水の都へ
「レナー、いい加減そろそろ起きろー」
「ううん」
「参ったな.....」
女性と関わったことがほとんどないため、こういう場合どう接すればいいのかさっぱり分からない
壁にもたれていて体を痛めてしまうのもかわいそうに思い、眠っているレナを隣の席に座らせ、肩にもたれかからせる
「レナー、頼むから起きてくれよ」
「もう少し」
「そうじゃなくて.....あーもうどすれば」
どうすればいいのか分からず混乱していると、前の方から御者の男の声が聞こえてくる
「そのお嬢さんは兄ちゃんの恋人か?」
「あ、いえ。そういう関係ではないです」
「ふーん。じゃあ奥さんとか?」
「いえ、俺はこの子の護衛です」
咄嗟に考えた嘘で、男の質問に返す
男は俺の答えが思っていたものより面白いものではなかったのか、残念そうな反応をする
「護衛っていうとあれか?お嬢さんは王女様だったりするのか」
「ただの商人です」
「はあ......そうか」
「俺がたまたまバルネアの村を訪れた時にこの子に声をかけられて」
レナとの出会いの経緯を話していると、彼女が目を覚ます
「うぅん、肩が温か......ひゃあっ!アルト!?」
「お、おはよう....レナ。どうした」
「あああアルト。かかかかか肩が...肩」
「え、俺の肩に何かついてるか?」
「そうじゃなくて!何で私アルトにもたれてるの!?」
「あー。壁にもたれてたら体痛くなるだろ?女性の体はデリケートだって聞いたから」
「あ!、そっそういうこと!そうだよね、うん。そうだよね」
「残念そうだな。俺だと不満だったか?」
「ううん!違うの。いや、違わないけど違うの!」
「.......うん?あー、うん?」
レナの慌てぶりと、それに混乱する俺の声を聞いていた御者が吹き出す
「おアツイねぇ。お二人さん?」
「お、おアツイ?。一体何を」
「えーと、違うけど違わなくて.....あれ?違わな?あわわわわわ」
「れ、レナ。落ち着いて」
レナのプチパニックがおさまると、それとは別の賑やかな声が聞こえてくる
「さーてさてお二人さん。おまちかねのセレティアに到着するぞー」
「なるほど。それでこの声が」
レナが幌から顔を出して目を輝かせる
「すごいよアルト!水がきれいだよ!。それに人もあんなにたくさん」
「危ないぞ。ここが目的地だから、後でゆっくり見て回ればいいんだし座っとけよ」
「え!。ここに行くの!」
レナは飛ぶように席に戻り、俺の方に身を乗り出す
レナの勢いに押され、後ずさる
「レナ、とりあえず落ち着こう。さっきからいろいろおかしくなってる」
暫くして馬車が止まると、レナは飛び出すように馬車を降りる
俺が馬車を降りると、急に腕を掴まれて引っ張られる
「うわっ。レナ、落ち着いて」
「お祭りだー!」




