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TOKIクエスト  作者: リョウ
1/1

今、少女達の戦いが始まる!!

序・・・混沌とカオスが支配するこの世界・・・ニシ・リエは旅を続けていた。

(このままでは、この世界は破滅する。今のままでは・・・)

 迫りくるサカと呼ばれる脅威

(世界をもう一度、一つにすることが出来れば・・きっとサカの脅威をはねのける事が私達にも出来る筈・・自分にその資格があるのか?私よりももっと適任な者がいるのでは?)

 ニシ・リエは自分自身に問いかけながら、2年前に旅立つ決意をした。

 そう私は賢者にして神の目を持つと呼ばれている者。2年で集めた仲間と共に、今、朱鷺の地より羽ばたく決意をした。(ニシ・リエ=こうみな、たてゆい、と共に3賢者と呼ばれている一人。戦闘力2000)

   1章-1  やっぱ、エビフリャーが1番だぎゃー(略シテ、ヤエビ)編

「大きな街ですねー?」マリアは高層ビル群を眺めながら尋ねた。(マリア=シスター。戦闘力700。回復系魔法のスペシャリスト。その美貌とは裏腹に中身はポンコツという噂もちらほら・・・)

「当然よ。ここはミャーミャーの首都。やっぱ、エビフリャーが1番だぎゃーですもの」

「リエ様。よくご存じですね?」

「マリア。知ってて当然よ。何たって、ここはリエ様の故郷なんだから」楼蘭が得意げな顔で答えた。(楼蘭=武闘家。戦闘力800。蜃気楼で有名な楼蘭出身。通称姫、もしくは釣り師。その鋭い毒舌からは信じられないが、心は豆腐リミックス。友達は極めて少なし)

「暑い~~~!かほほん。暑いの嫌い。気温少し下げていいですか?」

「駄目に決まっててんでしょう。あんたが魔法使うとろくな事がないんだから」

「楼蘭ひどいーー!そんな事ないですよ」かほほんはいつもののんびりとした口調で答えた。(かほほん=北の大地の魔法使い。戦闘力600。生きてて良かったが口癖。奥義はワニの握手会。ワニ神とも呼ばれている)

「あーーー!手羽先。みそかつ。きしめんーーー!食べたい。食べたい。食べたい」

「ハギ・ユカ!騒ぐな!私達は名物を食べに来た訳じゃないんだから」楼蘭は騒ぐハギ・ユカを羽交い絞めにしながら叫んだ。

(ハギ・ユカ=落ちこぼれ。戦闘力95。マリアを姉のように慕う。)

(この子を本当に連れて来て良かったのだろうか?)ニシ・リエは騒ぐ2人を見ながら思った。

 ハギ・ユカと出会ったのは3年前。ニシ・リエがまだ朱鷺の地に旅立つ前の事であった。

 ダイヤモンド。もしくはダイヤモンドの原石と思われる子達は次々とその行先を決めていた。

 この子には悪いが、ダイヤモンドどころか、ルビーの輝きも見えない。単なる、土塊にしか見えなかった。1年後、どこにも引き取り手のないハギ・ユカをニシ・リエは朱鷺に連れて来た。

 それは、確かではないが、ニシ・エリの第3の目ともいうべき神眼になにかが、触れ。その直感を信じて見ようと思ったからでもあった。

「オミャーさん達。何やっとろだ?」ニシ・リエの思考を遮るように少女が声をかけてきた。

 深紅のバラをイメージしたミニドレスに黒のベルト、バラの髪飾りを付けた少女達が、いつのまにかニシ・エリ達を囲んでいた。その数、約20名。

「まさか?オミャーさん達。朱鷺の者達か?」

 純白に赤のラインが入ったミニドレスを纏ったニシ・エリ達を見て、中の一人が尋ねた。

「何しにきやった?」

「ジュリ・ジュリはどこ?話があるの」ニシ・リエは臆する事なく尋ねた。

「お、おみゃー。何ゆっとるだ。ジュ、ジュリ・ジュリ様にあいてーだと?」ニシ・リエのオーラに圧倒された少女はおびえるように答えた。

「研究生!貴方たちでは無理よ」

 朱鷺のメンバーを囲った輪の外から鋭い声が聞こえた。

「お久びりです。ニシ・リエ様。故郷にお戻りですか?ヤエビはいつでも、お待ちしていますよ・・」

「お前はタカ・チュリ・・・」不敵な笑みを浮かべる声の主を睨みながら、ニシ・エリは言った。

「このお方は、お前達がこの世界に生まれる前からセ・ン・バ・ツで活躍されていた方だ。もっとも何度か、センバツから抜けられる事もおありだったようですが・・・おーふぉ、ふぉ」(センバツ=世界運営罰則規定を作る会議。国の最重要会議のメンバーである事の略)ヤエビの研究生にとって、センバツとはミャーミャー城に燦然と輝く鯱のような物であった。

