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第七十九話:束の間の勝利・魔王の罠

破壊のグレンデルを打ち破った陽介たち一行。二つの聖剣の共鳴という、予想外の力が発現したことによる勝利だった。しかし、その代償は大きく、陽介とアリアは聖剣の強大な力を解放した反動で、その場に崩れ落ちそうになる。


「ヨウスケ! アリア!」


バルドが、二人を力強く支える。リズとルーカスも駆け寄り、心配そうに二人を見つめた。


「大丈夫……少し、力を使いすぎただけだ……」


陽介は、荒い息をつきながらも、アリアに微笑みかけた。アリアもまた、疲労困憊しながらも、陽介に頷き返した。


「ふぅ……なんとか、最初の四天王は倒せたか。だが、まだ先は長いぞ」


バルドが、周囲を警戒しながら言った。グレンデルを倒したとはいえ、ここはまだ魔王城の入り口に過ぎない。この奥には、さらに強力な四天王、そして魔王自身が待ち受けているのだ。


一行は、グレンデルが守っていた扉の奥へと進んだ。そこは、魔王城の中枢へと続く長い回廊のようだった。しかし、その回廊には、新たな罠が仕掛けられていた。床、壁、天井から無数の槍が飛び出し、毒ガスが噴き出し、さらには強力な魔法障壁が行く手を阻む。


「ちっ、次から次へと……! まるで、俺たちを消耗させるための罠のオンパレードだな!」


陽介は、元の世界で経験した、悪質なクレーマーからの執拗な嫌がらせを思い出し、苦々しげに言った。


(魔王は、俺たちがグレンデルを倒すことすら織り込み済みだったというのか……? だとしたら、この先の戦いは、さらに厳しいものになるぞ……)


陽介は、持ち前の分析力と、仲間たちの力を最大限に活かして、次々と罠を突破していく。リズの鋭い観察眼が隠されたスイッチを見抜き、ルーカスの魔法が魔法障壁を解除し、バルドの大地の盾が物理的な罠を防ぎ、そして陽介とアリアの二つの聖剣が、道を阻む魔物たちを切り裂いていく。


数時間に及ぶ死闘の末、一行はようやく回廊を抜け、巨大な玉座の間にたどり着いた。しかし、そこに魔王の姿はなかった。代わりに、玉座には一枚の羊皮紙が置かれており、そこには魔王からのメッセージが記されていた。


『聖剣の勇者とその一行よ。最初の試練、ご苦労だった。だが、本当の絶望はこれからだ。お前たちの最も大切なものを奪い、その心を砕いてくれるわ。楽しみにしているがよい』


「これは……魔王からの挑戦状か……!?」


アリアが、怒りに声を震わせる。


「どうやら、魔王は俺たちの動きを完全に把握しているようだ。そして、何か卑劣な罠を仕掛けてきているに違いない」


陽介は、羊皮紙を握りしめ、警戒を強めた。その時、玉座の間の床が突如として崩れ落ち、陽介たちは暗闇の中へと落下していった。魔王の罠は、既に始まっていたのだ。

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