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溌剌とした小ぶりの両乳房の頂きが見える、ぎりぎりのところで止まる。
乳房と乳房の間には、奇妙な形の入れ墨があった。
「待て!」と骸造。
四人の魔雑兵が足を止めた。
「女、どうした? 結局、観念して俺に色仕掛けでもするつもりか? かわいがって欲しいのか?」
骸造が大笑いする。
紅が右肩を着物から完全に出した。
美しく艶かしい右上腕部の肌の上に。
胸元と同じように奇妙な形の入れ墨があった。
胸元のものとは形が違う。
そのとき。
「ぎぎぎぎぎっ!!」
男とも女ともつかない大きな声が響いた。
「なっ!?」
骸造が音の出所を探す。
口だ。
この奇怪な音は紫色の口紅を塗った口。
紅の口から発しているのだ。
骸造と紅の眼が合う。
紅が右手の中指を突き立てて、かっと眼を見開いた。
「ぎぎぎぎ義躱鴉!!」
紅が言い終わると同時に、右肩の奇妙な入れ墨から、何かが出てきた。
細長い黒い棒状の物だ。
一番先端には左右に三個ずつの出っ張りがあり、そこに琴の弦のような糸が六本、結ばれている。
次にどくろを描いた平たい板が、棒状の物と繋がって姿を現す。
先ほどの弦は板の上を通り、途中で固定されていた。
完全に姿を現したそれは、どうやら楽器のようだった。
右腕の入れ墨が、いつの間にか消失している。




