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第六十七話:鉄壁の要塞潜入・地の利と罠

数日間の険しい山道を踏破し、陽介たち一行はついに魔王軍第二の砦「鉄壁の要塞」の威容を目の当たりにした。その名の通り、巨大な山脈をくり抜いて築かれた要塞は、まるで大地そのものが意志を持って立ちはだかっているかのような圧倒的な存在感を放っていた。城壁は黒々とした鋼鉄で覆われ、無数の監視塔からは魔族兵の鋭い視線が絶えず周囲を警戒している。


「これが鉄壁の要塞……。風哭の砦とはまた違った、重苦しい圧迫感があるわね」


アリアが、エクスカリバーの柄を握りしめながら言った。


「うむ。正面からの突破は不可能に近い。まずはリズの言う通り、潜入経路を探らねばなるまい」


バルドも同意する。陽介は、事前に解放された人々から得た情報を元に、要塞の構造図を頭の中で組み立てていた。


(この要塞は、元々ドワーフが掘った古い鉱山を利用して作られているはずだ。だとしたら、正規の入り口以外にも、古い通気孔や、忘れられた坑道が存在する可能性がある)


陽介の指示で、リズが先行して周囲の偵察を開始した。彼女は、持ち前の俊敏さと隠密行動のスキルを活かし、魔族兵の監視の目をかいくぐりながら、要塞の周囲を丹念に調べていく。数時間後、リズは息を切らしながら戻ってきた。


「見つけたわ! 要塞の裏手、崖の中腹に、古いドワーフの坑道跡があったの! 今はほとんど使われていないみたいだけど、内部に繋がっている可能性が高いわ!」


リズの報告を受け、一行は慎重にその坑道跡へと向かった。入り口は岩や土砂で半分埋もれていたが、バルドが大地の盾の力を使ってそれらを取り除くと、奥へと続く暗い通路が現れた。


「よし、ここから潜入する。内部は罠だらけだろう。リズ、先行して罠の解除を頼む。ルーカス、魔力の流れに注意して、隠された仕掛けがないか探ってくれ」


陽介の指示に従い、一行は坑道内部へと足を踏み入れた。内部は、予想通り複雑な迷路のようになっており、至る所に巧妙な罠が仕掛けられていた。落盤、毒ガス、自動で矢を放つ仕掛け……。しかし、リズの鋭い観察眼と器用な手先、そしてルーカスの魔法的な感知能力によって、それらの罠は次々と解除されていった。


道中、一行は巡回中の魔族兵や、坑道の警備にあたっていたゴーレムとも何度か遭遇したが、陽介の的確な指示と仲間たちの連携によって、音を立てずにそれらを排除していく。


(この連携……俺が元の会社でチームを率いていた時よりも、ずっとスムーズで、信頼感がある。これが、生死を共にしてきた仲間との絆というものか……)


陽介は、仲間たちの成長と頼もしさを感じながら、先へと進んだ。


やがて、一行は坑道の最深部、要塞の中心部へと繋がると思われる巨大な空洞にたどり着いた。そこには、無数の魔族兵が訓練を行っており、その中央には、ひときわ巨大な体躯を持つ、鎧を纏った魔人の姿があった。その魔人こそ、この鉄壁の要塞の主、剛力の将軍ブルドーに違いなかった。


「どうやら、大物が釣れたようだな。だが、まだ気づかれていない。奇襲をかけるなら今だ」


陽介は、仲間たちと目配せをし、ブルドー将軍攻略の第一歩を踏み出すべく、静かに息を潜めた。

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