7/143
7
「お前の名など訊いておらぬわ! どうせ、すぐに死ぬ女の名などな!」
「確かに」
紅は全く変わらない調子で続けた。
「お前たち、魔武士は強えよ」
「ははは!」
骸造が笑った。
操を持ち上げていた手を離す。
操が地に落ち、尻もちをついた。
しかし依然、周りを囲まれているため、逃げだせない。
「当たり前だ! 俺たちは最強だからな!」
骸造が満足げに言った。
「だけど、あたしは」
紅が右手の親指を上に向け、前に出した。
親指で、首を掻き斬る仕草をする。
最後に親指を下に向けた。
「お前たちには屈しねぇ。あたしの反骨魂が、絶対にお前たちを許さねえ!!」
紅が怒鳴った。
骸造の表情が険しくなる。
両眼の血走りが、さらに増す。
「女…覚悟しろよ」
四人の手下に、顎で指示する。
「魔雑兵、女を殺せ!!」
魔雑兵四人が刀を抜き、横並びで紅へと迫った。
操が慌てて、骸造から離れる。
紅が着崩している着物の前をさらに、はだけた。