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第八十九話:玉座の間へ・魔王との対峙

ついに、魔王の玉座の間への道が開かれた。扉の奥からは、底知れぬ闇と、空間を歪ませるほどの強大な魔力が渦巻いている。陽介たち一行は、ゴクリと息を呑み、固い決意を胸に、その闇の中へと足を踏み入れた。


玉座の間は、想像を絶するほど広大だった。天井には不気味な赤い星々が輝き、床には無数の魂が呻くかのような紋様が描かれている。そして、その広間の最も奥、巨大な黒曜石の玉座に、魔王がその姿を現した。


魔王は、これまでのどんな魔物とも、どんな四天王とも比較にならないほどの、圧倒的な存在感を放っていた。その姿は、見る者の心を絶望で染め上げるかのように美しく、そして恐ろしかった。漆黒の鎧を身に纏い、その背中からは巨大な蝙蝠のような翼が生えている。その顔立ちは神々しいほどに整っているが、その瞳は世界の終わりを映すかのように冷たく、深い闇を湛えていた。


「ククク……よくぞ来たな、聖剣の勇者とその仲間たちよ。我が四天王を打ち破り、この玉座の間にたどり着くとは、褒めてやろう。だが、お前たちの旅も、ここで終わりだ」


魔王の声は、穏やかでありながら、聞く者の魂を凍てつかせるような冷酷さを持っていた。


「魔王! お前の好きにはさせない! お前がこれまで踏みにじってきた、多くの魂の想いを背負って、俺たちはお前を倒しに来た!」


陽介は、聖剣カレドヴルフを構え、力強く宣言した。


「魂の想い、か……。くだらんな。力こそが全てだ。弱者は強者に蹂躙され、利用されるのがこの世界の理。我が力の前には、お前たちのそのちっぽけな絆など、何の役にも立たんわ」


魔王は、玉座からゆっくりと立ち上がり、その手には漆黒の魔剣が現れた。魔剣から放たれる邪気は、陽介たちの持つ聖剣の光すらも飲み込まんばかりの勢いだった。


「さあ、始めようか。世界の存亡を賭けた、最後の宴を。お前たちの絶望が、我が力の糧となるのだ」


魔王が魔剣を振るうと、空間そのものが裂け、漆黒の斬撃が陽介たちに襲いかかってきた。


「みんな、散開しろ! 全力で行くぞ!」


陽介の号令と共に、世界の運命を賭けた、最後の戦いの火蓋が切って落とされた。

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