「気色悪い笑い声はやめなさい!閉!閉!ほーら。閉めるわよ」ニシ・リエは人差し指を突き出しながら、タカ・チュリに迫った。

「いやーーーー!閉めないで!私、乗るから!閉めるを押さないでーーーーーーーーーー」タカ・チュリと呼ばれた少女は突然耳を押さえて膝をついた。

「ニシ・リエ様。何なんですか?この子?」楼蘭が尋ねた。

「この子の弱点よ。以前、よほど怖い目にあったらしいわ・・・」

「それは、それは・・・・ほーら!ほーら!閉めるわよ!閉めるわよ!」性格の悪さそのままに、楼蘭がタカ・チュリを追い詰めた。

「そこまでにしてもらおうかしら?・・・お嬢ちゃん」

 ニシ・リエ達を囲む輪の一方が開き、新たな少女達が数名、姿を現した。

「何よ!あんた達!」

「ダーク・エアー!!!」先頭の少女が人差し指で楼蘭を指した。

「きゃーーーーー!」戦闘力800を誇る楼蘭が悲鳴を上げながら、後方に数メートル吹き飛ばされた。

「何者か?」ニシ・リエの前に2本の剣を構えながら、太陽が立ちふさがった。(太陽=クルセーダー剣士。戦闘力1300。チームの壁。特技、しゃけの吊るし切り)

「この者達はヤエビの正規団。そして、彼女はヤエビのナンバー2。ダース・リン。属性は闇。アンデットの王にしてリッチと呼ばれる者」ニシ・リエは賢者の杖を構えながら身構えた。

「久しぶりに会うというのに、敵意を剥き出しではありませんか?ウナ・リエ。いえいえ、これは失礼。ニシ・エリさん?それで、朱鷺の方がヤエビに何か御用でしょうか?」

「ダース・リン。ジュリ・ジュリはどこ?彼女に話しがあるの」

「・・・まさか?本当にこの世界を変えようとしている訳?噂では新国の朱鷺が、老舗であるこのヤエビや、あと2つの国もすべて征服しようとと企んでいると聞いているけど?」

「違う!決して、あなたがたと戦う為に来たのでは無い。私はこの世界をただ、守りたいだけだ。サカと呼ばれている者達を知っていよう?今のままでは、必ず私達の世界はサカに侵食されて跡形もなくなってしまう。それを防ぐには国を一つにして強力な力で対抗するしかないの。どうか、私達と共に・・・」

「結構。私達はこれで十分。田んぼしかない田舎におかえりなさい。それが、貴方たちの為よ」

「聞く耳は無しか?」

「当然でしょ」

「戦うしかないのか?・・・・仕方がない。皆!まずはこの者達を蹴散らし、栄城に乗り込むぞ」

 朱鷺の戦力は約20名。相手はダース・リンが居るとはいえ、正規団が5名。あとは研究生が20名いるだけ。頭を潰してしまえば、恐れる事はない。

「覚悟!」ニシ・リエはダース・リンめがけて杖を突き出した。

 40名からの少女達がそれぞれに、それぞれの戦いを始めた。

         





            1章ー2  覚醒

 戦いは朱鷺がほぼ、ヤエビ研究生を制圧して終了するかと思われたが、

「リターーーーン」ダース・リンの声が大きく響いた。

「これは?」

 朱鷺のメンバーを取り囲むように、60名程の新たな敵が現れた。

「何?何?お化け?」楼蘭が辺りを見て拳を突き出した。

「はははははは!私を誰だと思っているの?」

「ゾンビ?」ハギ・ユカが尋ねた。

「違うわ!!!アンデットマスターじゃ!」

「ゾンビだ!」かほほんが笑いながら叫んだ。

「ゾンビさん。私が浄化してあげますわ。迷わず成仏できますように」マリアは両手を合わせた。

「だから、違ぁーーーーーーう!ニシ・リエ。どういう基準でこの子達を集めた?」

「それに関しては・・・いろいろ大人の事情が・・・・」

「それよりも、どうだ?この者達をその人数ですべて相手にできるかな?」

 ダース・リンの最大奥義。リターン。ヤエビを旅立っていった者達を戻す、召喚魔法。

「まずい!サト・ミナ!メダパニだ!」

「了解でーす。はーい。皆さん。ダンスですよーーーー」サト・ミナは前宙を繰り返しながら、敵に突入していった。(サト・ミナ=踊り子。戦闘力400。チームで1番のしっかり者のようで、実は1番危ない奴)

