FILE6:ロシア東部奪回戦(1)
やっと……やっと更新できました。
楽しみにしていて下さった方々、遅くなって申し訳ないです。
「俺達は傭兵だ!それでも!全員が仲間で!家族だ!一人でも欠ければ皆が悲しむ!助け合い、支えあって生き延びてほしい!一人はみんなのために!みんなは一人のために!絶対死ぬんじゃないぞ!生きてまた会おう!」
アフリカでの大規模作戦のためこちらの中隊から人員が割かれ小隊規模になっても格納庫に響きわたるほどの歓声があがった。
そんなムードの中最後に俺は付け加えた。
「死んだ奴は!葬式行っても泣いてやんないからな」
歓声は一気に笑いへ変わる。
ホッとしたような顔で段を降りる俺にヨシュアとウェンルーが寄ってきた。
「なかなかやるじゃないか」
「凄かったわよ。」
口々に俺を誉め称える二人を黙らせ、ウェンルーにはみんなを分隊に分ける作業を与えた。
しかし、ウェンルーいわく押し付けらしい。なんだかんだ言いながらやってるから文句はない。
「ところでナギ、今日のもう一人はアレンじゃないのか?」
「あぁ違うらしい、ガブラが連れてくるとか言ってたぞ」
俺とヨシュアとウェンルーは黒の災厄<ブラックディザスター>と言うローレンス特別独立機動隊に所属していて今回のように大きな隊での行動時も独立した行動が許されている。
いつもなら三人に加えアレン・ライナードと言う人が加わるのだが、今日は新人を入れるとか何とからしい。
「おぉ!そこにいたか」
「ガブラ!」
手を振りながらやってきたガブラの横には一人の少年がついていた。
見たところ12、3歳って所か。
武器は・・・M4A1にM203グレネード、それとMP7A1。アサルトにサブマシンガンか、サイドアームズは・・・デザートイーグル!?
嘘だろ。俺でもしっかり構えなきゃ肩痛めるってのに構える暇もない戦場で使うなんて、馬鹿げてる。
「こいつの名前はセルゲイ、12歳だ、仲良くしてやれ」
セルゲイと言われた少年は俺の前まで来ると敬礼をしてヘリへ行こうとした。
「おいちょっと、何でサイドをデザートイーグルにしてるんだ?」
俺はどうしても気になったので聞くことにした
「あなたには関係ない」
セルゲイは振り向くとそう言い放ちヘリに乗り込んだ。
「生意気な子ねぇ」
後ろから少し怒ったウェンルーが帰ってきた。
「全員準備できたわ、既に出撃してる、それより何あの子?」
ガブラにもう少し詳しい説明を頼もうとしたが、既にガブラはいなかった。
しかたないから俺の分かる範囲で説明しといた。
「よし、俺たちも行くとしようか」
三人は一度目を会わせ、ヘリに乗り込んだ。
その様子を遠くから眺める陰が二つあった。
その片方が口を開いた。
「ボス、私たちは彼らを殺してるんではないでしょうか」
私は間違ってるような気がする。
私達はお金さえ積まれればどこへでも兵を送る。
・・・だけど、誰も傷つかずに戻ってきた事は一度もない。
戦場へ送る度に誰かが傷つく、私は何もできない。
「俺も同じ気持ちさ、でもあいつらはみんな戦争で何かを失った、失い、ここで手に入れた、みんなそれを護ろうとしてるんだ」
彼らが戦うから生きて行けてる。
傷ついて欲しくないのに、彼らが傷つくおかげで生きてる。
「皮肉ですね」
「今のご時世皮肉だらけさ、誰もが己が正義と信じて戦ってる」
「さて、毎度おなじみショウダウンタイムだ」
ショウダウンタイムとは俺達が戦闘前にする武器の披露のことだ。
「まずは俺から」
ヨシュアが武器を入れた箱を開け、中身を取り出す。
「俺の武器はメインにミニミ軽機関銃、サブがUZI、サイドがH&KのUSP7だ、今回は基本的に支援に回る」
