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7/7

お前の足だから蹴りたい。★

「へー、面白いっすね。オレも交ざっていいっすか?」


 そう言って、岸本は魔矢(マヤ)に軽くローキックする。

 岸本は魔矢(マヤ)狙いなのか――。

 しかも、元ヤン(マヤ)を躊躇いなく蹴るとは、コイツ、元ヤン(マヤ)が恐ろしくねーのか?

 コイツも元同類だから――?

 いやその前に、躊躇(ためら)いなく女子を蹴れるとは、コレが岸本(コイツ)の本性なのか?


 俺がいくつもの疑問を持ちながら事態を見守っていると、岸本の蹴りが少し強かったらしく、魔矢(マヤ)は顔をしかめた。

 そして、意外にも魔矢(マヤ)の表情に岸本への(おび)えの色があるのを俺は気づいた。

 俺は魔矢(マヤ)の怯えの表情を見て、おや、と思った。


 ――気のせいか?


 もちろん魔矢(マヤ)は岸本を蹴り返すのだろう。

 俺はその未来を想像し、――(何故か)少しガッカリした。



 しかし、魔矢(マヤ)がローキックしたのは俺だった。


 岸本がポカンとしている。

 もちろん俺も(おどろ)いているし、また蹴られたトコロが気持ち良いし、そしてガッカリが感動(?)に変わっていった。


 岸本は首を(かし)げながら、また魔矢(マヤ)にローキックした。

 すると、魔矢(マヤ)はまた俺をローキックする。

 俺の目を見て楽しげにニヤリと微笑(ほほえ)みながら。


 俺は密かに謎の優越感を味わいながら、胸が意味不明のドキドキ感に襲われていた。


 俺が魔矢(マヤ)を蹴ったら俺を蹴り返す。

 岸本が魔矢(マヤ)を蹴っても俺を蹴り返す……?

 どういうシステム?



「なんなんすか。もう」


 それだけをポツリと言って岸本は3人の元に戻っていく。



「な、なんで?」


 困惑した俺は魔矢(まや)にそう尋ねるのだけが精一杯だった。

 彼女は照れ臭そうにこう言った。


「アイツなんかヤバそうだし」


 おおう。

 岸本(ヤツ)本性(クズぶり)を見抜くとは、さすが百戦錬磨。




「それに一升(いっしょう)の足だから蹴りたいんだし?」

「――えっ?」




 ズキューン。(俺の心臓が撃ち抜かれた音)




「な、なんだよ俺だから蹴りたいって」

一升(お前)の足がアタシに蹴られて喜んでるようだぞ。ホレホレ、身体は正直だナ」


 魔矢(元ヤン)のローキックは弱い力でも効く。


「い、いた、いたっ、痛いって!」

「ははっ。どうだ、オメーの足は喜んでるって言ってるだろっ?」


 俺は魔矢(元ヤン)に、しこたまローキックを喰らった。

 正直、痛さと気持ち良さで、頭が酔った様にクラクラした。

 下に血液が集まる。


「あっ、一升(いっしょう)何アタシに蹴られて股間を()()してんだ? この変態ヤローっ♡」

「あ、やめっ、コレは違っ」


 俺の股間が盛り上がり、厚みを増しているのは彼女(マヤ)にはバレバレだったらしい。

 確かに厚くさせてるし、()()もなっているけども!



 そんな感じで俺ら二人が子猫の様にじゃれ合っていると、鈴木が指を鳴らしてこちらへ合図する。

 どうやらクラブに入る順番が回ってきたらしい。


 魔矢(マヤ)が残りの二人、ユラちゃんセイナさんと先に入場口に向かう。

 俺も女子3人組に続いて入場しようとしたところ、鈴木に止められた。


「な、何?」

「山さん、作戦会議しましょう」


 合コン途中の作戦会議は良くある話だ。

 お互いの狙いを最終確認ということか――?



「岸やん、山さん、すんません。オレ調べで、ユラとセイナは隠れ彼氏持ちということが分かりました。オレのミスです。どうします?」

「え、そうなのか。でも鈴木、お前彼氏持ちでも平気なんだろう?」

「いや。ユラがオレの友人グループ最大派閥の女ボスなんで不味(マズ)いです。オレは自分のコミュニティ大事にしてるんで、今回はもう無いですね」

「……という事は?」


 何か嫌な予感がする……。


「残されたのは、山さんが仲良く(しゃべ)っていたマヤちゃんだけということです」


 そ、そういう事になるのか。


「ここは3人で、正々堂々マヤちゃんを取り合いましょう。マヤちゃんカップ開催というわけです」


 ま、魔矢(マヤ)(はい)開催……。


「いいっすね。こうなったら飲ませまくって酔い潰しちゃうっすか。3人でお持ち帰りしてもいいっすね」


 あ、岸本のヤロー、クズ野郎の本性を隠さなくなってきていやがる。

 魔矢(マヤ)にさっきプライドを傷付けられた仕返しをしようというのか。


「どうします? 山さん、ここで手を引きますか。オレ、負けない自信ありますよ」

「オレも負けないっす」


 何だ何だ、この流れは。

 俺はヤンキーが苦手で、近づくのも嫌なんだよ!

