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遊女の私に五匹の竜からの溺愛は重すぎますっ!!  作者: 穂村 ミシイ
第二章 

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33 黒竜の暴走 2

「ティア、目を開けてくれ。」


 震える私を抱えたアルマは、耳を通り過ぎる風が轟音に聞こえるほど速いスピードで移動していた。全ての感覚が鈍感になった頃、ようやく立ち止まったアルマの穏やかな声色に少し安心しながら瞳を開ける。


「ん…………ここは?」


 差し込む夕日のオレンジ色に染まった室内。

 見覚えがある家具に香り。


「俺の部屋だ。」


 いつの間にかフェリタ公爵家に連れて帰って来られていたらしい。


「アルマっ! シャオンとゼフィリアになんであんなことしたの!?」

「…………その口で、俺の前で、他の男の名前を呼ぶなよ。」

「んんっ!? やめ…………、んぁ」


 強引なキス。

 熱く燃えるようなアルマの舌先が私の中に入ってくる。抱えられた体に逃げ場なんてなくて。乱暴に、力任せに唇を開いて口内を侵してくる。どれだけ抵抗しても頭を固定されては受け入れるしかできなかった。


 苦しい……

 息が、できない…………


「あ、るま……、」

「そうやって俺の名前だけ呼んでくれ。」


 ようやく離れた唇から息を吸おうとすると、また押し込まれる熱い舌。まるで生き物みたく動き回るそれは私を捕食しようとしている。どれだけ逃げても追いかけて絡めてを繰り返す。


「もっと、俺の名前を呼べ。」


 急になんでこんな事をするの?

 こんなの、私の知ってるアルマじゃない。

 彼はまだ、魔力暴走の影響を受けているんだ。


 このままじゃダメ。

 ただ、残念ながら確実に助けは来ないだろう。

 シャオンとゼフィリアは酷い怪我を負っていたし、私は仮にもアルマの婚約者だ。私達を止める者は誰もいない。

 

 なら、私一人でどうにか逃げ出さないと……っ!!


「俺だけを見ていろ、ティア。」

「いやっ!」


 そうは思うのに、麻酔のように囁かれる甘い声と弄ばれる舌先は私を徐々におかしくさせる。

 

 脳に酸素が足りていない感覚。

 アルマの声が全身に酔いを回していく。

 だめ…………、考えないと……


「俺の、俺だけのティア。」


 どんどん、白くなる。

 力は抜けていく。

 身体は意思とは関係なく震えてしまう。

 アルマの体温に、染まっていく。

 

「ぷはぁっ!! はぁ……ハァッ…………、きゃ!」


 ようやく胸いっぱいに空気を取り込んだ時、身体はベッドの上に押し倒されてしまった。

 

 アルマの赤い瞳は未だに爛々と光っている。

 完全に暴走したアルマを止める術なんて、私は知らないのよ。

 

「ティア、俺のティア。胸元、斬ってすまない。すぐ手当するから。」


 私の胸元にあった光の加護は薄皮一枚と共にあっさりとアルマに切り捨てられた。そのおかげで私の胸元からは血が漏れ出している。


「お願い…………、私の話を聞いて……。」

「そうだ。他の竜に色目を使ったお仕置きが必要だな。」

「痛っ……、離してよ。このバカっ!!」


 

 話を聞かないアルマは私に馬乗りになり、力任せに肩をベッドに押し付けた。


 ギシッと揺れるベッドの上、彼の太ももが私の腰の辺りをしっかりと挟んで逃さない。最後の抵抗にと暴れていた両手は簡単に捕まってしまい、両手首を拘束され身動きが一切取れなくなってしまった。


「泣いてもやめないから……」

「――っ!?」


 ドレスは紙みたいに引き裂かれ、露わになる下着。

 アルマの指先は腰を通りお腹へ、そして胸元に。


「や、やめてっ!」

「ダメだ。」

「ひぃ……」


 アルマの顔は胸元にゆっくりと近づき流れ出ていた血を舐め始めた。それは吸血鬼の食事シーンのような、血を啜る姿は久しぶりの豪勢な肉に貪りつくみたいな。

 やらしく、耳に響く艶かしい音は脳を焼く。


「もう…………、い、やぁ……」


 何度も何度も必要に舐めては噛み付いて。

 体をよじればよじるほど突き刺さる牙。

 激しい息遣いに呼応して心臓は早鐘の如く打ちつける。


「まだ、許さない。」

「ああっ…………ぁんっ!!」

 

 アルマの舌の動きすら敏感に感じ取ってしまう。


「はー……、はぁー……」


 アルマの唇が離れる頃には身体は人形にでもなってしまったよう。どこにも力が入らない。解放された両手すらまともに動かせない。

 

 潤む瞳の奥に、恍惚な笑みを浮かべる男の顔が見える。


「俺の竜印を消そうなんて、クソが。それなら体全身につけてやるよ。」


 そこからの記憶は曖昧で、どのぐらい時間が経ったのだろう。数時間だったような気もするし、数日だったようにも思えるほど長い時間の中を彷徨った。

 

 見えるのは漆黒の髪と血に染まった真っ赤な瞳。

 感じるのは鉄のような血の味と盛る男の匂い。


「いたっ…………い…………、よぉ…………」

 

 男の牙は首元を齧り付く。

 血が出れば執着的に舐め取って、同時に竜印が付くように深く強く何度も同じ場所を噛み付いた。

 痛みが快楽に変わり始めたのはアルマが私の首元、胸元、手首、太ももと順に噛み付いた頃ぐらいだったと思う。


「んぅ…………あっ……」


 声は私から出ているのか疑いたくなるほど甘い。

 男の唇が触れるだけで跳ねる身体はどこまでも熱く切なくて。こんな声も自分も、認めたくない。


 これが夢ならいいのに……。

 そうだ、現実じゃないんだ。


 目の前の男は誰だ……?

 アルマだ。

 そう、アルマ…………。

 私の知らない、アルマだった人。

 

 ここはマスカレードだっけ?

 誰かの大きな屋敷だったかも。



「あ……んぁっ!!」

 

 意識は朦朧として虫の息。

 現実と夢の境目を歩く。


「ティアは誰にも渡さない……」

 

 そう言えば、マスカレードで純潔を奪われた遊女が泣きながら吐き捨てていたな。あの頃は分からなかったけれど、彼女たちもこんな気持ちだったのだろうか。


「バケモノめ……。」


 私の声に、ピタリをアルマが動きを止めた。

 

「――っ!! 俺は、なにを、してい、たんだ…………?」


 なんであんたが泣きそうな顔してんのよ。

 泣きたいのは私よ。

 

 (ああ、駄目だ……、意識が、持たない。)


 意識が途切れる刹那、私の瞳に焼き付いたのは怯えたアルマの顔だった……。

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