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うちゅう人の独り言  作者: からし
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母性愛が非常に多かった頃の記憶

あたいには、昔の記憶がある、小型の石器刀を左手に握って、稲の穂を掴んで、手首を返して、切り取る、腰に有る、藁で編んだ袋に入れていく。


じいちゃんとばぁちゃん、おとうさんとおかぁちゃん、だんなとあたいと乳飲み子の7人家族の団欒。


家に帰ると、こどもが、胸に吸い付いてくる・・・



ここで、目が覚める、今は、現代のはず、何処まで行くのやら。

さて、顔洗って、仕事に行く準備しなくちゃ。

 私には、複数の重なった時代の記憶がある、ひとつは、女の子13歳ぐらいかな、藁で、編んだ布(大判のバスタオル位)の真ん中から頭をだして、腰でベルトのように藁で紐を作って、きゅっと結んで、足元は素足、土の温かさが、分かる。


 小型の石器刀を左手に握って、稲の穂を掴んで、手首を返して、切り取る、腰に有る、藁で編んだ袋に入れていく。


 大分貯まった処で、穂の無くなった稲を掘り起こして、束にして、年長者ねんちょうしゃに持って行ってもらう。


土塁で、囲われている場所、ここが、家(雨曝ではない)大きなカヤノキの下に木の皮の屋根、竹垣の壁

中には、鱗木の皮をいっぱい入れた、かまどがあって、その隣に石刀が、きれいに並べてあって、石のまな板のようなもの、上には川魚3匹、歯胡桃はぐるみ夕食は、母が作ってくれる。


 ここで、旦那が、わたしの腕をつかむ、引き倒しながら、首筋に口をもってくる。


 顎に心地よいひげの感じ、体の芯から、もそわもそわって、気持ちの良い心地がしてくる。


 でも、旦那だけじゃないのよね、まだ、小さい乳飲み子もいるの、「まんま、まんま」って、胸に吸い付いてくる、一瞬フッと、言う感じがして、現代に戻される。



 見知った、天井、夢それとも記憶、胸に、吸い付かれた後を残し、現代いまに戻された。


 「さて、今日は、何から始めようかな」


 寝巻と下着を脱いで、シャワー室へ、寝ぼけ眼で、冷たい冷水を頭から被る。


 ウィーン、カシャカシャ、ボワァンと、ディスプレイの電源が入る。

 

 『本日の予定は、こちらです…』


 壁にある、備え付けのカメラとAIキット、カメラの絞り音とともに、わたしの秘書たるAIが、話し始める。

 

 「ハァーイ、グットモーニング、ミス鏑咲かぶらざき


 わたしは、AIに声を掛ける。


 AIは、鏑咲重工業製であるから、ネームもミス鏑咲にしている。


 何となく、一人暮らしに飽きたのかもしれない、居ない人間を思う事は無いけど、見えない隣人は、昔から傍にいたので、あまり気にならなかった。


 『…と、此処までが、本日の予定でございます、予定変更などありましたら、逐次返答お願いします、わたしは、秘書ですから、予定及び健康管理も行います』


 なんと良くできた、秘書である、実体のある人間の女性には、ほとんど興味はないが、子供や老人を眺めているのは、大変興味深く観察できる。


 わたしの仕事は、幼児保育と老人介護を両立させた、【幼人育成介護】である。


 内容は、幼児と老人の交流による、共生関係の発展、幼い時から老人という熟年人達との交流を行い、おじいちゃんっ子、おばあちゃんっ子を数多く育てる、老人が、惰性で生きて、ボケるのをよしとしないで、子供との触れ合いを通じて、活きる喜びをはぐくんでほしい、生活してほしいとのコンセプトである。


 「ところで、今日の面会人は、どなたかな」


 回想を経て、ミス鏑咲に問いかける。


 『本日の面会人は、兄さと嫁子様です』


 「兄さと嫁子様、ふむっ、面識はないと思うが、何となく気になる、ネーミングだな」


 『面会室にお投資いたして、よろしいでしょうか。』

 

 頭をドライヤーで、乾燥、整えて、下着、ワイシャツを着る、スラックスのベルトを締めて、ついでに気合も入れる。


 「えぃ、よし、何時でも良いぞ、ミス鏑咲、君も同伴してくれ」


 『はい、では、お通し致します、、、面接室のモニターをオン』


 

 兄さと嫁子様は、二卵性共成児でした、体の一部が、くっ付いて居て、共に共生の立場であるとのこと、



 「フム、これは、介護が、難しいですね」


 確かに、何処でも介護困難と云う事から、盥回し(たらいまわし)にされていた様であるが、ココは、他とは違うのよ、所長は、少し変がかってはいるが、隅々まで行き届いた、介護サービス、教育にしても、平均的な大学の図書館に等しい、蔵書の数々、教育スタッフ、たった一人ではあるが、女医さんもいる、幼人育成介護、すなわち総合病院に匹敵する、医療スタッフが、従事している。


 『ご安心くださいませ、此処は、シャム同位体を扱った事のあるスタッフも在住して居ります、ご不明の点が、ございましたら、わたくしの端末が、それぞれのお部屋に用意されておりますので、ご使用ください、なお、取扱い方は、常駐スタッフに質問して頂ければ、分かります、それでは、良い介護サービスにたどり着きましたね』

 

 「介護サービス」




 


 一日の始まりと、終わりって、一緒じゃないよねぇ、感覚的には、今に生きているのですが、過去でも生きているような錯覚ありませんか。

 色々な時代に自分が居て、目をつぶって、瞑想するとその時代の香りがする。


 中世であれば、大砲と火薬のにおい、石器時代であれば、鳥獣の鳴き声や匂い。


 現代であっても明治維新前とか、踏鞴たたらのにおいと鉄さびの匂い。


 


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