バルネア山の謎
「アルト。もう止めようよ」
「いや、そうはいかない。ここに何かあるのは確かだから」
「でも、やっぱり危ないよ」
「死なない程度にやる」
俺はレナが止めるのも聞かずに進み続ける
[主よ、山の様子が]
「そんなことより今はここの状態を知りたい。戦の記録を見つけられるかもしれないから」
山道を進む度に気温は上昇していき、体に疲労がたまっていく
「......」
俺は黙って額に浮かぶ汗をぬぐいながら歩き続ける
[主よ、先程の魔力。主の求めている物とは違います。もっと強大な何かです]
「だとしても行く。ここで引けば努力も水も無駄になる」
ポーチの中から水の入ったビンを取り出して中身を飲み干す
「.....はぁ。はぁ」
[主よ]
「アルト。これ以上は」
「大丈夫......だ」
頂上が見えてくる
押し寄せる熱気は激しくなり、みるみるうちに体力が蝕まれていく
「あと少し.....だ」
山頂の風景は、先程までの火山道と何一つ変わらない、コアの破壊された台座が置かれているだけだった
「くっ....」
俺は思わずその場に座り込む
水のビンを取り出し、中身を飲み干す
立ち上がって火山の中の様子を確認するために、火口に近づく
[主よ、危険です!]
「分かってる」
火山内部の溶岩のかさは低いままで、動くことすらも困難にさせるほどの熱気を発することができる量ではない
(おかしい。この短時間で人一人殺せるほどの熱気を作るにはこれだけの溶岩の量じゃたりないはず)
「ん?」
熱気の謎について考えながら火口の中を睨んでいると、溶岩の中に焦げ茶色の岩の様な物が見えた気がした
(何だあれ、岩にしては変な形だ。それに、何故たったいま落ちたわけでもないのに溶けていないん...)
ドサッ
「何.....レナ!」
後ろからした音に振り向くと、レナが倒れていた
「チッ。サミル!。水はまだあるか!」
[ええ。余裕はあります]
俺は慌てて水をレナの口に流し込むと、彼女を背負って火口を後にする
(くそっ。何でこうも面倒な事にばっか。それよりもあれ、何だったんだ)
火山道を下る最中も、火口内の奇妙な岩の事が脳内をぐるぐると回っていた




