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うちゅう人の独り言  作者: からし
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うちゅう人の独り言 イナとミナ 02 

 01と内容は、別です。


 でも、在ったかも知れない別の世界の話。

 世にも奇妙な物語を始めよう、入り口は、深夜の自室の布団、眠りについて、見るはずの夢が、今、まだ寝ていないのに目に見える、現状。

 「疲れているんだ、多分、今日は、色々なことが、有りすぎて、身体が興奮しているに違いない」

 独り言ちてみても、此処は自分の部屋、自分以外は誰もいないはず。


 「いや、疲れて等おりませんよ、わたくしたちが、これからあなた様を不思議な事象に、引き込もうとしているだけですよ、あなた様のご先祖様からのご指示ですので、わたくし達と一緒に体験していただきたいと思います、それでは、『ゆっ~くり、瞼がぁ~閉じていくぅ~』この声と共にパラレルワールドへ、誘います」


 「ぬ、ぬいぐるみが、しゃべったぁ~」


 ぼくの部屋には、たくさんの可愛い系のぬいぐるみたちが居る、布団を囲むように配置していて、怖い夢も、可愛いぬいぐるみたちとの良い夢に変えるために、それなのに、いまは、すごく怖い感じがする。


 『ゆっ~くり、すぅ~っと、だん~だぁ~ん、ねぇ~むくぅ~なぁ~る、きもちよぉ~く、おちついてくぅ~る、そぉ~れぇ~でぇ~はぁ~、いってぇ~い~らっ~しゃぁ~ぃ、まぁ~せ』

 

 ★   ★

 

 

第一級デジョネイターそれは、つまり、リセッター(全てを初期設定に戻す者)の事である。


 「イナ、ここは、まだ、リセットする処じゃないぞ」

 

 寝ぼけ眼で、白狼の獣人が、黒猫耳の人型に寄り添いながら、ゆっくり、抱きかかえるように覆いかぶさる。


 「うん、分っている、ミナもあまり遠くに行っちゃだめだよ、ティナの事もあるし、今は、まだ一緒に行動しましょうね」


 体重を受けながらも、嫌がらずにそれよりも逆に愛撫するように相手の頭から背中、腰までをやさしくなでながら、言い聞かせる。


 「何処に行っても、虫唾の走る事ばかりだがなっ、ぺっ」


 悪態をつきながら、イナの顔とは逆の方向に向き、唾を吐く。


 「ティナの外にも見えなくなった子が、いましたね、紫炎しえん大丈夫でしょうか」


 遠くを見つめるように視線を彼方へ移す。


 「ありゃ、大丈夫だろう、あいつは、何処でも生きられるって、おれたちと違って、文字道理、溶け込めるし、いざと成ったら、自分ごとその辺を一気に消滅させたりしてな」


 愛撫されながら、イナの右手を自分の胸に寄せて、願うようなしぐさで、話す。

 

 


 ☆   ☆




 広い、只々、広い、管制塔が、かすんで見える、軍の空港のはずなのに、戦闘機の離着陸の騒音も聞こえない。


 「あっ、あづぃ~」


 旅行者じゃない、恰好を観ればわかるが、見た目は、ほんわかとした昔の江戸時代に居る様な着物姿の給仕さん、だが、今は、着崩れて、その清楚さは、見る影もない。


 「うっ、うだるぅ~」


 同じく、旅行者じゃない、恰好、正常であれば、幾人も振り向くような容姿を持つ紫の髪に黒と白のアッシュが入った、偉丈夫のはずだが、これもまた、あまりの暑さに溶けかかっていて、見る影もない。


 「おにいさまが、わうるいのでしゅよ、近道だっていうものでしゅから」


 給仕さんは、噛み噛みながら後ろで、溶けかかっている漢に愚痴をこぼす。


 「わがっては、居だんだ限度、見えだ通の距離じゃながっだんだな、マジいな此れ、溶けっど、なんどが、あそごの管制塔まで行げば、コンソールぐらいあっべ、そこがら、姉御のところさもどっれっべ」


 偉丈夫で、漢なのに訛りが、ひどい、言語中枢が、暑さで、飛んでしまったようだ。




 ◇   ◇


 


