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ターシャは、それ以上は訊かなかった。
「それでは残念ですが、別々に行動することになりますね」
ターシャが困り顔で言った。
そこからは四人とも口をきかず、夜の静寂が、その場を支配した。
次の日の朝、紅と響はバイクに乗ったターシャと奏が走り去っていくのを見送った。
結局、あれから響と奏は一度も眼を合わさず、ひと言も交わさず、別れることとなった。
「魔祓いの力なんて、あてになるものか」
響が吐き捨てるように言うのが、紅には聞こえた。
紅も魔祓いの道具が、魔武士の総大将に何の工夫もなく通用するとは、とても思えなかったが、さりとて響が言うほどに全く役に立たないというのも正直、早計とは感じていた。
まあ、ターシャたちが何をしようと自分には関係ない。
武丸より授かった黒楽器の力で魔武士たちを皆殺す。
紅の目的は唯一、それのみである。
紅と響は焚き火の後始末をし、出発した。
紅は武丸の力によって、魔武士を探知する能力を身につけていた。
その能力によって、大勢の魔武士たちが、それほど遠くはない場所に集まっているのが分かった。
ほどなく二人は、青々とした丘陵地帯へと出た。
小高い丘に登ると、辺りの様子が見渡せる。
正面の離れた位置にある同じ高さほどの丘に大勢の魔雑兵が、ひしめいているのが見えた。




