第7章 波乱の婚宴[前編]
見事にエレオス王国の宮廷入りを果たしたミンナス。彼女に訪れるのは波乱の足跡。
今日は、結婚式。新しい王と王妃が誕生する日だ。
「ミンナス様。」
「どうかしましたか、レイ。」
「はい、実は……」
レイは、ニムエが『妹をお願いします。』と言って私に仕えることになった妖精。森神族とあって神秘的な瞳は、やはり美しい。彼女と同じ…豊かな栗色の髪を何処かで見た気がするが、何処で見たのかはわからない。
「……わかりました。至急、向かいます。」
レイから聞いたことが真実だとしたらこの国は……滅びの運命を辿るだろう。いや、世界も同じなのだろうか?わたくしは供の者をつけることなく、ひたすら走り続けた。
長い裳裾の重くて邪魔なこと、星鯨の骨と髭で作られた滑稽なコルセットのせいで、なんと着心地の悪いことか。
(国に帰りたい。わたくしの着ていた服はもっと、動き易くて快適だったのに……)
そんな風に望郷の念に駆られるが、戦争で人が死ぬことと比べたら、この問題はどうでも良い。
気まぐれな運命が審判を下す時間は近い。……わたくしが人間界を去ることになるかは、この(未来を知る)瞳さえ教えてくれない。この先どんなに辛い試練が待ち受けているか、知るのはモヴィラードだけ。だから、出来ることをして、身をゆだねて待つのだ。ミンナスは、そうすれば夢は必ず叶うと信じているのであった。




