第5章 生贄~嵐の幕開け
【お知らせ】エロチックコメディーの幕開け。苦手な方はお止めになって下さいませ。
この国の王と王子は同じ女性を好きになってしまった。その女性の申し出により、決闘が行われた。結果は王の勝利に終わり、女性が求婚を受け入れるはず……だったのだが。
「もっと、腕の立つ殿方はいらっしゃらないの?」
テタルゥラはあきれ果てていた。王がここまで軟弱だとは。
「伯爵、もう一度頼む!」
「嫌ですわ!……そんなに、わたくしに殺されたいんですの?この、軟弱王は!」
飽きたというのが本音である。
「殺してくれ……」
「物好きな方ね…変態王。さぁ、かかっていらして。」
不味い酒を飲んでいるかのような決闘。
勝負は剣を振るった刹那に決まるというのに王は諦めることはなかった。そして、一枚の布も纏わぬ体になっても諦めることのない王の身に起こる悲劇。
……それは。
プチッ、プチッっと音がする。そのたびに聞こえる悲鳴にテタルゥラは心を躍らせた。
「……な、なんだ?」
なんと言うことだろう。王の頭は太陽の光を浴びて、シャンデリアのように眩い輝きを放っているではないか!
「さぁ、変態軟弱王。引き返すなら今のうちですのよ。」
テタルゥラは王のツルツル頭に今、作り上げたカツラを被せながら言った。
「……ハァ、ハァ、お、王様。ち、近くの海に、魔物がぁ、現れ、ました。」
兵士が息を切らせながらやって来た。
「兵は如何程か?」
「此処にくる途中、魔物の侵攻に遭い、私以外、動ける者はおりません!」
どうやら、事は上手く回っているよう。
「……………」
「王様、神に祈ってはどうです?私を岩にでも縛り付けて。」
「な、何を言う!」
「……わたくしを贄に。」
『早く、早く、オフェリア様。』
臣下が呼んでいる。帰らなければ。
「王様、わたくしのことを好いてくださるのでしょう?」
「勿論だ。愛しているに決まっておる。」
「そうならば、わたくしを贄として差し出して下さい。」
「……そんなことできる訳が無いだろう!」
「わたくしには王様の下心がスケスケですの。王様がわたくしのことを、何処まで味わいたいのかも……」
(この体はあの方の為に。こんなヨボヨボの人間の爺に汚される訳にはいかないわ。)
「……さぁ、お早くなさいませ!変態プレイが出来ると思えばよろしいでしょう?」
そう言うとやっと承諾してくれた。
(……ったく。どのくらいスケベな殿方なのかしら?)
*
「王様、これを。」
伯爵は小さな小指ほどの大きさの小瓶を取り出した。
「これは……?」
「死者に会える神酒ですわ。これを飲めばいつでも、わたくしに会えます。……さようなら、王様。」
こうして、伯爵は魔物の餌食となり、海の藻屑と化したのだった。
そして、王が親子喧嘩で自害したという噂が流れたのは数日後のことであった。




