●アクションシーン解説 7●
●ザンツ対ルクト&メリフィス●
あちこち飛び回っていたルクトと、ずっとガルデンにいたメリフィス。
実に200話以上に渡って再会する機会が来なかったこの2人ですが、
それだけにもう些細なわだかまりに拘泥したりはしません。と言うか、
それどころではないという状況。
個人的な感覚ですが、筆者はドラマでもアニメでもヒーローものでも
「味方同士の足の引っ張り合い」という構図がとことん大嫌いです。
どうせ危機を描くなら、協力しても倒せない難敵を描く方が好みです。
というわけで、この時点の2人にはザンツを倒せる「決め手」がない。
だから勝ちなど求めず、ひたすらに時間稼ぎに徹する。そういう意味で
やはり彼らはきわめて現実的です。ザンツ本人ではなく付き従っている
血まみれ(ロブエン)を狙うという狡猾さも、幾度となく強敵を相手に
してきた彼らならではの、臨機応変な判断と言えます。一方、ザンツが
ロブエンを2人の攻撃から庇うのも現実的な判断です。破壊や殺戮こそ
本分であると言えど、ザンツ自身は別に理性を持たないわけではない。
現世に戻って来たこの状況を正確に把握するためには、明らかに復活に
関与していると思われる人間の命は守る。そういった分別をきっちりと
持ち合わせている存在だと強調するため、一見足手まといなロブエンを
しつこく付きまとわせました。
勝利を望んだわけでもないし、武勲を求めたわけでもない。もちろん、
脱出手段もちゃんと用意していた。にもかかわらず、ルクトはザンツに
惨敗し、半殺しにされた。彼がなぜそこまで身を投げ出したのかという
点が、今後のガンダルクとの関係に大きく影響する展開になりました。
ガンダルクの運命が変化したという点も含め、やはりこのゲンヌイ村は
大きなターニングポイントでした。
●交易都市サンデの謀略●
しばらく大きな戦いを描写する機会がなかった後、マレ島へ渡るために
ルクトたちが訪れたこの交易都市。実際ここでも「戦闘」と呼べるほど
厄介なイザコザなどは起こりませんでしたが、女王シャンテムの管理が
あまり行き届いていない無法地帯の描写は、それなりに徹底しました。
22年公開の映画「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」前半で
描写されていた、マルタ島の闇市場がこのサンデのオマージュ元です。
色々な人間の利権が絡み合い、醜い騙し合いが横行する。そんな展開を
取り入れてみました。…単に当時、映画館に観に行っていたというのも
大きな理由ですが。
大規模な戦闘を行うと、それだけで立場がかなり不利になってしまう。
そんな環境下で威力を発揮するのはやはりアルメダ。標的設定の能力で
総代や荒くれ者たちを脅す場面は、自分でもお気に入りです。
その一方、無駄な戦いを避けるため荒くれ者たちに頭を下げるルクトも
大きなポイントです。アミリアスを救う事こそが最優先。そのために、
必要ならいくらでも頭くらい下げてみせる。思い詰めているのは当然と
しても、本来ルクトはそういう点で意地を張らない度量の持ち主です。
メリフィスも認めているその人柄を描けたという点でも、ここの一連は
大いに書き甲斐がありました。