 その管制塔のハンガーで、整備のお姉さんたちが、音がしない不思議な戦闘機に群がっていた。


 「新型機ですか、エンジン出力問題ありませんね、テストは順調ですね、処で騒音がしませんが、本当にエンジン回っていますか」


 主任のような恰好をしたお姉さんが、コクピットに居るパイロットにインカムで話す。


 「はい、此れより最大出力まで、あげてゆきますので、警戒してください」


 やはり、音や振動は皆無。


 「「「「「すごっ」」」」」


 整備のお姉さんたちは、驚きと警戒心で、表情が、ぽぉっと赤くなっている、まるで、恋人に会った様な感じだ。



  

 「すっすみません、ここのコンソールに、接続させてもらえませんか」


 不思議な声とかわいらしい姿の妖精さんの様な女の子が、ハンガー上空よりゆっくり降りてくる。


 誰もが皆、戦闘機に夢中になっている時に、ひとり気づき、整備班長に対応をうながして、自分は、戦闘機の方へ走って行った。

 

 班長も見て居たいのだが、その容姿を見ているうちに、なんだか、温かい気持ちになって、ぼぉっとしていく、自然に対応している様にも見えるが、明らかに誘導されていた。


 「今は、使ってないから、そこの柱の陰にコンソール端末あるから接続してくれ、接続後は、綺麗にして、返してくれば良いからな」


 ぼぉっとした様子で、いつまでも妖精さんを見て居たい気持ちになったが、主任からの声にハッと、我に返る。


 「蕪咲班長かぶらざきはんちょう如何どうしました」


 「あれっ、何か見たような感じがしたんですけどね、忘れてしまいました」


 先ほどまで、何かに対応していた事等忘れ、皆の所に戻る。



 「ここですね、では、ダイブしますって、此れ、旧式じゃないですか、チッ、仕方ありません、ダイレクトリンクします」


 妖精さんの格好をした女の子、にやりとしたものの形式が旧式と分かるや舌打ちし、両手でコンソールを挟み込み、念じる様に「ダイレクトリンク」と、言った。


 「駄目ですね、ここは、分岐点から遠いようですね、ローカルですものね、主幹線までが複雑で、行けない事は無いですけどね、6重ループは、単なるプログラムが未熟な証拠でしょうか、お粗末ですね、時間が経ち過ぎると、あの方達がやって来てしまいますね、今は、まだ直接お会いしたくありませんからね、此処までですね」


 女の子は、ふっと、掻き消えるように消えてしまった。





 「「やっど、やっと、ついだぁ~」」


 バテテ、へばって、溶けかかって、着崩れを直しながら、ハンガーの入り口から中に向かって、一言。


 《《みっ水下さい》》大きい声で、反響した、、、完全に崩れた・・・ただの屍である。


 ミミズは、既に干からびていた。


 小川や貯水池にも水はない、ただ、暑い風が流れている。


 「はい、お水」


 キンキンに冷えた、大きな氷の入った冷たいきれいな水が中程まで、貯まっている、大きな白銀の金盥が、目の前にクレーンに吊られた状態で、目の前に置かれた。


 「入っていいの?それとも、コップくれるの」


 屍にも二分の魂、手だけが、起きあがる。


 「わたいは、入りたい飲みたい」


 残りの屍には、三分の魂、頭が持ち上がる。


 「とりあえず、我慢してください、まだ、飲んでは、だめですよ」


 酷い、お預けなんて、地獄だわ、飲ませてよ、浴びらせてよ、服を脱いで、入っちゃうもん。


 「ナニ、もぞもぞしているのですか、はしたない真似は、止して下さいませ、衛生兵、此の者達の回復を…」


 「お兄様、ぬいじゃダメですってよ、これで、お水を飲んでくださいな」


 と、言って、極細の大きな三重ハート型のストローを手渡した。


 「吸えない、力が出ない、水飲みたいのに」


 口にしたが、なかなか吸えない、水が上がってこない。

 

 「まぁ、当たり前なんですけど、それって、途中で、詰まっているんですよ、分りませんでしたか、水飲みたさに、スキル、限界突破がみられると思ったのですけど、無理でしたでしょうか」


 なぜに、そこで、日当たりに在る、彼等の屍を指さすのですか。


 そこには、二匹の干からびた蚯蚓みみずが、横たわっていた、今にも吹く風に流されそうになりながら。


 あづい、この一言に、つけ入る隙も無く、激しく同意する。


 






 紫煙を見て居るとわかるのですが、寝て起きると、別の世界の始まり、昨日の世界じゃない、辻褄つじつまの合わない世界に居る事は、在りませんか。


 作者は、いつもそんな世界に生きています、脳性麻痺ではないです、一部欠損ではありますが、交通事故って、怖いですね。

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