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向かい合う円月の異常な闘気に、ターシャの頭に恐ろしい結末が、よぎる。
ターシャは慌てて首を横に振った。
(やるしかありません)
ターシャが円月をきっとにらむ。
(私だけじゃない。奏さんを守るため)
ターシャは左拳を胸の前で構え、右手は手刀の形にし、左拳より前に構えた。
身体は半身に立つ。
「倒します!!」
ターシャが気を吐いた。
一方の円月は。
八相に構えた刀の刃を徐々に右方向へと動かし始めた。
刀は完全に横になり、それでも止まらない。
真下まで下りた。
今度は左側から上に上がっていく。
左の真横。
そして、最初の位置へと戻る。
再び、刃の一周が始まった。
刀の動きを見つめていたターシャに異変が起こった。
ゆっくりと動く刃を眼で追っているうちに、何やら頭がくらくらとし始めた。
いつしかターシャの上半身も、ぐらぐらと揺れだす。
ターシャ自身も、自らの異常に気づいた。
(これは!? 何!?)




