炎の神獣
「はっ!?」
溶岩は地面を掴んだ黒い固まりに集まり覆っていく
数秒後には黒い岩だった物は溶岩に守られ、足の形になっていた
[灰にしてやる....人間は全て灰にしてやる!!]
巨大な足が俺に迫る
「っ!?」
閃光が走り、巨大な岩の固まりは空間に阻まれる
「ありがとう。サミル」
[こいつ.....サミルレウル?。なぜお前が]
[バルガレイド.....貴方こそなぜ]
[人間に肩入れをするのか?]
「は?。サミル、何言って」
[黙ってろ人間!!]
バルガレイドが足を地面に叩きつける
地面が粉砕され、無数の欠片が飛び散り、俺に向かって飛んでくる
[主に命令するな!]
閃光が走り、全て反射される
「なっなんなんだ?」
[お前も人間に殺されかけたはずだろうが!]
[主はそんな人ではありません!]
「サミル!。なにやってんだよ」
[主よ、貴方でバルガレイドには及びません]
[人間を庇うな!]
溶岩に覆われた足が俺を凪ぎ払う
「あぐっ!」
冷えきった溶岩の重い感覚が俺の横腹に食い込む
[主!]
[はっ!。脆すぎんなおい?]
[貴様!]
それまで攻撃を防ぐ事しかしていなかったサミルが電撃を放つ
[っぐ!?]
[主よ。私の力を]
「ぐ....う」
[主!、速く!]
[さっきから人間を助けようとなんてする!]
「ゲホッ.....ゲホッ」
[主!]
「レナを....村まで。それと、村人....たちを避難させてくれ」
[しかし主は...]
[はっ!。ザルか?てめえの防御範囲は!?]
気付くと俺に向かって黒い岩石が飛んできていた
「なっ!。っおお!」
痺れでまともに動かない体に強引に命令し、剣を抜いて岩石を防ぐ
剣に岩石が激突する
いくら神器とはいえど、相手は神獣
そいつが作り出した攻撃の勢いを殺しきれず、大きく吹き飛ばされる
「っつ!」
山頂から落ちる寸前、背中に毛皮の感触が触れる
[主!]
「サミル....レナは」
[それが、レナ様は逃げられないと]
「は!?。おいレナ!、何言ってるんだ!速く逃げろ」
「そんなこと出来るわけない!」
岩影からレナの声が聞こえる
[だからお前ら何余裕かましてんだよ!]
痺れを切らしたバルガレイドが両足を地面に叩きつけ、その勢いで大きく飛翔する
さっきの欠片とは比べ物にもならない大きさの、そしてさっきよりも大量の岩石が飛び散る
[主の....邪魔をするな!!]
サミルの爪と角が白みを帯びた黄色に光りだす
[主を傷つけようとするなら。貴様も殺す!!]
サミルの温和な表情が一瞬にして歪み、怒りに満ちたものになる
[サークスパーク]
サミルの角の光が爪に移動し、足を振り下ろすと轟音と共に地面を物凄い雷撃が駆け抜ける
バルガレイドが放った岩石は雷撃によって発生した衝撃波によって砕かれ
バルガレイドは山頂の縁に達し、天に向かって屈折した雷撃に撃たれる
[っが!]
「サミル!?」
[主よ!。今のうちに体制を整えて下さい]
「アルト!。何が起こってるの!?」
「レナ!。これ以上長居するな!。速く逃げろ」
「そんなこと出来ない!。村を守らなきゃ!」
「だからそんなこといってる場合じゃないんだって!」
[主よ!。速く私の力を]
[っざけやがってクソが!!]
ゴオオオオオオオオオオオオオ!!!
バルガレイドが大きく咆哮する
黒い岩石に覆われた重厚感のある翼が一瞬溶岩のように輝く
翼から光の線が放たれる
地面に走った光の後が裂け、火柱が噴出する
「熱線!?」
[こいつで終わらせてやる!]
バルガレイドの瞳が煌めいた




