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紅伝  作者: もんじろう
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「お前の名など訊いておらぬわ! どうせ、すぐに死ぬ女の名などな!」


「確かに」


 紅は全く変わらない調子で続けた。


「お前たち、魔武士は強えよ」


「ははは!」


 骸造が笑った。


 操を持ち上げていた手を離す。


 操が地に落ち、尻もちをついた。


 しかし依然、周りを囲まれているため、逃げだせない。


「当たり前だ! 俺たちは最強だからな!」


 骸造が満足げに言った。


「だけど、あたしは」


 紅が右手の親指を上に向け、前に出した。


 親指で、首を()き斬る仕草をする。


 最後に親指を下に向けた。


「お前たちには屈しねぇ。あたしの反骨魂が、絶対にお前たちを許さねえ!!」


 紅が怒鳴った。


 骸造の表情が険しくなる。


 両眼の血走りが、さらに増す。


「女…覚悟しろよ」


 四人の手下に、(あご)で指示する。


魔雑兵(まぞうひょう)、女を殺せ!!」


 魔雑兵四人が刀を抜き、横並びで紅へと迫った。


 操が慌てて、骸造から離れる。


 紅が着崩している着物の前をさらに、はだけた。

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