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紅伝  作者: もんじろう
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8

 溌剌(はつらつ)とした小ぶりの両乳房の頂きが見える、ぎりぎりのところで止まる。


 乳房と乳房の間には、奇妙な形の入れ墨があった。


「待て!」と骸造。


 四人の魔雑兵が足を止めた。


「女、どうした? 結局、観念して俺に色仕掛けでもするつもりか? かわいがって欲しいのか?」


 骸造が大笑いする。


 紅が右肩を着物から完全に出した。


 美しく艶かしい右上腕部(みぎじょうわんぶ)の肌の上に。


 胸元と同じように奇妙な形の入れ墨があった。


 胸元のものとは形が違う。


 そのとき。


「ぎぎぎぎぎっ!!」


 男とも女ともつかない大きな声が響いた。


「なっ!?」


 骸造が音の出所を探す。


 口だ。


 この奇怪な音は紫色の口紅を塗った口。


 紅の口から発しているのだ。


 骸造と紅の眼が合う。


 紅が右手の中指を突き立てて、かっと眼を見開いた。


「ぎぎぎぎ義躱鴉(ぎたあ)!!」


 紅が言い終わると同時に、右肩の奇妙な入れ墨から、何かが出てきた。


 細長い黒い棒状の物だ。


 一番先端には左右に三個ずつの出っ張りがあり、そこに琴の(げん)のような糸が六本、結ばれている。


 次にどくろを描いた平たい板が、棒状の物と繋がって姿を現す。


 先ほどの弦は板の上を通り、途中で固定されていた。


 完全に姿を現したそれは、どうやら楽器のようだった。


 右腕の入れ墨が、いつの間にか消失している。

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