そう言うとヨシュアは武器を装備し始めた。
「私はベネリのM4とM4A1、サイドがご存知エボニー&アイボリーよ」
ウェンルーのサイドは兵器開発部主任のエイリアス特製の2丁拳銃だ。
さらにただの拳銃ではなく限界まで連射性が上げられていて性能的にはマシンガンにも及ぶ。
まぁこれを限界で扱うことはさすがのウェンルーにも無理だから宝の持ち腐れだが・・・
「俺はXM8とXM1O9ペイロードだ、でサイドがUSP9だ」
三人は言い終えると一斉にセルゲイをみた。
「僕にも言えと?」
セルゲイは少し不機嫌そうに言った。
「「「当たり前!」」」
三人の声が同時に響いた。
「僕の武器は見てのとおりM4A1とMP7A1です。サイドはデザートイーグル。以上です」
ウェンルーが俺と同じ事をセルゲイに聞いた。
「どうしてデザートイーグルなの?」
「僕の勝手でしょう」
やはりセルゲイの答えはそっけなかった。
「あのねぇ、そっちに関係なくてもこっちにはあるの、戦場でそれ使って肩痛められたらこっちがたまったもんじゃないのよ」
「そうだぞ、もしお前が突然消えたりしたときにお前の性格とかを知ってると便利だろ?」
「馬鹿やろう、それはねぇだろ」
俺はヨシュアに軽く突っ込んでおいた。
セルゲイから返ってきた返事は怒気を含んでいた。
「これは、僕の戦いです」
何だこいつの眼、怒っている?いや、違う、恐れている。
何なんだこいつは?
一応、見張っとくか。
渚はセルゲイと眼があったので慌てて眼を反らした。
同時刻、ロシア東部のある町
「曹長!アレン・ライナード曹長!」
アレン・ライナードと呼ばれた男は装備の確認をしていた。
彼の武器はアサルトライフルのM4A1にコヨーテと呼ばれるショットガン。
コヨーテは普通のショットガンと違い、スコープを覗きロックした相手に向けて撃つと目標の手前で弾が散る仕組みになっている。
コヨーテを作ったのも兵器製造部のエイリアスだ。
「どうした?マルコ」
アレンは部下の名前は全て覚えているというすご技の持ち主だ。
「今回の先遣隊に俺も行かせて下さい」
マルコは必死だった。彼の両親は帝国に殺された。
マルコは復讐のために軍に入ったのだ。
「駄目だ!」
「お願いします!」
マルコは諦めなかった。
諦める訳にはいかなかった。
「駄目だと言っているのだ」
「お願いします!本当にお願いします!」
「お前はまだ若い、先遣隊など死ぬ確率が高いだけだ、それなのに何故?復讐か?」
マルコは俯いて言った
「復讐、確かに少しは思います。」
マルコは顔を上げ、続けた。
「でも、そのためじゃありません、捕虜に、妹が…妹がいるんです!俺の、唯一の家族が!俺は妹を助けたいんです!」
マルコは決意に満ちた瞳で言い終えた。
アレンは装備の確認を終え、ハンヴィーに向かいながら言った。
「あのハンヴィー、銃座が空いてたな、ダンルを行かせるから一人乗せないとな」
マルコは走ってアレンの側まで来た。
「そういうことなら、ここに一人います、行きましょう、曹長」
しばらくして二台のハンヴィーと二台の装甲車が町に入った。
途端に、降り注ぐ銃弾の嵐。
「九時の方向に敵多数!」
運転手が叫んだ。
「見りゃ分かる!」
マルコたちのハンヴィーの銃座にいるダンルが言い返した。
「目的は捕虜の奪回だ!10分後に援軍が来るがそれまでに終わらせるぞ!ここで止まるな!」
鳴り響く銃声の中アレンの声が聞こえた。
「しかし、多すぎるぞ!」
銃座にいるダンルは備え付きのM60マシンガンを乱射しながら叫んだ。
マルコはダンルに向けて叫んだ。
