●キャラクター解説 穢れの魔将 ヨーク・ヨー●
※ネタバレを含みます。
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ザンツ親衛隊六選将の一人にして、後半以降の最大のトリックスター。
ゴソンビと並び、六選将の「女傑」と言える存在でしたが、結果的には
想像もしない立ち位置を確立するに至った感じです。
バルセイユ以外の六選将の設定は、割と一気にまとめて考えています。
まず名前と大まかな特徴を設定し、後はどう物語と関わらせるかという
流れで考えていきました。その中でやっぱり重要だったのはゴソンビ。
復活した彼女の独断専行は、大いに物語に波乱を巻き起こしました。
で、もう一人の女性魔将に関してはどうすべきか。正直な話、この点は
割と後回しにしていました。設定も「この世界で最初に誕生した人魔」
だけだったので、何をさせるかとかどんな性格か…とかは未定でした。
で、ゴソンビが思った以上にキレたキャラになったので、これを超える
インパクトは(たとえ彼女より強い設定にしても)持たせられないなと
考え、別方向で突き抜けたキャラにしようと決めた次第です。
ならどうすればいいかという事で、完全に開き直って「六選将らしさを
全く持っていない、明るい女性」という方向に突き抜けてみました。
見切り発車ではありましたが、この設定が非常にうまくハマりました。
普段は明るくお人好しで、何よりも人助けが好き。何故かお金に細かく
小銭まできっちり計算する几帳面。一方で、誰に媚びへつらう事もなく
思った事はそのまま口に出す。相手が現魔王でも道理に悖ると思ったら
厳しい言葉で叱り飛ばし、また相手がザンツであっても無様と思ったら
声高らかに笑って馬鹿にする。現世に戻った事を達観しているからこそ
何者も恐れず我が道を笑って進む。まさに「自由な奴」の典型例です。
昔と同じようにザンツを敬っているウルログとの対比も含め、この点は
きっちり形作る事ができました。
章が変わってから、前章で壊滅した集団の生き残りが登場し続けるのは
創作の定番のひとつです。ヨークも定義ではこれに当てはまりますが、
変に因縁などを引きずらないように心がけました。
彼女の奔放さに翻弄された感のあるアミリアスですが、ザンツ打倒後に
わざわざ探そうとしなかったのは、「そんな悪い相手ではない」という
確信をある程度持てたから。六選将だからという理由だけで断ずるには
あまりに邪気がなく、自分との戦いも意味のあるものではなかった。
アミリアスなりに、ヨークの本質を見定めた結果というイメージです。
彼女と魔王-グレインとののほほんとした交流は、書いていてもっとも
楽しいシチュエーションのひとつと言えました。正体不明のアステアの
現魔王。ガンダルクともザンツとも大きく違う存在であるという点を、
緊張感のないやり取りを通じて外側から描き出す。その意図において、
相手役となったヨークの存在は実に効果的だったと思います。もし仮に
これを三幻士にやらせたとすると、どうしても昔の関係に引っ張られて
会話が重く湿っぽくなってしまう。その点、ガンダルク並みに過去への
こだわりのないヨークなら、楽しく対等に話す事ができる…という事。
そんな意図を抜きにしても、彼女とグレインの関係は好きでした。
恋愛でも共感でも、依存でもない。もっと本質的な意味の「仲良し」。
贖罪とは違う意味でやり直す機会を得たヨークですが、グレインもまた
それに見合うだけの救いを彼女から得た。ルクトたちの知らぬところで
こんな出会いもあったという事実を描けたのは、群像劇でもある本作の
真骨頂だったと思う次第です。
本編ラストを担当した彼女。きっと楽しく生き、いつかガンダルクとも
出会って仲良くなったと思います。そんな想像ができるという意味でも
屈指のお気に入りキャラでした。