 20対60。朱鷺のメンバーはそれぞれに持てる力を出して戦い続けた。

「倒しても倒しても、敵が減る気配がない?」楼蘭は荒い息を吐きながら、呟いた。

「あーーーー!サト・ミナがベホマラーダンスで倒れた敵を回復させてますけど?」かほほんが場違いな、いつもののんびりとした口調でニシ・リエに告げた。

「あのバカ!かほほん!踊り封じ!」

「はーい。かほかほかほほおん。ペスカトーレ!」かほほんはサト・ミナに魔法の杖を突き出した。

「う・動けない・・・」サト・ミナは宙返りの途中でパンツ丸出しのまま停止した。

「ニシ・リエ様。マリアが・・・私一人では防ぎきれません」

 太陽がクルセーダーの特性を活かして、マリアの壁となっていたが、マリアには敵の攻撃が集中していた。

「戦闘では最初に回復系術者を潰すのは鉄則ですからね」

「汚いぞ!ダース・リン」ニシ・リエは群がる敵をかわしながら、マリアを助けに近づいていった。

「マリア!マリア!マリアーーーーーーー!!!!」

「ハギ・ユカ!」ニシ・リエの脇をすり抜け、ハギ・ユカが倒れこんだマリアの前に跪いた。

「ハ・・ギ・・」マリアは少し微笑んで、ハギ・ユカを見つめた。

「マリアーーーーーーーーーー!!!!!」

「邪魔だ!どいていろ!」ハギ・ユカは蹴りを受けて、地面に転がった。

「許さない・・・許さない・・・」ハギ・ユカは地面にあった棒きれを持つと、ふらつきながら立ち上がった。

「こいつは何を言っているの?」

「恐怖で狂ったかしら?」

「絶対!絶対!絶対!許さないんだから!マリアをいじめる奴・・私の大切な仲間を傷つける奴。私は絶対許さないんだからーーーーーー!!!!ウォ~~~~~~~~!!!!」叫び声と共に、ハギ・ユカの身体から純白の光が溢れ出した。まばゆい光が幾層にもなってハギ・ユカを包みこむ。

「な!何だ!」

「まぶしい!」

 ニシ・リエもまぶしい閃光に顔を伏せた。

「喰らえ!ギガ・ミーヤキャットスラッシュ!!!!!」ハギ・ユカの棒きれが白い光に包まれた。そして、その場にいる全員が純白の光の渦に包まれた。

 ニシ・リエは見た。

 光が薄らいだ後、60人は居たアンデットの軍団は見事に消滅していた。そして、20名のヤエビ研究生とダーク・リン。それに、数名の正規メンバー全員はただ、ミーヤキャットのように両手を前で揃え「キューキュー」と鳴き声を上げていた。

「ニシ・リエ様。これは?」太陽が驚愕の表情で尋ねた。

「ハギ・ユカがやったようだ・・・それよりも、彼女の戦闘力を見たか?」

「確かではありませんが、5000まで跳ね上がったような・・・」

「速報値なら10000までいったのではないか?」

「10000ですか?まさか・・・・」

 そう、まさかだ。戦闘力5000といえば、かつてのゴットセブンにも匹敵する力。そして、戦闘力1万はこの世界で4人しか到達したことがない至高の領域。

 しかし、あの光が勇者が放つといわれているオリハルコンの光ならば・・・それも・・・

「ユカ!ユカ!大丈夫?」

 マリアの声にニシ・リエは思考を止めた。

 気を失ったハギ・ユカを抱えて、マリアが呼びかていた。

「マリア怪我は?」ニシ・リエが尋ねた。

「私は大丈夫です。自己修復魔法をかけていましたから。それよりもユカが・・・」

「う・・・うーん」

「大丈夫?」マリアは意識を回復したハギ・ユカを抱きしめた。

「マリア?何が起こったか、私、全然わからなくて?涙も出てこない」

「大丈夫。涙出てるよ」かほほんが腕を貸しながら答えた。

 一体、この子は?アンデットとはいえ、一瞬で60体を消し去ってしまった。そして、ゴットセブンの力を持つと言われているダース・リンすら・・・・本当にこの子は何者なの?

