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悪役令嬢と野獣  作者: ユキア


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5/9

魔法のキス

「キスしよう!」


「?!?!何を言って……」


「呪いの話を聞いたんだ。だからキスしよう?」


「………全く、一体誰からそんな話を?」


「図書室にいたお婆さんだよ。」


「!それは……」


アルバートは僅かに動揺する。


「?どうしたの?」


「なんでもない。キスなんかしないからな。」


そう言ってアルバートは書斎の扉を閉めようとする。


「どうして?!キスすれば解けるかもしれないのに!」


「愛する者からのでなければ意味がないだろ?」



「!」


「私はお前を愛していない。出会ったばかりだと言うのにお前はどうかしている。」


「……確かに、アルバートの事、何も知らないけど……でも!」


リリスの言葉を待たずにアルバートが近づいてくる。そして、あっという間にリリスは壁に追いやられた。


バンッ。壁に手をつくアルバート。リリスは壁ドンされる。


「でもなんだ?!お前はただの生贄なんだ!関係ないことに首を突っ込むな!!」


「!……でも、私……」


「黙れ!」


そう言ってアルバートは書斎に鍵をかけて閉じこもった。


「でも、……私、アルの事、助けたい……のに」


その言葉はアルバートには届かなかった。リリスはもう一度図書室へと向かう。しかし、老婆はもういなかった。


「私、アルバートの事、助けたい。でも、好きじゃないのかも……これは……同情なのかな?」


そう呟くと涙がこぼれる。


「うっうっ……」


アルバートの事が好きだ。だがそれはもふもふした動物への愛情である。アルバート自身への思いではない。可愛い動物を助けてあげたい。そんなちょっとした優しさだった。


「何してる?」


「へ?」


「!」

気がつくとアルバートが後ろに立っていた。

「アルバート?」


「何故泣いている?」


「それは……」


アルバートはそっとハンカチで涙を拭いてくれた。


「さっきは言いすぎた。すまない。」


「!違うの!これはその!」


「泣かせるつもりはなかった。」


「!……アルバートは本当は優しいんだね?」


「!?」


「ありがとう!」


「優しいわけないだろう?!俺は野獣だぞ?!」


「でも、優しいよ?」


「……お前はばかだ。こんな姿の俺を可愛いと言って怖がらないなんて……」


「うん!ばかだよ!」


「……ふふ。そうだな。」


「アルが笑った!」


「!」


「ふふ、可愛い!」


「可愛いくない。」


「可愛いよ!」


その日はそんな会話をして1日が終わった。

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