 丁度良かったじゃねーか。

 このまま帰ってやるよ。






 ――しかし、俺帰る宣言をしようとしたその時。






『――それに一升(いっしょう)の足だから蹴りたいんだし?』

『―――れに一升(いっしょう)の足だから蹴りたいんだし?』

『―――――一升(いっしょう)の足だから蹴りたいんだし?』

(エコー効果)






 ほぼ99%帰る方向に傾きかけていた俺だったが、元ヤン(魔矢)のあのセリフと元ヤン(魔矢)のニヤリ微笑(ほほえ)む姿が脳裏を過(よぎ)った。

 そして、元ヤンのローキックを喰らった足が甘美な痺れで何かを訴えている。




 俺は――――決心した。


「――俺だって自信あるよ。俺が魔矢(マヤ)さんを落として見せるっ!」


 俺は魔矢(元ヤン)を落とす自信などこれっぽっちも無いが、俺がこのクズ野郎共から魔矢(元ヤン)を守ってみせる!



「おっ、童貞の山さんにあの女は落とせないと思いますけどね。何気にあの3人の中で一番いい女だし。ていうか、オレが山さんに負ける理由(わけ)が無い」

「……絶対、酔わせて持ち帰ってヤッてやる(ブツブツ)」





 一升(いっしょう)一生(いっしょう)で絶対に負けたくない戦いが今、幕を開ける――。





 END







最後までお読みくださりありがとうございます。

もしよければご指摘、ご感想など頂けますと成長に繋がりますw


――――……


というわけで、黒猫虎の神シチュは「暴君・猛獣的な、お美しいおみ足の女性が何故か自分だけ蹴ってくる」というシチュでした。

どうなんでしょ、これ(笑)


【黒猫虎が最高だと思う恋愛(=萌え恋)】

男側(もしくは女側)の長年の恋愛に対する妄想・妄執・恋愛観念をぶち壊すような強烈な女性(もしくは男性)との恋愛。


【黒猫虎の最高だと思う恋愛シチュエーション(=神シチュ)】

暴君・猛獣的な、お美しいおみ足の女性が何故か自分だけ蹴ってくる。



――――……


★FAいただきましたっ


猫屋敷たまるさんからマヤさんいただきましたっ

挿絵(By みてみん)


猫屋敷たまるさん、めっちゃありがとうございます!

\(^o^)/


・猫屋敷たまるさんのマイページ

https://mypage.syosetu.com/1751619/


★再びFAいただきましたっ


八割れネコさんから「マヤさんに蹴られる黒猫虎」の絵をいただきましたっ

挿絵(By みてみん)


八割れネコさん、めっちゃありがとうございます!

(///∇///)


・八割れネコさんのマイページ

https://mypage.syosetu.com/1811075/



★またまたFAいただきましたっ


サカキショーゴさんから「マヤさんから激しいローキックをもらう黒猫虎」の絵をいただきましたっ

挿絵(By みてみん)


サカキショーゴさん、めっちゃありがとうございます!

(о´∀`о)


・サカキショーゴさんのマイページ

https://mypage.syosetu.com/202374/





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吸血娘が下着姿で待ってます。(;´∀`)
アリエス令嬢
▲イラスト制作秋の桜子さん(カスタムキャスト使用だそうです♪)


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△バナー制作秋の桜子さん

ノロインクエスト
「ノロインクエスト」作:黒猫虎


小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[一言] 元ヤンさん。 Sなんね。 んで、主人公Mなんね。 割れ鍋に綴じ蓋でいいやん。他の奴に取られないように踏ん張んな! てかさ、後輩2人、ろくな人間じゃないね。 もしかしたら一人だけかもしんな…
[良い点] 読了しました。面白かったです! 途中の「鯛は名前で釣つれる」とか黒猫虎先生の登場で笑ってしまいました。 しかしコレ、続きが気になりますね…… 山さんには頑張って欲しいところです。
[良い点] いやー面白かったです! クズ男二人にローキックじゃ足りませんね! ぜひハイキックをぶち当てて欲しいものです! [一言] それにしても山さん。 よく鍛えられたドMなんですね!
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