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37、万能の神様



その左手に触れたものは、命を吸い取られる。

その右手に触れたものには、命が与えられる。

彼は死神であり、生神。生き物の生死、命を操る者。


その声を聞いた者は、彼の言葉に逆らえなくなる。

彼の目は全てを映す。過去、現在、未来さえも。

彼の鼻は多くのにおいをかぎ分ける。音や色、波動さえもにおいとしてとらえられる。


彼は何者よりも速く駆ける事が出来る。

地を駈け、海を駆け、空を翔る事が出来る。

まるで翼が生えているかのように。


彼に勝てるものはいない。

彼に負けるものはいない。

勝負は全て彼の意思の元にある。


彼は原初の時、一番最初に生まれた生命だった。

彼は命の海から命を取り出し、土くれやらなにやらに移し変えた。そうして、命は生き物に変わった。生き物は仲間を増やし、壊す彼を見て、神と呼んだ。彼は何も答えなかった。生き物が何を思おうと、彼には興味が無かったからだ。

彼は生き物を作っては壊した。作っては壊した。作っては壊した。そしてその内、いつの間にか、作りすぎていたことに気が付いた。海の命は僅かになっていた。命の海は、死の海になっていた。

彼は命を海に戻し始めた。生命は軽々しく生み出すものではないと反省した。

彼は生き物を壊した。壊した。壊した。壊しては命を海に返した。生き物達は焦った。自らの意思を持った生き物は壊れる事を拒んだ。そして彼に反旗を翻した。

 彼は笑っていた。 ―――Oh,what a nice day,today is! (今日はなんという良き日だろう!)

彼は、笑って、笑って、笑った後、倒れた。生き物は彼を壊した。

――Oh,what a nice day,today is! 彼の声がずっと木霊していた。

生き物達は、彼が再び蘇って自分達を壊すことを恐れ、バラバラにした。


――Oh,what a nice day,today is! 彼の声はしばらくの間響き続けた。





神の御腕  



古の時、神は倒され、その体は幾つものパーツに分けられた。そして、神が二度と蘇ることの無いよう、ばらばらにして守り人の体に封じた。神の体は親から子へ、子から孫へと守り人の中で受け継がれていった。

長い時を経て、野望を持つものが現れた。神の体を全て手中に収め、神を復活させ、その力を手に入れようとするものが。



少年:守り人として、”神の右腕”―慈愛の手―を受け継いだ少年。本来なら受け継ぐのはもっとずっと後の筈だったが、先代の守り人である父が殺され、今際の際に彼に受け継がれた。幼い頃から守り人になるための厳しい修行を受け、ある日ぷっつんときて、ひねくれた子になった。腕を受け継いでから、度々聞こえてくる声に困惑し、悩んでいる。実はお人よし。


破壊者:”神の左腕”―破壊の手―を持つ男。どうやら、他にも幾つかの”神の体”を持っているらしい。全ての体を集め、神を復活させようとしている。冷酷非道。神の体を集めるため、守り人達を襲っている。

・その精神は5つ目の神の体を手に入れた時”神”に乗っ取られた。


少女:”神の右目”―黄昏の瞳―の持ち主。”過去”を見ることができる。気弱に見えるけれど、芯は強い。本来は目を受け継ぐはずではなかったらしい。



・”神”は一つに戻ること、あるいはその力の行使を望み、”体”を持つ者に働きかける。故に、守り人は普通の人間より強い精神が必要で、なおかつ精神の消耗が激しいので、寿命が短くなる。個人差はあるが、一人の人間が同時に受け入れられる”体”の数は多くて5,6個。それ以上は”神”に精神が乗っ取られる。

・”神の体”は普段はただの刺青だったり、宝珠のような形をしているが、力を解放するとその本来の、人とは違う、異形の姿になる。守り人の意思で制御できているか否かで微妙に姿が変わる。制御できていないと(”神”の意志で動いていると)より異形に近くなる。

・”神の体”には角などの人間にはないものもある。また、その能力に応じた二つ名がついている。ex,左目―暁の瞳―(未来を見る)、声―天声の鳴―(言霊を持つ)

・右と左などになっているものは、片方だけだと不安定で、能力を使い続けると命を削ることになる。対の体があったほうが力が安定する。




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