最悪の予感
「おーい。レナー」
呼び掛けてから暫く経ち、奥の岩場からレナが出てくる
「アルト、もう大丈夫なの?」
「ああ。オークは倒した。これで進める」
「それじゃあ行こう」
「ああ」
俺は再び山頂に向かう
「レナ、本当に大丈夫か?。山頂はどうなってるかわからないぞ」
「それはできないよ。ここで戻って村の皆を心配させちゃいけないから」
「そうか」
歩き出してほとんど経っていないにも関わらず火山道を包む熱気は強くなっていくばかりだ
全身から汗が吹き出し何度も目眩に襲われ、その度に倒れそうになる
(にしても何だこの暑さは、信じられない。この気温なら普通の生命が活動することは不可能なはずだ。そもそもここ近年のバラグネル地方の気候は落ち着いていたはず......)
後ろを歩いているレナは暑さを感じていないのか、全く汗をかいておらず疲れていないようだ
「熱気がましてきてる。このままだと村に被害が出るのもすぐだぞ」
「そんな!。なんとかできないの」
「とにかく山頂に行かないことにはどうにもならない。急ごう」
「うん」
レナの声には少し焦りが混じっていた
「......まさか本当にバルガレイドが」
最悪の予感が奥の脳内をよぎった
神獣の復活
「レナ俺の背中に乗れ。スピードを上げるぜ」
「え?」
「いいから乗れって。村が大変な事になるぜ」
その言葉を聞いた時、レナの表情が変わる
「分かった」
レナが俺の背中に乗る
「しっかり捕まってろよ。離したら多分しぬぜ」
頭に猫のような耳が、臀部には狼の尻尾が生える
「行くぜ」
地面を蹴ると、人の姿の時とは比べ物にならない速さで景色が変わり始める
「久しぶりに使ったな.....もう200年ぶりなだけあってもう足が疲れてきた」
「え?なに?」
「何でもない。気にするな」
3分程で山頂まであと一息というところまで登頂する
先程までの中腹の広場は見えなくなり、もう山頂が見えるようになっていた
「っぐ!」
突然、物凄い勢いで熱波が押し寄せてくる
それまでの暑さとは比べ物にならない熱が体力を蝕んでいく
「まずっ....い」
意識が飛びそうになる
(急がないと)
「アルト?」
「レナ....お前なんとも無いのか?」
こんな状況で村にいたときと全く変わらないレナに疑問を問いかける
「私は大丈夫だけど、アルトすごい汗だよ?」
「お前はなんでそんな元気なんだよ」
「私にもわからないよ」
「今はそうも言ってられないみたいだな。早くしないと村に被害が」
「アルト、あと少し頑張って」
「ああ」
人の姿に戻り、走り出す
すぐに山頂に到着するが、そこには覗き込まなくとも確認できるほどまでにかさが増した溶岩が火口にたまっていた
「まさか本当に.....」
その時、煮えたぎる溶岩がさらに沸き立った




