表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅伝  作者: もんじろう
80/143

80

 すぐに円月へ視線を戻す。


「おっさん」


 少年が言った。


 円月は一瞬、それが自分に対しての言葉と分からず、しばし、ぽかんとしていた。


 が。


「何だ!! 消えろ、小僧!! 斬り殺されたいか!!」


 円月が吼えた。


 何やら、先ほどまでの余裕は無くなっていた。


「女の子を斬ろうなんて、趣味が悪いぜ。それより、俺と勝負してくれよ」


 少年の声は歳相応ではあったが、恐ろしく落ち着いて、なおかつ、すごみがあった。


 円月は少年の異常なまでの闘気、そう、それこそ巨大な猛獣の如き迫力に押されっぱなしであったが、ここでゆっくりと首を横に振った。


 円月も魔武士であり、一人の剣士である。


 おそらくは自分たちと同じく「未来」から来た(時代はもっと先か、あるいは別の時間軸からか)ターシャを今、倒したばかりではないか。


 こんな時代の小僧一人を、何を恐れることがあろうや。


 魔具足の守りはもちろん、剣技においても遅れを取るとは思えない。


「来い、小僧!! この円月様が刀の(さび)にしてくれる!!」


 円月は怒鳴り、少年の前で八相に構えた。


 少年は、にやりと笑った。


 笑顔ではあるが、気迫のあまり凄絶(せいぜつ)さもたたえた、その表情に、助けられたターシャと奏の二人でさえ、思わず息を飲んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