うちゅうじんの独り言 いつかの事 2-1
別の世界の物語、色々な世界を繋いでいると、たまに起きる、輻輳やごちゃ混ぜ感、どの世界に飛ばされたのか、解らなくなる時がある。
ぼくは、色んな名前で、呼ばれていた。
戦場で、暗躍する、スパイの様なモノ。
ぼくの所属する部隊は、全員不死者の様なモノ
死んでも、意識が残り、別の人間に構成される、それも、その人間の声や生い立ちまで、寸分たがわず。
今、ぼくは、セーラー服に身を包み(あっ、ズボンは紺色に白ラインだよ)
ぼく達の国に不利益に成る、軍関係者を見張っている。
人目の無い港の食品倉庫で、上官の将校と取引相手の某国軍人に見える者との秘密の取引現場を監視している。
身軽なぼくは、足音も立てずに倉庫の食品ケースの上にいる。
「これが、わが国で主流の武器です、閣下」我軍の筈の将校は、相手の軍人らしき人に、設計図の青写真を見せながら、言う。
「これほどの武器を開発しているとは、何とも信じがたい」、ひげを蓄えた、チョッと、ぼく好みのナイスミドル。
「閣下、これは、わが国とは、発想が違います」閣下と呼ばれた人の前に居る、技術畑の様な人が、発言する。
突然、外で、銃撃戦が、発生した「何事だ!」カービン銃を抱えた数名の軍人が、閣下と呼ばれた人を保護する様に囲み外を警戒する。
ぼくは、身を低くして、様子をうかがう、すると、知り合いの将校が、外の人達と交戦している風を装って、倉庫の入ってくる。
「取引がばれた、もうすぐ奴らが来る、今の内に裏から出ろ」大声で、そう言い、外に向かって、発砲しました。
ぼくは、閣下と呼ばれた人に青写真が渡されるのを見て、取り返そうと、足を踏み出したところ、箱が崩れ、軍人さんたちの前に落ちました。
「こんな所にも居たのか、ええい、打て撃て、証拠を残すな」えらそうな軍人さんに言われ、両隣の軍人さんが、ぼくに向かって、銃を発砲ドンどんドンと三発、一発は、取引相手の上官将校からでした、自軍の兵士を殺すなんて…
ぼくは、うつぶせに倒れ込みました、被弾は、胸に二発、頭に一発、上官将校の弾は、頭でした。
ぼくの知り合いの将校が、裏口のドアの前で、取引組を手招きしている。
「こちらから、逃げられます、今の内にさぁ、早く逃げて下さい、なっ、何をするんですかぁ」ドアに手を掛けながら上官将校の方を向いて、驚いた表情をする。
「目は、つぶした、後は、手のみだ」と、上官将校は、知り合いの将校の頭を銃で、撃つ。
「閣下、私も連れて行って下さい。」と、我軍を裏切った上官将校は、閣下と呼ばれる一団に懇願するが、「取引もろくに出来ない者など、何の価値も無い、これは、貰っていくお前には、弾をたらふくくれて遣る」と言って、銃を向け全員で、撃つ、ドッパンと、大きな音がした、本当に一回で、全員合わせた事による、発砲音と振動。
「おおっ、わが国の兵士は、優秀だな、銃声が、一回であった」髭を揺らして喜んでいる。
「「閣下、急いで自軍に、戻りましょう」」ぼくを撃った二人の軍人さんが言う。
急いで、裏口から外に出た瞬間、高圧照明で、照らされ、慌てて、倉庫内に戻り、ドアを閉める。
『銃撃戦は、おとり、倉庫の外には、一個師団、逃げられる筈は、有りません。』拡声器の声
それに撃たれた筈の知り合いの将校が起き上がり、「あぁ、あっ、本当に殺してやがんの、まあ、普通の将校だし仕方ないか」と言い、裏切りの将校の目に手を当てて、瞼を下す。
「何だ、きさまわぁ~」と、驚いて後退る青い顔の閣下を置いて、我先にと逃げ出す軍人たち。
「ここまで来ると、滑稽ですね」メインゲートが、大きく開いて、うちの上官が、優雅に闊歩してくる。
後ろから、数十人の銃を構えた味方の軍人が、入って来て、けん制する。
「紫煙、何時まで死んだふりですか、仕事しなさい」死んでしまった、ぼくに向かって、上官の樹中将が、言う。
