FILE29:RAN(3)
久々の更新
彼女をの第一印象は生気が無いだった。
何を考えているか、どこを見ているかさえ分からない。
感情も色もない瞳はただ虚空を見つめていた。
「俺は朝霧渚、よろしく」
再びこちらに向き直った鳴海は小さな声で何か呟いた。
「ん?何か言ったか?」
「出て行って、一人にして、ほっといてよ」
ただ無感情にそう言い放った。
「…………」
「……………」
流れたのはしばしの沈黙。
俺は耐え切れず口を開いた。
「会っていきなりひどくないか?」
鳴海は口を開かない。
「ほら、せめて飯くらい食えよ。」
俺は食事の載ったお盆を鳴海の前まで持って行った。
「いらない」
鳴海はまた小さな声で呟いた。
「そうは言っても食わないと死ぬぞ?」
ガシャン
お盆が中を舞い、食事はお盆もろとも重力に引き寄せられた。
床に散らばったお盆を呆然と眺めていると視界の端が揺れた。
振り向いた時には既に遅く鳴海が突っ込んできた。
体を反らそうとするが間に合わず、もろにタックルをくらい、それでも終わらず鳴海は俺に馬乗りになり、殴り掛かってきた。
数秒間されるがままだったが、なんとか鳴海を退かせると、次は散らばったお盆を投げ付けてきた。
「出て行って!」
「分かった!分かったから!やめろって!」
俺の言葉を聞いて満足したのか物は投げて来なくなったが、依然として睨まれ続けている。
「こりゃ早いとこ退散すっかな」
俺は部屋の入口まで戻ると一度だけ鳴海を振り返り、部屋を後にした。
誰も居なくなった部屋の中、鳴海は再び虚空を見つめていた。
「あぁくそ、あいつぜってぇ本気で殴ってきたぞ」
俺は自分の家に戻り、鏡で痣ができた顔を見ながら愚痴を零していた。
「しかし、厄介だな、院長にもどうにも出来なかったのに俺に出来るかって!」
シャワーを済ませ、タオルと牛乳を持ちソファに座る。
いつもの事だ。
少し違うことは顔の側面と肩で電話を固定していることだ。
「聞いたぜ渚、例の女の子の事頼まれたってな」
電話の向こうでニヤケてそうなのが分かるほどの声色なのは、当然ヨシュアだ。
「お前今ニヤケてるだろ」
「いや、馬鹿、これが笑わずに…クッ、フッ、いられるか」
「また笑った、だったらお前が行ってみろよ」
俺は不機嫌な顔でそう言うと、牛乳を一気に飲み干した。
「殴られるのは勘弁だからなぁ、殴らなくなったら呼んでくれ」
「じゃ、お前も何か案をだせ」
空になった牛乳をテーブルに置くと空いた右手で電話を持ち直した。
「甘いものでも買って行けば?あ、あとアクセサリーとか、それで殴らなくはなるんじゃないか?」
ヨシュアは相変わらず呑気な声で答えてくれた。
「明日にでも試してみるよ、じゃおやすみ」
「おう、じゃあな」
電話を切り、空になった牛乳パックを開いて乾かす。
ドライヤーで頭を乾かすと、その日は眠りについた。
翌日、ミステルドーナツでドーナツを買い、再び鳴海の部屋の前に来ていた。
高校生活……かなり忙しい…
執筆が進まない。
ファンタジー書くと宣言したのに書けてない。
あぁ忙し忙しい。