11.現在09
答え合わせ回②
ちょっと会話文が多めで、文字数も多めです。
読みにくくてごめんなさい。
「私、もう魔女じゃなくなるんだ。だから、これからは歳をとるよ。」
「……え?」
アレクは『え』という口のまま固まっている。
「もしずっと若い子がいいなら、ごめん。
アレクがいいと思えるまでの間の愛人にして。」
「……え?魔女じゃなくなるって?魔女ってやめられるの?」
彼の目からは険が取れ、酷く混乱しているのがわかる。
でもそこを聞いてくるってことは、やっぱり魔女がいいのかな?
「あー…次の魔女を産むと、ただびとになる。人と同じ時の輪に戻る。
だからこれから私は普通に歳をとるよ。詐欺したみたいでごめんね?」
説明すると同時に一応謝ってみる。
「次の魔女を、産む?」
「うん、産むよ。ここにいるの、わかるの。」
そう話す私が手を置く下腹部を、アレクはじっと見ている。
うれしさ…は当然ないとして。嫌悪感…もない、かな。あるのはどうしようっていう困惑、かな?
普通ならこんなすぐにわからないもんね。
たった1回だけで子供ができる、しかもそれは魔女だなんて言われたらビックリするよね。
「……でもアレクを困らせるのは本意じゃないし、私やっぱり森に帰るね。
これから奥さんに子供ができても、この子は魔女だし、別カウントで大丈夫。認知とか相続とか、そういうのはなしでいけるよ。」
「なんだよそれ!!」
やっと思考が追いついたようで、鸚鵡返しじゃない、感情を伴った言葉が発せられた。
でもいきなり怒鳴られてこっちもカッとなる。
「怒んないでよ!聞かないアレクも悪いんじゃない!
確かに魔女は不老だけど、男と寝たらただの女になるし、そしたら子供もできるんだよ!
ごめんね!期待ハズレで!じゃあね!」
夜中だろう寝巻きだろうがが関係ない。
もう森へ帰る。
迂闊にホイホイ来るんじゃなかった。
……期待しちゃってバカみたい。
「期待はずれって、んなわけあるか!
いきなり思ってもみなかったこと言われたら驚くに決まってるだろ!?そしてすぐ離れようとするな!
子供も持てて、一緒に死ねるなんて最高だよ!離すわけないだろ!」
そう言うと実際に引き寄せられ、堅く彼の腕の中に閉じ込められる。
ぎゅーぎゅーと絞られながら、アレクは「全く油断も隙も…」とか「子供ができてもこれかよ!」とか「魔女って想定外すぎる。全部吐かせないと…」とか口の中で呟いている。
その言い方だとこのまま森に帰らず、側にいるってことかな?
それは想定していなかった。
そうするとやっぱり問題になるのが…
「……一緒に死ねるかどうかはわかんないけど、子供はいいの?愛人はともかく、子供はバレたら奥さん怒んない?」
「奥さんじゃないし、婚約者だし、それも形だけだし。
どうせアナイスと結婚できないと思ってたから、侯爵位継ぐのにお飾りの妻が必要ってだけで婚約解消してなかったんだ。」
言われた言葉を要約すると、本命は私って言ってるみたいだけど……
「なんか…それはそれでサイテー。」
非常に微妙な気持ちになる。
「そんなことないぞ。あっちも俺とどうこうなるつもりなんてさらさらないからな。明日にでも、婚約解消してくる。
だからアナイス、俺と結婚して。」
「それこそサイテーじゃない!?
今まで婚約してたんだもの。どうこうなるつもりがないわけないじゃない!」
な、なんてクズい男だ!
「いや、ない。」
「だとしても!今更婚約解消して相手はどうすんの!?」
「弟と婚約させる。」
「サイテー記録を更新した!」
やっぱり私は…というか魔女は男運が悪いんじゃないか?
どうしよう。
なんか、私に対してだけは誠実っぽい対応してる気がするけど、実の弟含め、他の人への仕打ちが酷すぎる。
『それはそれ、これはこれ。私が好きだと思った彼が本当の彼なの(ハート)』とかぜんっぜん思えないぞ!
ドン引きだわ〜
そう思っているのが伝わったのか、アレクが慌てて続ける。
「いや、だから違う。元々俺と名ばかりの結婚をしても、寝室に入るのは弟の予定だった。
それで弟の子供を俺の子供として次の侯爵にするって筋書きだったんだ。婚約者と弟とは想い合っているし。
でも子供の頃からの婚約で、家同士のつながりもあるから今更弟に変更の上結び直すとか、侯爵位とかも絡んできて面倒でこんな事にしてたんだが、アナイスと結婚できるんなら面倒くさくても婚約解消したり云々するよ。
実質は変わらないんだ。ただ面倒くさいからやってなかっただけで。」
「面倒って3回も言った!」
なんだかいよいよ思ってたんと違う。
愛人扱いよりは誠実なの?
『面倒』で結婚して弟とその恋人に正式な夫婦にしなかったり、自分が結婚したい人が別に出来たらあっさりそれで婚約破棄したりって…どうよ?
「……熟考させて下さい。」
「……いいよ。よく考えて。ただしここでね。」
じゃあ続きするよ。
そう言ってアレクは再び覆い被さってきた。
「アレク!?」
「森へは帰さない。森の中でのやり取りではもう埒があかないってわかってるから。」
「いや、私は考えたいって言って…」
「アナイスも俺のことが好きなら両想い、恋人同士は確定した。結婚するかどうかは好きなだけ考えていて。俺は妻になってもらえるように努力するから。
あらゆる手を使って……」
続きは致しました。
これも努力のうちの一つだそうです。
も、もう少しで終わるはず…




