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プロローグ
街をまるごと空まで囲う大きな檻は、この世界の至る所に存在している。なぜ僕らは――いつから僕らは檻の中に囚われているのか、それは分からない。僕が物心ついた時には、既にこの檻の中にいた。でも特に外に出ようという気にはならなかった。街が汚染されているわけでも生活物資がないわけでもなかったし、檻の中で充分に生きていくことができて、それが当たり前だったから。
でも世界には檻に囲われていない街もあって、そこにも人は暮らしてる。
何が違うのか。
その2つの違いなんて、その時の僕には分からなかった――