「ふりって、実際、気絶していたんですよ、物凄く痛いんですってば」ぼくも、両手のひらを床に付けながら、むっくりと起き上がる。
「あぁ~あっ、仕立てたばかりの一張羅が、穴だらけじゃないですか」樹中将の後ろから、物品調達課の関野調達員が帳簿らしき物を抱えながら、えらい剣幕で、こちらに走って来る。
「ぼくばかりじゃないですよぉ、堀米戦闘伍長も被弾してますしって、あれぇ~伍長、頭でしたか、良いなぁ、益々、頭良くなるじゃないですか」ぼくは、堀米戦闘伍長に向かって、確認しながら言った。
「おおっ、紫煙その態度、後で、反省室な」目を吊り上げて、ぼくを見る、しかし、口元が、笑って居る。
「冗談もそこまで、それで、貴方がたは、その青写真だけで満足ですか」閣下と呼ばれた、青い顔をした軍人達に言い詰める。
「きっ、貴様たちは、なっ、何なのだぁ~」青ざめた顔が、益々蒼白に成りつつある、敵将軍。
「ぼくたちから逃げようなんて、出来ないのです、何処までも追いかけますよぉ。」ぼくは、飛び上がり、まるで、飛んでいるかのような仕草で、相手に圧力をかける。
「紫煙、遊ばない、仕事ですよ」樹中将から、お叱りの言葉。
「はぁい、仕事ですね、分かりましたぁ~、イタッ」堀米戦闘伍長の傍に着地すると、拳骨一つ頂きました。
「はい、貴方達も、後で、反省室ですよ」樹中将は、優しそうな感じであるが、容赦ない言葉で場を収める。
「それで、貴方方は、その青写真だけで満足して、兵士三人を射殺して、自軍に帰り、如何する心算だったのですか、将軍閣下、貴方ですよ」敵将軍を視線で刺し貫き銃を持っている四人のうち一番右から二人目の兵士に問う、樹中将。
「えっ、そっちなの将軍って、じゃぁ、その蒼白の将軍の格好をしたオジサンは誰なの」ぼくは、樹中将に問う。
「入れ替わって、いるんだろう、その証拠は、指にある銃の撃鉄タコを見れば、見当がつくぞ」堀米戦闘伍長は、樹中将のかわりにぼくに答えてくれました。
「そうですね、それに貴方は、此れだけの事をして、隣の兵士と見ても全く微動だにして無い所が、変です、貴方が将軍閣下である証拠ですよ」樹中将は、右から二人目の俯いたままの兵士に向き合って、話す、周りの兵士は、逃げ腰だと言うのに、その兵士は、全く微動だにしなかった。
「この者達では、最後まで騙せるとは、思えんな、如何にも、儂が、方面軍中将南陸将である」と、兵士の格好をした、敵将軍閣下が、名乗りを上げる。
「それで、出来れば、この者達は、正規の捕虜として、扱って欲しい、頼む」南陸将は、頭を下げて、懇願する。
銃は、先程、ぼくが飛び回っている時に回収して、堀米戦闘伍長に渡しました。
「それでは、皆さん、捕虜として、回収して下さいね、わたくしは、もう少し此の方とお話があります」そう言うと、樹中将は、南陸将を連れて、倉庫の事務室に関野調達員と共に入って行った。
「堀米戦闘伍長、何の話なんでしょね、関野調達員も連れ行ったし…」フムッ、と考えながら、堀米戦闘伍長にぼくは、話しかける。
「さぁな、何やらきな臭い話に成りそうだが、もしかしたら、Wスパイにでも、仕立てあげるのかもな、いつもの事だしな」ほれ、けえるぞ、と言いながら、ぼくの首に腕を廻しながら言った。
---------------------------------------------------------
余談であるが、ぼく達を裏切った事に成っている上官将校は、別の組織のWスパイで、ぼく達の味方でした、御愁傷さま。
「花代、お前も払え」堀米戦闘伍長から、催促、???と、思っていると、死んだ上官将校の葬式に出すそうです、二階級特進で、中将との事、奥さんと子供二人が、幸せに暮らせます様に、お祈りいたします。
何れは、もとに戻るとも、今はこの輻輳が、楽しいので、しばらく続けます。