魔法のキス
「キスしよう!」
「?!?!何を言って……」
「呪いの話を聞いたんだ。だからキスしよう?」
「………全く、一体誰からそんな話を?」
「図書室にいたお婆さんだよ。」
「!それは……」
アルバートは僅かに動揺する。
「?どうしたの?」
「なんでもない。キスなんかしないからな。」
そう言ってアルバートは書斎の扉を閉めようとする。
「どうして?!キスすれば解けるかもしれないのに!」
「愛する者からのでなければ意味がないだろ?」
「!」
「私はお前を愛していない。出会ったばかりだと言うのにお前はどうかしている。」
「……確かに、アルバートの事、何も知らないけど……でも!」
リリスの言葉を待たずにアルバートが近づいてくる。そして、あっという間にリリスは壁に追いやられた。
バンッ。壁に手をつくアルバート。リリスは壁ドンされる。
「でもなんだ?!お前はただの生贄なんだ!関係ないことに首を突っ込むな!!」
「!……でも、私……」
「黙れ!」
そう言ってアルバートは書斎に鍵をかけて閉じこもった。
「でも、……私、アルの事、助けたい……のに」
その言葉はアルバートには届かなかった。リリスはもう一度図書室へと向かう。しかし、老婆はもういなかった。
「私、アルバートの事、助けたい。でも、好きじゃないのかも……これは……同情なのかな?」
そう呟くと涙がこぼれる。
「うっうっ……」
アルバートの事が好きだ。だがそれはもふもふした動物への愛情である。アルバート自身への思いではない。可愛い動物を助けてあげたい。そんなちょっとした優しさだった。
「何してる?」
「へ?」
「!」
気がつくとアルバートが後ろに立っていた。
「アルバート?」
「何故泣いている?」
「それは……」
アルバートはそっとハンカチで涙を拭いてくれた。
「さっきは言いすぎた。すまない。」
「!違うの!これはその!」
「泣かせるつもりはなかった。」
「!……アルバートは本当は優しいんだね?」
「!?」
「ありがとう!」
「優しいわけないだろう?!俺は野獣だぞ?!」
「でも、優しいよ?」
「……お前はばかだ。こんな姿の俺を可愛いと言って怖がらないなんて……」
「うん!ばかだよ!」
「……ふふ。そうだな。」
「アルが笑った!」
「!」
「ふふ、可愛い!」
「可愛いくない。」
「可愛いよ!」
その日はそんな会話をして1日が終わった。




