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お耳 続編

作者: みはらなおき

享保十年、大坂玉造稲荷下の猫間川西詰にお耳と呼ばれる少女がいた。

生まれついての見事な立ち耳で、「お耳」と呼ばれている。人ならぬ声を聞く耳と目で大坂城に起こった怪異の一件に立ち向かう。


以下は、「※ネタバレ注意」です。お願いします。


「キャラクター設定」

お耳・・・目に見える世界が白黒にしか見えない立ち耳の女の子。本名は「お紋」

吉右衛門・お耳の父親。妻に先立たれ、男手一つでお耳をそだてる小間物屋

お仙・・・戸田家の女中だったが、奇縁から吉右衛門の後妻・お耳の母となる

戸田忠囿・下野国から大阪城定番として赴任してきた。因習に囚われぬ、武勇に優れた者

赤狐・・・定番上屋敷に巣くう妖狐。時に陣羽織姿の赤狐。大狐が本性。

白狐・・・玉造稲荷の鳥居を預かる眷属の狐。可憐な年頃の少女等にも変化する

正吉・・・お仙の弟。お耳と同い年で。飾り物職人の父について修業中

〇見立て違い

 戸田家の典医梶岡北周は、長年戸田家に仕え、この度の大坂行きにも同行を命じられた一人だった。年齢は忠囿より少し若く四十五歳になる。家族は下野の国に残している。先日までの家臣高熱の一件では、己の未熟さに自責の念を強くしていたが、赤狐や豊臣家臣の霊の祟りと決着がつき、幾ばくか胸を撫で下ろしていた。今日も戸田大隅守忠囿の寝所に通っている。

 砕かれた肩は、直後の懸命の治療によって一定の処置は施されたが、当面は動くことはできず、それ以上に高熱が続いていた。


「家臣たちは……」と忠囿が聞く。


「はは。殿が化け物退治をなさった夜から、つぎつぎとみるみる回復を見せ、今では誰一人床につくものはおりませぬ」

 典医梶岡の言葉に、忠囿は目を閉じて安堵の表情を浮かべた。


「お仙はどうじゃ」


「左わき腹に狐めの上顎の牙が六ケ所、右わき腹に下顎の牙六ケ所。大量の出血をしておりましたが、幸い内臓や骨に至る傷はなく、血を止めて、養生に努めさせております。殿のお情けで、書院にて泊め置いておりますが、よろしいのですか」


「無論のこと、お主もわしの後にはかならずお仙の具合も診て帰ってもらいたい」


「ははっ」


 典医梶岡北周は、書院にてお仙の容態を診た。未だじくじくと傷口から血が滲んでいる。だが、傷口を覆うさらしは、清潔なものに常に取り換えられている様子だ。


「よくよくのお情けを頂戴して……。くれぐれも殿への感謝、忘れるでないぞ」


 瓦版では、上屋敷に迷い込んだ子供を狙ってこの地に憑りついていた妖狐が現れ、子供を守ろうと大坂城定番戸田大隅守忠囿が大立ち回りをしたとされており、お仙のことは、身を挺して戸田大隅守を守り、腰の骨を砕く瀕死の重傷をおった「忠義の女中・女忠お仙」と書き立てられている。狐退治など信じない北周は、お仙の若い肢体を眺めて、忠囿が手をつけたお仙を奥方や古参の女中が折檻をしたのではないかと下らぬ考えを巡らせていた。

 枕元の盆に三合徳利と湯呑みが置かれている。北周が問うと、絞る前の豆腐の汁(現在の豆乳)を毎朝もらうと言う。これを見ると、自身の考えも取り消さねばならぬと、勝手につまらなさそうな顔をして診察を切り上げ、書院を後にした。


 豆乳は、毎早朝お耳が豆腐屋から分けてもらい上屋敷に届けていた。さらしの取り換えや洗濯も買って出ている。昼前になり行商の父堺屋吉右衛門が、上屋敷の裏木戸から顔を出し、お耳を連れて帰っていく。このような日が半月ほど続いていた。