 ニシ・リエは意識を失いかけながら、皆に寄り添われて立っているのがやっと、という状態のハギ・ユカを首を傾げながら見つめた。

         




          1章ー3 ヤエビ編 決着 

「あーーーー騒がしくて。落ち着いてプロレスも出来やしない」

 メンバー達を賢者の石やマリアの魔法で回復させている所に、あらたなヤエビ軍団が現れた。その数。約40名。間違いなく主力の軍団である。

「まさか、ダース・リンがやられるとは?やったのは誰?」ヤエビのナンバー3であるソーダ・スイがニシ・リエ達を睨みながら尋ねた。

「此奴です」 楼蘭が真っ先にハギ・ユカを指さした。

「楼蘭!仲間を売るな!・・・それよりも、やっと現れたわね。ジュリ・ジュ。リ話があるの」

「ここまでやって、何が話だ!ニシ・エリ!」

「これは・・・」

「問答無用!先ずはその小娘をやれ!」

 ソーダ・スイ以下ヤエビの主力軍団がハギ・ユカに襲い掛かった。

 ハギ・ユカを守る為にマリア、太陽が立ちふさがるも、仲間の復讐戦に燃える敵の攻撃は、峻烈さを極めた。

 徐々に戦いが劣勢に陥っていく中、マリアが突然豹変した。

「やめて!ユカが・・・もうこれ以上ダメ!・・・・だから、やめっていってるでしょう!!!!!!!てめえら!やめろって言ってんだろうが!!」

「マリア!マリア?大丈夫?」相手の剣を受けながら、太陽が声をかけるも、マリアは我を忘れたように、胸を叩き始めた。

「マ・・・リア???」

 ウッフォ!ウッフォ!の叫び声と共に、マリアは巨大なゴリラへと変身した。

「え~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」

「無い!無い!」

「無理!無理!無理!」

 両軍が驚愕の声を上げる中、ゴリラ、いやマリアはソーダ・スイをわしづかみにすると、ヤエビ軍団に投げつけた。

「ニシ・リエ。一体どういう基準で選んだ?」ジュリ・ジュリがゴリラ、いやマリアの攻撃をかわしながら叫んだ。

「あなたまでそこを聞くか?」

 パニックに陥るヤエビを右に左に蹴散らしながら、マリアは仲間である朱鷺にも襲い掛かった。

「我を忘れているんだわ。カホホン。ゴリラ、いえマリアを止めて!」ニシ・リエはハギ・ユカを抱えながら叫んだ。

「はーい。でも、どうやって止めればいいですか?」

「何でもいいから早くして!!!」

「んーーーー?じゃぁー。凍らせちゃいましょうか?」

「そう、そう。それでいいから、早くしてちょうだい」

「それでは・・・かほかほかほほん。北の大地の精霊よ!我が願いにより降臨せよ!サモン!!!」

 大地が光を放ち。魔法陣が描かれ、その光の中に人らしき姿が現れた。

「カホホン。お久」光の中からミニの白い着物姿の少女が、カホホンに声をかけた。

「お久。ラナちゃん。元気だった?」(ラナ=カホホンと同郷の雪の精霊。雪ん子。水系魔法のスペシャリスト。水系以外の魔法と会話はあまり得意ではない為、今はまだ研究生)

「元気じゃないですよ・・もっと早く呼んでください」

「えーーー?そんなに呼んでなかった?それよりも、北はもう寒くなってきたでしょう?」

「はい。もうオコタが恋しくなる季節です」

「えーーー!嘘!早すぎ!私なんてまだ半袖だよ」

「もし、もし?北の大地の住人さん?」ニシ・リエが2人の会話に割って入った。

「はーい?」

『やれ!』カホホンを睨みながら、顎で命令した。

「ア!ア!ラナちゃんお願い」

「はーい。それでは、いきますよ。皆さん下がってくださいねーーー。ブルーフォレスト・ホワイトアウト・ブリザード!!!=直訳すると青い森名物の地吹雪」

 その場に猛烈な吹雪が吹き荒れた。周りはすべて白。上下左右の感覚も失われてゆく。やがて、心地よい睡魔が襲う。

 吹雪が去った後、ゴリラ、いやマリアに戻ったマリアは白目をだしながら半口を開けて深い眠りに落ちていた。そして、ヤエビの少女達は可愛い者は可愛らしい寝顔で、そうでない者はそれなりの寝顔で、地面に転がっていた。