「あそこの燃料タンクを狙って下さい!」
「おうよ!」
次の瞬間、ダンルはタンクに向けてM60マシンガンの引き金を引いた。
タンクを貫通する弾丸、それは中の可燃性の液体に引火し爆発を起こし付近の建物を破壊する。
元から崩れかけていた真横の建物は数十名の敵兵と共に崩れ落ち、横の建物とぶつかった。
右に曲がりまたも銃弾の嵐をつっきる。
「11時の方向にRPG!」
RPGとは携帯式対戦車グレネードランチャーの事、
ローレンスの車両はRPG一発では沈まないがかなりの痛手にはなりうるため、出来れば食らいたくはない。
一軒家の二階から狙っている敵に一斉にマシンガンが浴びせられる。
マシンガンに体中を打ち抜かれた敵は二階から落ちて死んだ。
マルコたちが目指している場所は町の中央にあるホテルだ。
そこにこの町の住人が捕虜として捕らえられている。
主な作戦は先遣隊でホテルと周辺の確保、その後援軍と共に捕虜を救出し、一時撤退。
さらにそのあとロシアの軍と協力し、ハバロフスクを目指すことになっている。
ホテルに着いたマルコたちは正面と裏口に分かれて入った。
正面から入ったマルコたちはロビーで早速敵と遭遇していた。
マルコ達は植木鉢へカバーに入り、交戦していた。
銃声と硝酸の匂いの中マルコはどうすればこの状況を打開できるか考えていた。
「いつまでここにいるつもりだよ!」
ダンルは植木鉢からM4A1をブラインドファイアで乱射しながら訪ねた。
辺りを見回したマルコは警備室に目をやり一つ思いついた。
「曹長!」
マルコは思いついた案を実行できるか確認するためアレンに聞いた。
「なんだ!」
アレンは植木鉢から半身を乗り出し正確に敵を撃ち抜いていた。
「ここの照明の電源は警備室にあるんですか!」
「そうだが!それがどうした!」
マルコの考えは確実に実行できるようになった。
「俺が行って電源を落としてきます!レックスさん!暗くなったらこれ使って下さい!」
そう言ってマルコが投げ渡したのはナイトビジョン付きのアサルトスコープ。
「どうしてこんなん持ってんだ!?」
驚いているレックスにマルコは
「武器庫!」
とだけ言った。
弾が尽きたマルコはリロードをして、アレンに援護を頼むと警備室目指して走り出した。
いきなりのことにアレンは少し驚いたがすぐに冷静になり援護を始めた。
「とにかく撃ちまくれ!威嚇し続けるんだ!」
アレンはM4A1を、ダンルはミニミ軽機関銃を、レックスはMP5をそれぞれ乱射している。
しかし敵はそれにも関わらず身を隠さずにマルコを狙っていた。
警備室へ行くには奴等の前を通らなければならず、確実にマルコは狙われていた。
怖ぇ、すげぇ怖い。
でもアレンさん達ならきっと大丈夫だ。
そう思っているマルコは足元に銃弾が当たろうと腕に掠ろうと足を止めなかった。
背中から最新のショットガン、ベネリ M9をとるとドアの鍵に向けて撃った。
ドアを開けるためだけに作られたとも言える銃弾はドアノブごと鍵を壊し、そこへマルコが飛び込んだ。
すぐさまドアを閉め、バリケードを築くと、早速電源を探し始めた。
「どこだ、電源は?これか!」
「照明 ロビー」とかかれたボタンを押すと、すぐに電気が落ちた。
外もまだ陽が昇っていないためロビーは暗闇に包まれた。
外ではレックスのMG6の独特の発砲音だけが響いていた。
MG6 スナイパーライフルは暗闇でもほとんど見えなくなるまでマズルフラッシュを無くし、連射までもを可能にした新型のスナイパーライフルだ。
銃声がなる度に誰かが倒れていく。
しばらくして銃声が止み外へ出るとロビーの制圧は完了していた。