〇正吉

 吉右衛門が、留守を頼んでいた隣りの刷毛屋の女将に声をかけている。お耳が吉右衛門の行李を片付けていると、店先に小さな人影が現れた。


「おい」

 お耳は、びくりとして振り向いた。声の主は、店の裏長屋の飾り物職人の息子でお仙の弟である正吉だった。正吉はお耳と同い年だが、お耳より少し小柄でよく日に焼けていた。正吉は、強くお耳を睨みつけている。姉・お仙の大怪我の一報を吉右衛門らから聞いた後、

「うちの代わりに大怪我して」とお耳から聞き、すぐに流れた瓦版の噂から、迷い込んだ子供がお耳で、そのために大坂城定番や姉が大怪我を負ってしまったに違いないと考えていたのだ。


「正吉っちゃん」

 お耳は、早速今朝会ってきた様子を伝えようとしたが、


「姉ちゃんになんかあってみぃ、お前のこと一生許さんからな!」と大声で言われ、走り去られてしまった。


 吉右衛門が店に戻ると、しくしくと物陰で泣くお耳がいた。



〇「まんけい」宛

 翌早朝は音もなく雨が降っていた、お耳は礼を言うと豆腐屋をあとにした。軒下で大黒傘を広げる。小柄なお耳が店の名の入った大黒傘を差してゆらゆらと歩いていく。


 門衛らも、すでに馴染みになったお耳が通ると親し気に声をかけた。


 上屋敷の表門が見えた頃、他の屋敷の角から、白地に翡翠色や浅葱色のきらきらと光る糸をふんだんに使った振袖の娘が現れた。後ろから奴が大きな朱柄傘を差しかけている。奴の顔は、よく見えない。

 抜けるような白い肌に切れ長の一重瞼、薄い唇には薄っすら紅をひいて、口角も僅かにあがって微笑みかけているように見える。結綿も美しく整って、高下駄の捌きも優雅で、お耳はその娘が行き過ぎる様子をうっとりと見送っていた。


「あれぇ、その傘はぁ、堺屋さんかぇ」

 立ち止まった娘の話し方は、優雅だが、何か声に強弱があり、笛を吹くようでもあった。


「へぇ」とお耳は、返事をしてぺこりとお辞儀をした。


 娘は、お耳の顔を覗き見ると、ぎこちなく徐々に笑顔になった。笑顔そのものはとても可愛らしかったが、お耳には、それが浄瑠璃の人形の眉や口が動いていくところに似ていると感じられた。


 娘はお耳の背丈に合わせて軽くしゃがむと、


「あれあれ、何をさげておいでやの」と、三合徳利を指先でそっと触れた。


「へぇ、豆腐のお汁でようなってもらおう思うて」とたどたどしく説明するお耳の言葉に頷きながら、娘は三合徳利の底をさわさわと撫でた。お耳は、その様子を不思議そうに眺めている。やがて、娘は立ち上がり、左の懐に手を入れた。


「これこれこれに書いたもん、玉造稲荷様にて「まんけい」宛に持って参じましたぁ言うたらええさかい。頼んどきますぇ」

 娘は、謳うように言うと、懐紙を取り出した。巾着絞りにした懐紙を見せて、もう一方の左手でおいでおいでと手を出すよう促すと、お耳が思わず出した左手を自らの左手で受け、お耳の手の平に懐紙を載せて握らせ、両手でお耳の左手を包み、優しくぎゅっとした。


 懐紙には銭が包んであるようで、ちょっとした重みがあった。


 娘は、高下駄を返すと歩き出した。


「あ、そうそう お耳ちゃんがぁ届けてねぇ」と、娘が、ほんの少し振り向いて言った。


「へ、へぇ」と、言い、お耳はもう一度お辞儀をした。


 向き直るとそこには誰もおらず、屋敷の通りは、人影もなく、しんとして雨だけがしょうしょうと降っていた。



〇快方

「へぇ、そないなことがあったんかいな。けったいな話やなぁ」

 お耳を心待ちにしていたお仙が、布団の中で相槌をうつ。今日は戸田大隈守の奥方も書院を見舞っていた。

「けど、こないな書きつけももろうて……」と、お耳は茶巾絞りの懐紙をお仙に見せた。お仙は、それを奥方に見てもらう。奥方は、このような時に、直接渡さないという作法が守られていることに好感を持った。


