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第九十七話:変わる世界、変わらぬ絆

陽介の言葉を聞いた瞬間、アリアの瞳から大粒の涙が溢れ落ちた。彼女は駆け寄り、力強く陽介の胸に飛び込んだ。


「ヨウスケ! 本当に……本当にあなたなの……!? 夢じゃ……ないのね……?」


「ああ、夢じゃない。俺だ。……ただいま、アリア」


陽介は、アリアの背中を優しく叩きながら、再会の喜びを噛みしめていた。やがて、後を追ってきたバルド、リズ、ルーカスも到着し、森の中は感動と、そして少しばかりの混乱に包まれた。


「ヨウスケさん!」と泣きじゃくるルーカス。「リーダー! なんでこんな所にいるんだよ!」と悪態をつきながらも嬉しそうなリズ。そして、「……おかえり、陽介殿」と無言で力強く陽介の肩を叩くバルド。


その夜、一行は近くの洞窟で焚火を囲み、積もる話を語り合った。陽介は、元の世界での虚無感に満ちた日々、そして仲間たちに会いたい一心で、無謀な賭けに打って出たことを正直に話した。


仲間たちは、陽介の話を静かに聞いていた。そして、今度は彼らが、この一年間の世界の様子を語り始めた。


「魔王が倒れた後、世界は驚くほどの速さで平和を取り戻したわ。人々は笑顔を取り戻し、国々は復興に向けて手を取り合っている。私たちは……あなたと共に戦った『救国の英雄』として、その手助けをしてきたの」


アリアは、誇らしげに、しかしどこか寂しげに言った。


「だが、平和というのも、案外退屈なものだ。お前さんのような、突拍子もないことを考えつく奴がいなくなって、張り合いがなかったぜ」


リズが軽口を叩く。その言葉に、皆が笑った。


一見、世界は完全に平和を取り戻したように思えた。しかし、陽介は、この世界の空気に、以前とは異なる、微かな違和感を覚えていた。


(魔力が……薄れている……? いや、違うな。安定しすぎている、と言うべきか。魔王という巨大な『歪み』が消えたことで、世界の理そのものが、何か別の形に落ち着こうとしているような……)


それは、この世界に生きる仲間たちでさえ気づかない、異世界から来た陽介だからこそ感じ取れる、僅かな変化だったのかもしれない。再会の喜びの裏で、陽介の心には、新たな謎の種が蒔かれていた。

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