表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神話物語 金のオリーブと銀の蜜  作者: 寵嬢 優樺
情熱の幻想曲(ファンタジア)
5/23

第2章 銀の幻想曲(ファンタジア)『 旧話:妃選びの舞踏会~金の花と銀の花あなたはどちらを選びますか?』より

「あら、あそこにいらっしゃる方は隣国フトロポワン王国から遙々(はるばる)いらっしゃったというベシルコス・エブヘンディ伯爵様ではなくって?」

「まぁ、なんてお美しい方だこと。」

ベシルコス・エブヘンディ伯爵。齡14で当主となった、(よわい)18の女当主。輝くばかりの妖艶なる美貌の持ち主で、教養も家柄も申し分のないと、すでに虜になった者が多くいる。彼女は姉に言った言葉通り舞踏会に出席した。

 腰までストンと流れ落ちる銀髪を美しく結い上げ、頭には代々伝わる当主の冠を高々と(いただ)き、一流の職人が技巧を尽くして磨きあげた宝石を天の川のように散りばめている。

 『辺りが霞むような神々しさ』さえ覚える彼女への求婚とダンスの御誘いは途絶えることがなかった。

「ミス・テタルゥラ、僕と踊って頂けますか?」

濃い色をした金髪に海のような深い青をした目。この澄んだ良い目をした青年は葡萄酒(ワイン)にでも酔ったのだろうか?それとも、甘美な花の蜜を(まと)う蝶の芳醇(ほうじゅん)な香りに溺れたのか?

「えぇ、喜んでお受け致しますわ。」

彼女の虜となり、『フラれたor見惚れた』という取り巻きの殿方から落胆の声があがる。貴婦人たちは羨望の眼差しを通り越して

「3000人の求婚とダンスの御誘いを断ったくせに」と嫉妬の眼差しを向けている。

殿方から『伝説の貴婦人』と称されし蝶は洗練された淑女の礼(カーテンシー)を取り、楽士の演奏するバイオリンの甘ったるい音色に決して劣ること無き魅惑の微笑を湛える。

(...こんな世間知らずのボンボンを手玉に取ることなど簡単過ぎて飽きそうだわ。もう、わたくしに酔っていらっしゃるなんて...。仕方ないけれど、遊んで差し上げるしかなさそうね。)

「ねぇ、王子様。後でチェスをなさいませんこと?わたくしの祖国には舞踏会がございません。少し疲れてしまいましたの。」

甘えた声で言う彼女に王子は惚れてしまったようである。今宵の舞踏会はどうやら、一人の淑女(レディ)の争奪戦で怪我人が出そうな予感。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