「・・・・・・う・・・うーん?うおォォォーーー!危ない。危ない!危く寝てしまう所だった」ジュリジュリが頭を振りながら立ち上がった。

「さすが、ジュリジュリ。あの吹雪でも倒れぬか?」ニシ・リエは賢者の杖を構え直しながら告げた。

「ほ・ん・と・うに・・・それで、ねぇー怒ってる?ふふ、ふふふふふ」

 ニシ・リエの後ろから突然不気味な声が聞こえた。

「お前は!!?ゲキカラ・マヨネーズ?」振り向いたニシ・リエの瞳に、スカジャンを纏った血まみれの少女の姿があった。

「あの者は誰ですか?」嬉しそうに爪を噛み、首を傾げながらこちらを見つめる少女を睨みながら、太陽が尋ねた。

「あの者は、かつてジュリジュリと共に、呉に二橋ありと謳われたように、このヤエビに二松ありと言われし者・・・・・って!誰が呼びだしたんじゃ~い?」

「なんか、ラナちゃんと一緒に出てきたみたいです????」まったく悪ぶれる様子もなく、カホホンが答えた。

「だから、あんたが魔法を使うとろくな事が起きないのよ!どうすんのよ!ジュリジュリだけでも手一杯なのに!」楼蘭がカホホンを睨みながら悪態をついた。

「ひどーい。楼蘭」

「もう一度、その雪ん子に・・・」

「駄目です。ラナちゃん。まだ、研究生なんで1日に一度しか魔法がつかえませ~ん」ニシ・リエの言葉を遮るようにカホホンが答えた。

「役立たずが!」楼蘭がラナを睨みつけながら悪態をついた。

「ラナちゃんをいじめたら駄目です!たとえ、楼蘭でも許しませんよ」

「やるか!このポンコツ魔法使いが!?」

 楼蘭とカホホンがにらみ合う所に、「仲間割れはよしなさい!」ニシ・リエの叱責の声が飛んだ。

「とにかく、ジュリジュリは私と楼蘭が何とかするから、ゲキカラには太陽とカホホンが当たって!他のメンバーはマリアとハギ・ユカを守って!」

「はい!」太陽とカホホンが攻撃体制に入った。

 「私達も行くわよ。私がジュリジュリの動きを止めるから、あなたはその間に倒して!」ニシ・リエと楼蘭はジュリジュリと対峙した。

「たった、2人で私に勝とうと言う訳?私もなめられた物ね・・・来なさい!超爆。ジャーマンスープレックスで瞬殺にしてあげるわ・・・」ジュリジュリは余裕の表情を浮かべながら2人を睨みつけた。

 その時、ニシ・リエの耳元で、「ねぇー。怒ってる?」ゲキカラの声がした。

 瞬時に飛びのいたニシ・リエは自分を見つめて笑みを浮かべるゲキカラを見た。(2人は?)首を回した視線の先には地面に横たわる、太陽とカホホンの姿があった。(くっ!さすが、かつてはヤエビの双璧と謳われていた者。想像以上の戦闘力・・・)

 絶体絶命・・・という文字がニシ・リエの脳裏をよぎったが、

「久しぶりね・・ジュリジュリ・・ねぇー。もういいでしょう?私と一緒にこない?」ゲキカラが2人を無視するようにジュリジュリに話しかけた。

「何を言っているの!!!それに、何で今更、あんたが出てくるのよ!!!」ジュリジュリの声に動揺が走る。

「だって、もうやる事はやったでしょう?ふふ、もういいでしょう?私が連れていってあげるわよ・・」

「やめろー!!!私にはまだやる事があるの!まだ、私には到達しなければいけない場所があるのーーー!!!!!来年こそは!ちくしょう!来年こそは、絶対に!絶対に!絶対にいいいいいいいいいいいいいいいいいいーーーーーー!」ジュリジュリは錯乱状態で大きな叫び声をあげた。

