6
骸造の双眸が、ぎらりと光り、操が死を覚悟した、その瞬間。
生暖かい突風が、その場の全員の顔を打った。
思わず皆が眼を閉じる。
風が止み、全員が眼を開けた。
「お?」
骸造が首を傾げた。
いつの間に現れたのか?
操の小屋の前に、一人の女が立っている。
二十代前半。
すらりとした長身。
やや痩せていた。
黒髪を束ね、結い上げている。
玉の部分がどくろの形の赤いかんざしを三本、挿していた。
肌は青白い。
美しい顔立ち。
少し吊り上がった両眼。
右眉の下あたりから、まぶたを通って頬までの細く赤い縦線の化粧が走っている。
通った鼻筋。
薄い唇には紫色の口紅。
真っ黒な着物に紫の帯。
襟元は緩く、鎖骨や白い胸元、背中が覗いていた。
艶っぽいうなじには、やや大きな二つのほくろ。
着崩された着物から、肉感的な右太もも半ばより下の長く美しい脚が、外へと出ている。
女は首を少し傾げ、両腕を胸の前で組み、骸造たちを見つめた。
「何だ、女!?」
骸造が怒鳴った。
突如、現れた謎の奇怪な女に、やや動揺していた。
「殺されたいか!?」
骸造の理不尽な脅しにも、女は眉ひとつ動かさない。
「あたしの名は」
女が口を開いた。
やや、かすれた低い声。
「紅」
「はあ!?」と骸造。