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何とか、体勢を立て直そうとした瞬間。
円月の刀が月光の下で、きらめいた。
疾走した白刃が、未だ構えの戻らぬターシャの身体を斬り伏せた。
「きゃーっ!!」
ターシャの叫び。
円月の刀を受けた銀装束は火花を散らし、斬撃でターシャの美しい身体が両断されるのを防ぎはしたが、装備者が倒れると銀色の光と共に、その姿を瞬く間に消失した。
ターシャの衣服が魔祓い師のものに戻る。
(コンバットスーツのエネルギーが切れてしまった!!)
ターシャの恐れていた事態が、現実となった。
もはや、頑強な鎧は失われた。
円月の刀をターシャが生身で受ければ待っているのは確実な死。
地に伏したターシャの前に円月の、ひょろりとした長身が立った。
ターシャは先ほどの斬撃により、身体が思うように動かせない。
円月が刀を構える。
次の瞬間にはターシャの首が、はね飛ばされるかと思われた、そのとき。
ターシャと円月の間に飛び込んだ者が居る。




