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FILE11:ロシア東部争奪戦(6)
俺は双眼鏡で穴を覗こうとしたが、さっきの爆発で舞い上がった砂のせいで見えなかった。
「穴から何かでてきました」
セルゲイが少し緊張した声で言う。
「あれは、人だな」
俺がそう思うと、真横を銃弾がかすめた。
次の瞬間、銃弾の嵐がやってきた。
「おい!撃ってきたぞ!」
ヨシュアがキレ気味に叫ぶ。
「撃ち返せ!しかたない!」
そう言ってスコープを覗き狙いを定める。
動いてる敵へのヘッドショットはかなりの技術を要するため胴体を狙う。
引き金を引くと銃口から弾丸が放たれる。
放たれた弾丸は敵の胴体を貫通した。
だが、撃たれた敵は何もなかったかのように前進し続けている。
再びヨシュアの声がする。
「こいつら撃っても撃っても死なねぇぞ!」
すでに敵は50メートルまでに迫っていた。
「頭を狙えば殺れます」
セルゲイの言葉通り頭を撃てば死ぬようだ。
逆に言えば頭以外ならどこを撃たれても死なない。
俺は愚痴った。
「クソッ、カプコンのゾンビゲームかよ」
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