(今だ!!!)ニシ・リエは賢者の杖を突き出すと、「モーブメント・ハレーション!!!」相手の動きを止める呪文を唱えた。

「楼蘭!」

「はい!」楼蘭は拳を握りしめると、「夢幻爆裂珀酔拳!!!」気合いと共にジュリジュリに無数の拳を叩きこんだ。

 そして、茫然とした表情で立ち尽くすジュリジュリに向かって、「お前はすでに朱鷺に移籍している」指をむけて宣言した。

「ジュリジュリです。今度、チームGのキャプテンをまかされる事になりました。みなさんよろしくお願いします~~~えへ!」

「はぁ~~~~?えへ!じゃねーわ!それに、Gって何だ?どこからきたGじゃい。朱鷺だからOかKだろーが!新参者のあなたが何でいきなりキャプテン?はっ!笑わせてくれるわね」楼蘭が切れぎみに叫んだ。

「当然でしょ?あんたとはキャリアと実績が違うのよ!つべこべ言っていると、ジュリジュリスペシャルを食らわすわよ!」

「ほーーー!上等だ!こっちだって、楼蘭ブラックをおみまいしてやんぞーーー!」

「二人共!いい加減に・・・・」二人の醜い争いを止めようとしたニシ・リエに、「さすが神の目を持つと言われし者よ。この世を変えると言われし者をよくぞ見つけだしたな・・・しかし、ナイン・アイランドに住むあの者の力は強大と聞く。今のままでは、おそらく勝てまい。せめて、伝説の二宝剣の一振りでもあれば・・・ふふ・・私が心配することではないな・・・・更に西へ向かうのであろう?最後に一言だけ教えておいてやる。合言葉は《なんでやねん》だ。それでは私は戻る。撮りだめしておいた、アニメを見なくてはいけないからな!では、さらばだ!」(伝説の二剣=かつてこの世界を席捲した二人の勇者が使っていたとされる剣。・あたりだまえのつるぎ。・つむぎゆうのつるぎ)

「ゲキカラ・マヨネーズ。何故、私達を助けた?」ニシ・リエの問いかけに答える事なく、ゲキカラ・マヨネーズは微笑みながら消えていった。

 ジュリジュリと楼蘭の醜い争いは続いていたが、兎に角、戦いは終わった。

「ねえ、ねえ。マリア?」

「何?ハギ・ユカ?」

「お腹すいた~~~~~~~~~~~」

「はい、はい。じゃぁー。帰って、タコライス作りましょう」

「わーい。(*´▽`*)。タコライス。タコラス・・・・そう言えば、マリアが寝ている時に、大きなおさるさんが大暴れしてたんだよ」

「嘘ーー!怖いわね。どこに、そんな大きなけだものが隠れていたのかしら???」

(お前の中だ!)マリアとハギ・ユカの会話を聞きながらニシ・リエは突っ込みを入れた。(しかし、ゲキカラはこの子が世界を変えると告げた。本当にこの子が伝説の勇者なのか?・・・・そうだな、今は我が神眼を信じるしか道は無いのかもしれぬ)ニシ・リエは二人を見ながら自分自身に問うた。

「ニシ・リエ様。考え事ですか?」太陽が尋ねた。

「えぇー少しね」

「次は、わてが名にわのあきんどだす。ですね?」

「そこには、タガニを先行させて、探ってもらっている。次も激しい戦いになるだろうが、もう後戻りは出来ない」(タガニ=シーフ。特技は透き通る肌を活かしたステルスと、どんな感動的な言葉でも感情表現0で話せる惻隠の術。代表例=あー、ポッポ焼き食べにいこ)

「さすが、キタ・リエ様。名にわ地域出身のタガニならば、朱鷺の者だとはばれずに相手の出方も探れますね。それに次ぎはきっと私達の事を待ち構えていると思われます」

 そう、次はヤエビのようにはいくまい。私達がヤエビに乗り込んだ事も、すぐに分かる筈だ。サーヤがどう動き。どんな手で待ち構えているのか?

 それにしても、二宝剣か・・・・・どこにある?

《ニシ・リエ。出会いは必然よ。剣は必ず、勇者の元に還る。この世に偶然なんてものは無いわ!貴方が朱鷺の地に来たのも、勇者と出会ったのも必然。自分を信じなさい・・・ふふ、怖い?》

「ゲキカラ!?」ニシ・リエの鼓膜にゲキカラの声が響いた。

「ニシ・リエ様?何か言いましたか?」太陽が怪訝な表情で尋ねた。

「いえ!何でもないわ!さあーみんな!次は(わてが名にわのあきんどだす)に乗り込むわよ!」

『おぅーーーー!!!』

 ニシ・リエは意を決するようにメンバーに告げた。

 ~~~~朱鷺の少女達は西を目指す~~~~~~~~~~~~~この世界を一つにする為に。

 



 

 



 












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