「堺屋で揃えたい品物が書きつけてあるのう。とても綺麗な文字だけど全部ひらがな、それに…、小銭ばかりで一両ちょっと」

 奥方が畳に広げた懐紙の上には、一分銀、一朱銀、銭貨が何枚もあった。

「くし、こうがい、べに、かみあぶら。上屋敷近くで奴に傘を持たせるなど、どのような方でしたか」


「へぇ。仙さんと同じくらいのお人で、顎が細うてえらい可愛いお顔、白っぽい振袖で、お袖に紫陽花のお花がおました」


 奥方は、ちょっと呆れた顔をして笑った。

「こんな雨降りにそんななりで出歩くとは、どこの娘やら。ところで、今日も持ってきたのね。毎朝感心ねえ」


 お耳はにこりと笑い、盆にある湯呑に豆乳を注いだ。お仙も笑顔を返し、起き上がろうとする。お耳が立ち上がって、お仙の背を支えた。

「おおきに。ほんま、お殿様、奥方様によおしてもろて。耳ちゃんもおおきに」

 お仙は涙ぐみながら湯呑を受け取り、口をつけた。


「ああ、おいしい。今日のんは甘うて甘うて」とお仙はお代わりももらった。


「あら、頬に赤みが。顔色も急に良くなって」

 奥方が、気づく。お仙も指先に暖かい血が通い、全身にも行き渡るように感じた。


 お耳は、早くお仙の家族に知らせたいと言って上屋敷を下がった。


〇用心棒

 店に帰るとこの雨に出足を鈍らせたのか、吉右衛門が帳面をつけている。


「おう、お帰り。どないやった」

 父の言葉に、お耳は堰を切ったように先ほどまでの出来事を話した。書き付けと銭も見せる。


 吉右衛門は、

「お仙ちゃん良かったなぁ。この書き付けもなんかの訳ありで持っていかんならんかも知らん」と言った。雨の武家屋敷の外で立派ななりをした娘が神社に商品を持ってこいと言うのだ。こちらも気を利かせてお耳に行かせねばならない。一方で、万が一の心配も湧き上がってくる。


「おうそうや。すぐ裏行って、お仙ちゃんの具合話してきたり。ほんで、あすこの正吉借りといで」


「え、せやかて」とお耳は、昨日のことを思い出して躊躇した。


「かまへん。お前が言うてんのとちゃうのやで。わしが言うてると伝えたらええんや」


 ほどなく正吉がやってきた。文句を言いたげであり、姉の様子を聞き嬉しい顔も幾らか浮かんでいた。


「お耳について玉造稲荷様に行ってきてほしいのや」


「な、なんで一緒にお参りせな……」


「ちゃう、お耳のあとをついて、しなもん渡すんや。何もおかしなこと起こらんかみとってほしいのや」


「え。なんや怪しいやつなんか」


「いや、初めてのお客様、それも外でしなもん受け取りたいっちゅう方やから、なんぞ仔細があるんやろ。お客様の顔をたてて、あくまでもお耳一人にいかす。けど、おかしなったら、この界隈では一番足の速いお前の出番や。隠れ家見定めて知らせに来てほしいねや」


