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わたしを召喚したのは金髪碧眼の騎士様でした  作者: 星野 青明
第1章 わたし、召喚される
1/40

1,ここはどこ?

このお話は、途中で完結とさせていただいています。

代わりに新しく「異世界召喚〜わたしを召喚したのはだれ!?〜」を書き始めました。

こちらはより丁寧に、じっくり時間をかけて書いていけたらと思っていますので、よろしくお願いします。

(同じ登場人物、似た進行です)

  気がついたら、森に横たわっていた。うっそうと茂る木々が、風でザワザワと鳴っている。

  森の不気味さと、真っ暗で何も見えない中で、わたしは体をゆっくり起こした。


  下には落ち葉がたくさんあって、クッションになってくれていた。おかげでどこも痛くない。


(あれ……? ネックレスがない)


  宝物のネックレス。お風呂に入る時以外は、ずっと着けていた、お守りのようなもの。

  わたしは起き上がって、辺りを探った。ガサガサと、音を立ててしまったのが良くなかった。

 

  夜の森で、大きな音にびっくりした鳥たちが、いっせいに鳴き羽ばたいた。すると遠くから、獣の遠吠えが聞こえた。すぐにここから離れなきゃ……!


  でも、ここがどこだか分からない。わたしはどうしてここに居るのか、どこに行ったらいいのか……。

  早まる呼吸を、必死に落ち着かせる。ここで走ったところで、土地勘もないわけだし、よけいに音を立てて追いかけられるだけだ。


  とりあえず茂みに隠れて、見つからないように頑張ろう。

  拳銃でもあったらな。銃刀法違反になるけど、今はそんなこと言ってられないでしょ。


  暖かい布団の中で、眠りについたままのパジャマの丸腰で、頼れるのは自分の判断と走れる足だけ。

  そんなことを考えていると、かすかに、獣の足音がザッザッと聞こえる。やばい、近づいてくる!


  人間の本能なのだろうか。隠れていた方がいいと思っていたのに、なぜか走り始めてしまった。

  さっそく判断をミスったと思ったけど、もう手遅れだ。とにかく逃げるしかない。


  するとあっという間に、背後で足音が追いかけてきていた。走る息遣いまで聞こえる。

  もうダメなのかな……。これまでの人生が、走馬灯のように蘇る。ずっと苦しくて、映えない人生だったな。でも頑張ったから、もういいか……。


「待て、そっちに行くな!」


  人の声が聞こえた瞬間、足元に地面がなくなった。落ちる感覚とともに、誰かに腕を引き寄せられた。異性だと分かっていたけど、わたしは恥ずかしげもなく抱きついた。


  腰のあたりを、がちっと支えてくれた。一緒に落ちているのに、その人は悲鳴もあげない。


  その人は空いてる片側の腕から、何かを上に投げた。

  すると見事、地面に引っかかったのか、ぐんと体が止まる感覚を覚えた。


  その人は冷静に、崖の斜面を蹴って、下に降りていく。わたしは生まれて初めてのバンジージャンプ体験に、体の震えを止められなかった。


  やっと地面に足がつくと、わたしは崩れ落ちるように座り込んだ。


「生きてる……ぜったい死んだと思った……」


  安心した気持ちが、口をついて言葉に出た。

  すると、雲が動いたのだろう。月明かりでまわりが照らされて、改めて森の深さを知った。


「よかった……間に合って。

  本当に成功するなんて、思ってもいなかったから」


  男性も、安堵の声で言った。

  言葉の意味は分からないけど、とりあえずお礼を言わなくてはと思い、顔を上げた。



  わたしは息を飲んだ。

  月明かりにてられて、夜の中でも、髪がきらめいている。180cmはゆうに超えているであろう高身長。


  そして、あきらかに日本人ではない、ほりが深くて鼻が高く、精悍な顔つき。

  大きな瞳が、こちらをまっすぐに見つめている。


「けがはない?」

「う、うん。だいじょうぶ」


  良かった、と柔らかい顔で微笑んでくれた。どうしてこの人は、こんなに優しい目を向けてくれるの?


「おれはハーシー。君の名前は?」

「……ひよ」

「かわいい名前だ。ようこそ、アウル国へ」


  わたしはハーシーに手を取られ、立ち上がった。

  ここが日本じゃないこととか、それなのに言葉が通じていることとか、一瞬頭をよぎったけど、どうでもよくなった。


  目の前にいる、まるでおとぎ話の王子様のような男性に、わたしは目が釘付けだった。



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