FILE2:玄関、それは悲劇の溜まり場
基地の玄関でのお話です。
scene2 一時の休息
「「「ただいまぁ」」」
扉があいた瞬間、三人の声が同時に響く。
パァン パァン
三人が同時に一歩踏み出すとクラッカーの音が鳴り響いた。
「「ナギおかえりぃ〜、寂しかったよぉ〜」」
そう叫びながら俺に飛びついてきたのは鳴海桃華、オペレーターだ。
ちなみにナギって言うのは俺のあだ名だ。
まったく、こいつは帰ってくる度に抱きついてきやがる。
さらに天然が入ってるせいか、いつも目の前で
「ひぎゃっ」
・・・こけるんだよね。
「馬鹿が」
見下しながら言う俺に桃は
「あ、それ新しいプレイ?言葉責めって奴?」
ドガッ
「なんて事言ってんだ!謝れ!全国の読者の皆様に謝れ!」
キレる俺、ため息を着くヨシュアとウェンルー、不思議そうな目でこっちを見つめる桃
「ドクシャってなにぃ?」
は!しまったぁ!これはトップシークレット、誰にも言ってはならないのだ!
「ど、読者じゃない!ど!どあ!ど!どか!った!たらー!」
「あひひー、ナギが壊れたぁー」
あぁ、もうだめだ。
自我が崩壊していく。
「おどき、おどきー!カレン様のお通りだぁ!」
そう言いながら駆けてくるのはカレン・クロスロードクロスロード家の跡取り娘だ。
クロスロード家とは莫大な財産を持ち、
軍事的、政治的にも強い力を持ち、ローレンスの資金源でもある。
そんな所のご令嬢が持っているのは、「パイ」、それも「アップルパイ」だ。
「アップルパイ」を片手に持って突っ込んできたカレンが視界に入った途端
ぶちゃぁ
変な音と共に視界が赤くなってゆく。
俺の世界は今、「アップルパイ」に支配されている。
その匂いにつられて、ローレンス唯一の動物、猫のジャックがやって来た。
「んにゃぁ」
一声鳴くと俺の顔についている「アップルパイ」をなめ始めた。
「パイ」の容器が鉄製だったため、
その衝撃を受けた俺の意識はフェードアウト