「ま、まあなあここらへんから天王寺さんまでやったら、俺が一番やし……」


「ことの顛末は、戸田様の上屋敷にもご報告せんならん。それもついていってくれたらなによりや」

 正吉は、嬉しい気持ちを抑えるのに苦労しながら吉右衛門の依頼を請け負った。



〇玉造稲荷神社

 堺屋の名の入った二つの大黒傘が参道の坂をとぼとぼと登っていく。遠くから見たら、雨に煙る坂道を大黒傘だけがゆらゆらと進んでくると見えたろう。


「おい、今日は東の長い石段上がらんと、南の鳥居から入るんや」

 後ろの傘の正吉が言う。


「なんでぇ」

 前を行くお耳が訊く。


「あっほやなあ。雨で石段が濡れてるやろ。お前滑ってこけたらあかんやろ」


「あ、うん」

 お耳は、自分の身を案じてくれたのだと感じて、ニコリと微笑んだ。


「あ、あほ。しなもんいたむやろ」

 正吉は、傘の中で、頬を赤らめていた。


 二人は、坂道を登り続け、南の鳥居から入った。


 雨にも関わらず神職らしい男が、竹箒で玉砂利の上の落ち葉を掃き清めている。その様子は、ちゃんと掃いているようでもあり、櫓で小舟を漕いでいるようにも見えた。この神職は雨の中、境内の玉砂利を池か海に見立てて、ぐるぐる漕ぎまわりながら落ち葉を集めているのだ。


 正吉が思わず、「遊んでるやん」とこぼした。神職は、その声にびくりとして突然、背筋をぴんと伸ばして手を腰の前にやると、綺麗なすり足で、こちらに向かってきた。正吉は慌てて鳥居の影に入る。


「ようこそ、お参りなされました」と、すぶ濡れの神職がずいぶん丁寧なお辞儀をする。


「あ、堺屋と申しますー。『まんけい』さんにご注文のしなもんお持ちしましたあ」

 お耳は丁寧にお辞儀をした。神職に促されるままついていくと、いつもの本殿の右脇に朱に塗られた立派な太皷橋が架っている。境内には厳島神社の末社があるが、小さな池がある。それがいつのまにか境内いっぱいの池になっている。


「わあ」

 池には、大小色とりどりの鯉が泳ぎ、時折跳ねている。その水しぶきがきらきらと日の光に反射した。いつの間にか雨はあがっているのだろうか。橋の向こうに舞台が張り出している。そこでは、女官たちが踊りの稽古をしている。


「あれあれ、お待ちかねの櫛、笄。女子の嗜み、嬉しやのう」

 女官は、わらわらとお耳のそばに集まり、行李の品物を次々と手に取り、互いで見立てて褒めあい、

「あれもこれも」と買い上げた。


 行李の品物はすぐ売れてしまった。お耳は、行李に入れた算盤で金高を計算し、釣りをまとめて最初に預かった懐紙の上に載せて返した。


「釣りは、わずかに一分一朱。お前の駄賃じゃ。お受け取りなされ」と、一人の女官が言う。


「父に叱られます」

 お耳は、懐紙の上の銭を丁寧に女官の方に向けた。


「首尾よく買い物ぉは、済みましたぁかぁ」

 女官たちが振り向くと、そこには、あの美しい娘が立っていた。お耳は、その場で深くお辞儀をした。

 女官たちは、品物を手に手に立ち上がり、太鼓橋をしずしずと戻っていった。娘は空になった行李を挟んでお耳の向かい側に美しく正座した。


「此度の一件、発端は稲荷の社をこちらに移したこと。もとは大戦さにて城内で死せる者ども一万余人の怨念鎮魂の願いを籠めて建立せし社。その大役にわがはらから朱浅黄鼎尾之狐がかの地に下り、徳川方の祈りを受け、魂を鎮めてまいった。生ける者どもの祈りが続けばこそそれを叶えるが務め。社を取り払いし後は朱浅黄鼎尾之狐に祈るものは、強き怨念を抱きし怨霊一万柱。神の眷属のわれらであればこそ、皆の願いで変ずることにもなったのじゃ」


