずすぎだろ……。


「いやほんと無理だから。女子と行きなって!」


僕は僕で頑なに断固拒否である。大体にして、もし誰かにふたりでいるとこ見られてあらぬ誤解を招いたらどうする。


「……んん~っ!」妙な声音で唸るあいか。


「もういい!しらないっ!!!!!」


え、逆ギレ……?キレる意味よ……なんなん……。


思わず、ぽかーんと呆けて半分口開けたまま勢いよく立ち去るあいかの後ろ姿を目で追って眺めてしまう。


はぁ…一体なんだって言うんだ?わけわからんて。



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