「マルコ!腕は大丈夫か?」
アレンは銃弾の掠った左腕を見ながら聞いた。
「えぇ、大丈夫です、それより捕虜を助けに行きましょう」
マルコは早く妹に助けたくてウズウズしていた。
「捕虜がいるのは一番上の階のどこかだ」
アレンが言うとダンルが笑いながら三階だがな、と付け加えた。
「ここの経営者に感謝しないとな、小さいホテルでありがとうって」
アレンはM4A1をリロードしながら答えた。
レックスは真面目にどうするか訪ねた。
「部屋は三つだがどうする?一つを制圧してればほかから増援が来る」
アレンは少し唸ると答えた。
「今こそこのカメラの出番だな」
そう言ってアレンが取り出したのは最近エイリアスが発明した、小型の虫の形をした偵察カメラだ。
「こいつをダクトから各部屋に忍ばせて中の様子を確認する、捕虜がいる部屋には俺とマルコ、敵が多い部屋にはダンル、少ない方にはレックスだ、よし!いくぞ」
そう言うとアレンは偵察カメラをダクトに放した。
三階に行き、偵察カメラの映像を確認し、各々が扉の前に着くとアレンが耳に付けている無線を使い、小声で言った。
「いいか、俺の合図で突撃だ、全員サーモビジョンは付けたか?」
「こちらダンル、いつでもいいぜ」
「レックスだ、早くしてくれ」
マルコはアレンと目が合うと頷いた。
「いくぞ、3、2……1 GO!」
マルコをのぞく三人が部屋に発煙筒を投げ込み、ダンルはミニミ軽機関銃を乱射、レックスもMP5で敵を撃ち抜く。
マルコはアレンが発煙筒を入れると同時に部屋へ突入し、敵を撃ち殺していた。
次に入ってきたアレンと共に部屋を制圧すると、入り口を守っている仲間に連絡をした。
「こちら先遣隊αチーム、捕虜を確保した」
「了解、βチームは?」
「ん、向こうも終わったみたいだ」
アレンの視線の先には裏口から二階の制圧へ向かったβチームのメンバーがいた。
「こっちも終わったよ」
チームリーダーが言うとアレンはうなずき、司令部へ報告した。
「ホテルの制圧及び捕虜の救出、完了した」
「すぐに増援が着く、捕虜を乗せたら戻ってこい」
「了解」
無線を切ると隣にいるマルコに話しかけた。
「妹は?」
「無事でした」
そう言ったマルコの顔は喜びに溢れていた。
「それじゃみんなを連れて下へ行くぞ、すぐに増援が来る」
下へ降りたマルコ達は増援の装甲車に捕虜を乗せ、自分達は行きの車両に乗り込んだ。
アレンは面倒くさがるダンルを銃座に行かせると浮かれているマルコに言った。
「戦いはまだ終わってないぞ」
それを聞いたマルコははっとして気を引き締めた。
「分かっています」
アレンは最後に笑いながら付け加えた
「でも今は一端戻って休憩だ」
同時刻、町の北側
偵察に行ったローレンスの航空部隊スカイハイのヘリ「ミクリア」は不思議な機械を見つけたため、記録を取り司令部へ戻ろうとしていた。
「しかし、あれは何だったんだろうな?」
パイロットの一人がもう一人に尋ねた。
「いや、俺の方が聞きたいよ」
などと話していると、突然ミサイルアラートが鳴り響いた。
「な!何だ!」
「ミサイルだ!六時の方向!回避だ!回避しろ!」
パイロットは回避行動に移ったがその時は既に手遅れだった。
ミサイルが直撃し、爆発。
機体の半分を失ったミクリアはそのまま墜落していった。
今回は架空の武器を二つほど出しました。
それより何より展開がどうしても急になってしまいます。
どなたかアドバイスを頂けたら幸いです。
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おめでとー
ありがとー
感謝の念よ
皆様に届けぇ