 お耳は、茫然として娘の話を聞いていた。娘は話しながら涙をはらはらと流し、時折、懐紙を出して拭った。

「あ、あの赤い狐さんて…」

 お耳は思わず、娘ににじり寄って、膝に置いている手を握った。それは上屋敷前で優しく握られた時とはまた違う意味の暖かさをもった手だった。


「かつて私の許嫁。私の名前は、翠浅葱双葉尾之狐。惚れているなら、最後までそばにおらねば、悔いも思いも残してしまうのう」

 お耳は、無言で大きく頷いた。


「それ、あちら。池の隅に亀がおろう。お耳が心配で心配でならぬよう。そばにいてやらねばのう」


「え?亀?」

 本来境内であるところ一面が、池になっている。池のほとりに丸い甲羅の亀が一匹、首を伸ばしてこちらを見ている。


 その甲羅には、「堺屋」と名が入っていた。



〇願い事

「亀も首をなごうして待ちくたびれておろうころ。いとまにお耳、何かお前自身の願いはお持ちかぇ」

 二人は、立ち上がり、ゆっくりと太鼓橋を戻っていった。


「うち、色がわかるようになりたい」


 太鼓橋の頂上で娘は立ち止まり、お耳の髪を撫でた。お耳は、娘の手の平が頭の中にまで入ってきたかのように感じ、びくりとした。


「うふふ。最後にのう。帰り道にて戸田家に寄って、『お殿様にも豆乳をお奨めくださいませ』と言伝て願います」


〇真っ赤やん

 お耳は奥方から、先程たずねた先が万慶稲荷神社だったのだと聞かされ驚いた。また、


「狐の買い物だったのね」と言い、奥方はほっとした様子だった。


 許しを得て正吉は、書院のお仙に会った。正吉は、姉の無事な姿を確かめて、思わず大粒の涙を流した。


 隣に座ったお耳が、真顔で正吉の顔を覗き込む。


「なんやねん、あほ」と言いかけた正吉の涙をお耳が指先で拭った。


「あれ、真っ赤やん」

 お仙が囃すが、


「これが、赤?」

 お耳は、はちきれんばかりの笑顔で正吉に抱きついた。



〇後日談

 お耳が伝えた言伝に従い、戸田大隅守忠囿も豆乳を毎日飲んだところ、砕けた右肩の回復が早まったと言う。その後三合徳利の豆乳は万能の霊薬と戸田家で珍重されたが、忠囿、お仙の本復と同時に三合徳利が割れ、徳利にまじないがかかっていたことがわかったとされた。


 正吉は、父の仕事を継ぎ、飾り物職人になった。修業を終え、独り立ちした頃お耳と祝言を上げ、玉造で小間物屋としても長く店を営んだ。















色鮮やかな布地や巾着、櫛くし、笄こうがい、簪かんざし類から口紅、髪油

振り分け髪→桃割れ→結綿→島田

江戸時代、享保10年の大坂城のお膝元、玉造が舞台です。

玉造稲荷(当時は、豊津稲荷と呼ばれたそうですが、わかりやすさから玉造稲荷と表記)から参道を下る坂道が奈良に向かって東に続いており、やがて、町の境界をなす猫間川に至ります。川に架かる大和橋の西詰に商店を商う長屋の一軒に堺屋がありました。

実はこの堺屋は、作者のご先祖です。エピソードはもちろん創作です。


少しだけ、作中の解説をさせて頂きます。

豆乳は、調べるとちゃんとした言い方がわかりませんでした。江戸時代にベストセラーになったレシピ本「⾖腐百珍」によると、当時の「豆乳」は「よせとうふ」とルビが振られています。ただ、他の具を練り込んだお料理だったようで別の料理だったと思われます。今回は便宜上、現代の豆乳という意味で使っています。三合徳利は、醤油や酒を入れるための小さな陶器の瓶です。口に栓ができます。

お耳や正吉が差している大黒傘は「堺屋」の名入れの傘で、来店客が雨で帰れなくなった時に使ってもらうサービス用でもちろん大人用のサイズです。

お耳は、最後に赤色がわかるようになりますが、それまでは、白黒の濃淡で見えていて、お耳が話す言葉には白黒以外の色の表現はでてきません。


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