我、会敵セリ。
そして開催された3対3の合コン。
現れたのはユラ、セイナ、マヤの3名。
まず思ったのは「偽名?」。
キャバクラか、ガールズバーの源氏名かと思った。
俺も歳を取ったということか……。
女3人組の歳は23から24の同い年ということだ。
何でもユラちゃんが鈴木の知り合いだったらしい。
正直言って3人とも美人と言っていいだろう。
いや、正確には一人だけ独特な美人がいる。
コワカワというやつだろうか。
ピンクゴールド茶髪のヤンキーがいる。
瞬時の判断で、何とかマヤの対角線の席に着席。
我、会敵セリ。
――さあ、戦が始まる。
俺の正面には鈴木の知り合いというユラちゃん。
鈴木はクズだが、女友達のレベルは何故か高い。
どうして鈴木の様な女を喰い散らかすクズに日本は(略)。
ユラちゃんはゆるふわ系で、俺の勘ではM系女子の素質アリ。
女子とそれほど喋ったことはないが、ちゃんとゴーグル先生で予習したから無問題。
ゴーグル先生によると、女子との会話(合コン)のコツはこうだった。
コツ1。男の自慢話や趣味の話は禁止。女子の話をひたすら聞く頷きマシーンとなること。
コツ2。時々、自然な感じで女の子の身に付けているものを誉めること。
コツ3。カワイイ女の子の場合、外見のかわいさを誉めるのではなく内面を誉めること。
コツ4。共通の話題、共通点を探れ。
コツ5。共通の話題が見つからないときは「レッテル貼り」の技を使って会話の糸口を探れ。「◯◯ちゃんって仕事出来そうだよねー肩こってるでしょ?」「△△さんって思いやりありそうだよねー他人の心配ばっかして自分のこと疎かにシガチ?」
コツ6。共通点、共通の話題を見つけてもけして自分の話に夢中なって我を忘れるべからず。
コツ7。話す量を「女の子:自分=8:2」に調整する事。9:1でもよい。しかし10:0ではいけない。女の子が「ワタシだけしゃべってごめんね?」と言ったら「うーうん、とても楽しかったよ」とニコリ微笑むべし。
コツ8。話の内容よりも女の子の表情、仕草に注目しておく事。自分の話に一時夢中になって我を忘れてしまったとしても、表情に注目することで挽回可能。つまらなさそうにしていないか、髪を触っていないか常に観察する事。
コツ9。将来の夢を語れ。その時気を付けることは、お金の匂いのする夢を語ること。お金の匂いがしない夢は女にとってゴミであると心に刻む事。
コツ10。女の子の友人の悪口を絶対に言わないこと。逆に女の子の友人の良いところを見つけて誉めること。
コツ11。恋愛候補を一人に絞らない事。一人に絞らない事で、重さが分散され、相手から「重い」と言われなくなります。
コツ12。貴方が優しいタイプを自覚しているなら、女の子にケチケチしないこと。女の子に漢らしく奢ってあげること。
コツ13。……
――「"i"の伝道師、黒猫虎相談室」より
どんっだけ、コツあるのよ!
俺は画面上の黒猫のアイコンにツッコミを入れながら職場のPCの電源を落とした。
間違いなくこの黒猫虎先生とやらはモテない。
自分の持論をグダグダ長文で書きやがって、自分で言ってるモテない男子の特徴そのものじゃないか。
とはいえ、お陰さまで「コツ1。男の自慢話や趣味の話は禁止。女子の話をひたすら聞く頷きマシーンとなること。」が本物であることを理解できたので、俺は気を付けることにしたのだった。
さて目の前のユラちゃん。
ものすごかわええ。(///∇///)
清楚系白ゆるふわウサギさんタレ目女子だ。
髪の毛はボブカットでほんのり薄く茶色掛かっている。
水色のガーリッシュなワンピース。
プルプルしたピンクの唇。
これはぜひM系彼女に仕上げたい!
妄想が捗る……。
まずい、さっそく我を忘れていた。
鼻の下が伸びそうになるのを堪えて、話題の糸口を探す……。