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追放剣士とお気楽魔王~自由な奴らが世界を変える~  作者: 幸・彦
第一章 追放と出会いと
1/703

プロローグ

この世界には人と、人にあらざる者「魔人」とが存在している。

古の時代より人から怖れられていた魔人は、やがて自らの国を作った。

「アステア」と呼ばれるその国は、代々一人の魔王の手で支配された。


人々は魔人を、魔人国アステアを、そしてその頂点たる魔王を怖れた。

時折降りかかる魔人の暴虐の前に、人々はただ己の無力を呪った。


しかしある時、変革の時が訪れた。

生まれ持つ者といつか覚醒する者。その違いはあれど、魔人の持つ力に

比肩する力を得た人間が、世界中で産声を上げ始めたのである。

「光の加護」と讃えられるその力を得た者を、持たざる者はこう呼ぶ。


「冒険者」そして「勇者」と。


悪しき魔人を討つ彼らのその姿は、人間にとって希望の象徴となった。


そして、時は流れ。

アステアに新たな魔王が君臨した。


その名はガンダルク。

史上最強にして最凶、そして最悪と謳われる、恐怖と破滅の権化。

その恐るべき影に、世界は慄いた。


そんな中に、立ち上がる者がいた。

勇者グレイン。世界最強と呼ばれ、数多の魔人を屠ってきた男だった。

彼は仲間と共にアステアに向かい、魔王ガンダルクに決戦を挑んだ。

それは人と魔人の頂上決戦。世界の命運は、この戦いに委ねられた。

2日に及ぶ壮絶な戦いの末、魔王は勇者の手によって討ち滅ぼされた。

尊い犠牲を払って、勇者グレインは世界を、そして人の未来を救った。


そして訪れたもの。

それは世界にとっての、初めての平和な時代だった。


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「…悪いけど、俺たちのパーティーから抜けてくれ。」


発せられた言葉と共に、場の空気は凍りついた。賑やかに談笑していた

他のテーブルの人たちも黙り込み、声の主一行にその視線を向ける。


「…おい、あの連中って確か…」

「ああ、勇者メリフィスの率いてるパーティーだ。間違いない。」

「じゃあ、あっちの男は?」

「何て奴だったかな。確か…」


「なあ、ルクト。」


周りからのひそひそ声を察したか、金髪の男があらためて声を発する。


「別にかまわないよな?」

「…いや、何で言い切ってるんだよメリフィス。」


金髪の男「メリフィス」の対面に、黒髪をまとめた若者が座っている。

その顔には、隠しきれない戸惑いと怒りの色が滲んでいた。


「ああそうだ、ルクトだったな。」


静まり返った中に、誰とも判らない無遠慮なささやき声が流れる。

しかし当の”ルクト”はその視線を、メリフィスから逸らさなかった。


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「何か不都合でもあるか?」


ルクトの視線を真っ向から見返し、メリフィスは穏やかな声で答える。


「お前の腕は俺たちが知ってるよ。まあ俺にはちょっと及ばないけど、

 剣の腕前はどこででも通用する。ソロでやっていきゃいいだろ?」

「そんな話をしてるんじゃない。」


言葉を遮ったルクトの声はかすかに震えていた。


「どうしてか、理由を言えよ!!」

「言っていいのか?」

「何の説明もなしに、納得できる訳ないだろうが。いいから言え!」

「わかった。ちゃんと言うよ。」


そこでメリフィスは小さなため息をつき、ルクトから視線を外した。


「…ただし、後で文句言うなよ。」

「ああ。納得できればな。」

「いいだろう。」


そう答えて、あらためて向き直ったメリフィスの顔。

もう、そこには数瞬前の穏やかさは微塵もなかった。


「ルクト。」

「何だよ。」


「お前、人魔なんだよな?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 1行16文字設定にしたらびっくりするくらい読みやすいように書かれててびっくりしました!!!めちゃくちゃ計算して執筆されてるんですか!?すごいです!!!
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