第七十七話:四天王グレンデル・破壊の猛攻
破壊のグレンデルの攻撃は、その名の通り、全てを破壊し尽くさんばかりの凄まじいものだった。巨大な戦斧が振るわれるたびに、魔王城の堅牢な床や壁が容赦なく砕け散り、轟音と共に破片が飛び散る。その圧倒的な破壊力は、これまでのどの敵とも比較にならないほどだった。
「くっ……! なんというパワーだ! まともに食らえば、一撃で骨まで砕かれるぞ!」
バルドが、大地の盾でグレンデルの戦斧を受け止めるが、その衝撃で数メートルも後退させられる。大地の盾はグレンデルの攻撃を防いではいるものの、バルドの腕には痺れるような痛みが走っていた。
「私が前に出るわ! ヨウスケ、援護を!」
アリアがエクスカリバーを構え、グレンデルの懐へと飛び込む。光の刃がグレンデルの緑色の鱗に何度も叩きつけられるが、鱗は鋼鉄のように硬く、エクスカリバーの斬撃をもってしても、なかなか深手を負わせることができない。
「無駄だ、小娘! 我が『竜鱗の鎧』は、聖剣の光すら通さんわ!」
グレンデルは嘲笑い、戦斧を横薙ぎに振るった。アリアはかろうじてそれを避けるが、その風圧だけで体勢を崩されそうになる。
(こいつ、ブルドー将軍以上の防御力と、ゲイル将軍に匹敵するほどの攻撃範囲を持っている……。まともにぶつかり合っていては、こちらの消耗が激しすぎる。何か、奴の動きを止め、確実にダメージを与える方法を見つけなければ……)
陽介は、聖剣カレドヴルフを構えながら、グレンデルの攻撃パターンと、その巨体にもかかわらず俊敏な動きの秘密を冷静に分析していた。元の世界で、困難な交渉相手や、複雑な市場動向を分析し、最適解を導き出してきた経験が、ここでも彼の思考を助けていた。
「リズ、ルーカス! あのグレンデルの足元を狙え! あれだけ巨体なら、足元のバランスを崩せば動きが鈍るはずだ! アリアさん、バルドさん、俺が奴の注意を引き付ける! その隙に、奴の関節部分、特に首の付け根を集中して攻撃してくれ!」
陽介の的確な指示に、仲間たちは即座に反応した。リズの放った矢がグレンデルの足元に突き刺さり、ルーカスの放った氷の魔法がその周囲の床を凍てつかせ、グレンデルの動きをわずかに鈍らせる。
「小賢しい真似を!」
グレンデルは苛立ちの声を上げ、陽介へと狙いを定める。陽介は、聖剣カレドヴルフに影の力を集中させ、グレンデルの猛攻を紙一重でかわしながら、その注意を引き付け続ける。その間に、アリアとバルドがグレンデルの背後に回り込み、指示された首の付け根へと、エクスカリバーと大地の盾による挟撃を叩き込んだ。
「ぐおおっ!?」
さすがのグレンデルも、二つの強力な攻撃を同時に受け、苦悶の声を上げた。竜鱗の鎧にも、わずかな亀裂が入ったのが見えた。
「効いている! もう一度だ!」
陽介の言葉に、仲間たちは再び連携攻撃を仕掛ける。四天王グレンデルとの戦いは、陽介たちの知恵と勇気、そして仲間たちとの絆が試される、過酷なものとなっていた。




