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神話物語 金のオリーブと銀の蜜  作者: 寵嬢 優樺
金のオリーブ 銀の蜜 二人の主人公のための 平和へのプロローグ 復讐へのプロローグ
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第1章 王からの招待状

ミンナスがテタルゥラに初めて会った日から2年の月日が流れた頃のお話。

今、フトロポワン王国の首都『フォロッコイ・モワリー』では学業の腕前を競う祭りが催されている。殺人的な暑さを誇るイステンヒートほどの暑さではないが、都は溶けるような熱気と活気に溢れ、人々の歓喜に満ちている。祭りは1ヶ月間続き、祭りの間、囚人、捕虜たちは牢獄から解放され、奴隷も、祭りに加わり、学業の女神ベルケンディーネに捧げる競技に参加することができた。競技は、詩、舞踏、歌、占星術、武術、魔術、芸術、信仰(宗教)に分かれている。わたくしは歌姫として、歌の腕前を競う競技に出場して優勝し、テタルゥラは歌の腕前を競う以外の大会、つまり、詩、舞踏、占星術、武術、魔術、芸術、信仰(宗教)の腕前を競う大会に出場し、連続優勝を果たした。わたくしの妹、テタルゥラは完全無欠というほど、あらゆる学業に通暁しているのである。歌の腕前を競う大会に出場しなかったのは、わたくしを気遣う気持ちからか、何か考えがあるからかのどちらかとしか思えない。

わたくしたちが神界から人間界に戻り、祭りに参加している頃、隣国であるエレオス王国の首都『エストレア』は社交期(ザ・シーズン)を迎え、わたくしたち宛てにエレオス王から舞踏会の招待状が届いた。舞踏会に着ていくドレスを仕立てなければならなくなり、ドレスの採寸をしたり、エレオス人のダンスの教師を招き、ワルツなどを練習したりと、多忙な日々を送ることとなった。

今回の舞踏会はただの舞踏会ではなく、妃選びの舞踏会である。故に、二人の準備に熱が入る。二人は戦争を止めるための手段として、王妃になることを選んだ。どちらかが王妃にならなければ、策が水泡に帰すことは承知の上でする、大きな賭けである。

今日、テタルゥラは朝食の席で


「お姉様。わたくし、魔物の森(シャイノン)へ参ります。わたくしには策がありますの。」と言い、


「領主様!行ってはなりません!!」


「危険すぎます!!」


「わたくし、領主様が魔物の森(シャイノン)へお出かけになるというのならば、自害致します!!」などと、


侍女たちに口々に反対された。テタルゥラは、絶対的な権力を持つ運命、死の神モヴィラード|(祖父)に呪われてから、どうやら、元々の賢さに狡猾さと、残忍さが加わってしまったらしいのだ。


「・・・・では。わたくし以外の此処にいるお方で、例えば・・・・。わたくしの花である知恵薔薇(スターレット・フルール)を採取できる方はいまして?・・・・そして、どのお方があの、お頭の弱い人間たちの遊戯あそびを終わらせますの?」と


怒りの滲んだ静かな声で言い放つと、魔物の森(シャノン)へ行くことに反対した侍女たちに暇を出した。侍女たちは知らないであろうが、テタルゥラは生まれは神界だが、育ちは魔物の森(シャイノン)である。故郷へ行くなと言う方が無理であろう。

侍女に暇を出し、魔物の森シャイノン)へ行ったテタルゥラ曰く、


「わたくし、神の1000年待つという寛大な心持ちに感謝せず、いつまでも獣以下の戯れを続けるお頭の弱い人間にはもう、飽きてしまいましたわ。ですので、もう、人間界の食べ物を口にする気にもなれませんの。お姉様。わたくし、舞踏会には出席致しますが、魔物の森(故郷)へ帰らせていただきます。」だそうだ。


テタルゥラが言ったことは間違っていない。モヴィラードは人間が戦争をすることに飽き、人間を滅ぼそうとしていたのだから・・・・。

わたくしは月光が差し込む自室で早く戦争を止めなければと、あせっていた・・・・。





※補足説明

 ミンナスがテタルゥラに出会ったのは祖父であるモヴィラードと契約を取り交わす数日前。

 ベシルコス・エブヘンディ家当主を決める決闘の日。

フトロポワン王国では物騒なことに国の王や貴族の当主は年に1回、自身の力を示すために挑戦者と決闘をしなければならないという風習がある。勝った者が王や当主になり、負けた者に待つのは死のみ。

テタルゥラは決闘に勝ち、当主になった。双子の姉妹が顔を合わせたのはこの日が初めてだった。

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